ロルフィングハウス フェスタ FESTA

モニターAさんの感想(セッション4 | 20代 女性)

いよいよモニター5名の方全員が、10シリーズをスタートしました。

全員女性というのもおもしろいなと思いますし、感想はほぼほぼそのまま載せていますので、感想を眺めるだけでも、5名の方それぞれの特徴が見えてくるなと感じています。

まだまだほとんどの方が序盤なので、これから「それぞれの10シリーズ」になってくるかと思います。

なんだか、僕がモニターの方から感想という「お題」をいただいて、そしてこのブログを書いていくという感じになっていて、書きたくても書けなかったことにも向き合えていて、僕の方がありがたいなと思っています。

今回はAさんですが、Aさんは一番セッションが進んでいるので、「10シリーズの各セッションの解説」という感じで、どうしても書くことが多くなりますが、これからもおおまかな説明はAさんの記事でしていこうと思います。

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さて今回はセッション4になります。

10シリーズの第2章「深層のセッション(セッション4〜7)」に入っていきます。

この章は別名「コア」のセッションとも呼ばれます。(第1章は「スリーブ」のセッションです。)

コアという機能を支えているのは、「テンセグリティ」というコンセプトの構造ですが、その詳しい説明は後々書いていきたいと思います。

ここでは、「何か負荷がかかった時に、中心から外に向かって拡張していく構造(テンセグリティ構造)を持った空間」ということにしておきます。

もしもそういうコアを持っていると、重力に沿って真下に負荷をかけると、それとは反対方向(真上)に向かって押し返されます。

身体自体は自分の重さがありますから、自分の構造に、自分の重さの分だけの(重力の向きの)力を常に受けていることになります。そうすると、その身体の構造は、上向きに拡張しようとします。簡単に言うと、テンセグリティという構造を持っているおかげで、自分の重さの分だけ、上向きに伸びていく力が働いているということです。

どこで読んだか忘れましたが、建物を建てたりする時のモデル(圧縮モデル)を使って計算して、人間の身体を再現しようとすると、実際の人間の足の大きさでは、自らの重さで潰れてしまうそうです。(だから大体のロボットの足はとても大きな形をしていますし、ゴツゴツした身体を持っています。)

ということは、僕らが建物を建てる時とは、何か違う原理、モデルが、人間には働いているのだということが推測できます。それが、テンセグリティモデルではないのか、ということになります。

人間はある日、重力に向かって、すっと立ち上がります。それはとても筋肉だけの力とは思えず、まだひ弱な脚をしている子どもが、その脚でゆらゆらと揺れながらも、何かに支えられながら立ちます。僕の子どもが立ち始めた時には、上向きの力の波に乗って、身体が揺らいでいるように見えました。

テンセグリティ構造をした身体を持っているので、自分で自分の重さを筋肉などで引き上げなくても、素直に自分の身体の重さを地面にゆだねることができると、それから押し返されて「立たされる」ような感じになるのです。

(もう少しだけ詳しく言うと、身体のこの構造を持って生まれ、そしてこの世界で生きているだけで、上向きの力が常に働いています。それがないと、自分の重さに耐えきれれずに潰れてしまいます。そして生活をしていく中で、少しずつ上向きの力のまとまりが出てきて、「首が座り」、「お座り」ができて、「しゃがむ」ことができるようになります。しゃがむことで足と地面とが接点を持つようになり、そして自らの地面を押す力を加えると、元々構造の中にまとまってきていた上向きの力の波に乗って、ぐいっと立つことができるようになるのです。)

この第2章の「深層のセッション」では、この人間の身体が持っている、自らを立たせる力(ライン)を引き出すようにします。

前置きが長くなりましたが、これらをセッション4〜7でやっていくことになります。


そして、セッション4のテーマは、「脚の内側・骨盤底膜のサポート」になります。

このホームページ内のセッション4の説明には、「横隔膜がからだの中心にある空間(コア)の天井だとすると、その床に当たるのが骨盤底膜です。その骨盤底膜と内転筋をリリースして、骨盤を自由にし、コアの下支えをつくります。」とあります。

自らを立たせる、上に伸びていく「ライン」に乗るためには、「拡張するコア」が必要でした。そして、そんなコアになるためには「自由で水平な骨盤」が必要になってきます。

コアの底の部分にあるのは骨盤です。その骨盤を「何にも縛られずに、自由に動ける可能性を持った状態で、水平にする必要」があるのです。

それをもう少し説明してみると、骨盤にはたくさん(50種類近く)の筋肉が付着しています。筋肉は骨に付着していて、収縮することでその骨を引っ張りますから、骨盤はさまざまな方向からの張力のバランスで位置が受動的に決まります。もしもそのすべての筋肉が硬いと、骨盤は身動きが取れずに束縛されてしまう可能性があります。

「骨盤がゆがむ」とは、よく聞く表現ですが、骨盤は自分でゆがみたくてゆがんでいるわけではなく、いろいろな筋肉によって干渉されて、(受動的に)自分の位置が決まるのです。骨盤をゆがませている状態にしている筋のバランスを変えて、それらを解放してあげることで、骨盤はゆがみのない水平な状態になります。

そうすることで、地面からの自分を支えるラインの力が、頭の上まで効率よく伝わって抜けていくことができるようになるのです。

もしもその押し返す力が、足から脚を通ってきて骨盤を通る時に、骨盤がゆがんで水平の位置にないと、その力がそこでロスされてしまい、背骨、胸郭、上肢、そして頭を支える力が少なくなってしまいます。

そのために、このセッション4で、骨盤から脚の内側に付着している「内転筋群」と、骨盤の底にあり、コアを支えてくれている「骨盤底膜」とを解放し、適切な張力のバランスが取れた状態に導くことが、ロルファーの僕の大切な仕事になります。そしてそれが、自由で水平な骨盤への下準備になっていくわけです。

その結果、土踏まずから脚の内側を通って、骨盤底膜に抜けていく「内側のライン(サポート)」が確立されていきます。

それでは、そんなセッション4のAさんの感想を見てみましょう。


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まず、今自分の体の気づいたことです。

脚のラインが変わったと思います。

4回目のセッションでは、脚の膝から上の内側のラインが気になり、それを改善するワークでしたが、約1週間経ち、脚の内側だけでなく、外側のラインが変わったような気がしています。外側の骨のラインが出て、綺麗に見えるような気がして嬉しいです♪

あとは、歩くのがセッションを重ねるごとに楽になっていますね^ ^軽い軽いっ♪てかんじです!特に、4回目のセッション後はどこまでも歩けそうな、そんな気がしました。

セッション中に感じたことです。
導入でゆうたさんから、体を触っていて「なんだか違うなぁ」と感じる体の部分がもしあったら、自由に動かしていいですよ、と言ってもらってから、第3回目までのセッションでは、触ってもらっているところに集中していたので、他の体の部分たちが窮屈に感じていたとしても、じっとしておこうと無意識に思っていたのかと。。

なので、第4回目は、触られて出てくる反応だったり、一見関係ないかと思われる部分でも、体の声に耳をすませて、体全体に意識を回してあげようと思ってセッションに入りました。例えば、なんだか首を回したいな、とか腕の位置がなんかしっくりこない、と思った時は素直に、しっくりくる位置にくるまでその場所を探してあげました。

骨盤周辺を触ってもらっている時、なんだか背骨がむずむずしてきたら、今まではなんとなく動かないようにしていたと思うのですが、体全部の力を抜いて、上半身の位置を微妙に変えてあげたり、また、意識より体が先に動いて調整しているのを感じました。

あと、印象に残っているのは、横向きになり右足の付け根のあたりを触ってもらっている時に、どうしてかわからないのですが左手と腕が左の上半身の側面から離れなくて、まるでお母さんにひっつく子供のようにそのにぴたりと張り付く感じがしました。

途中ゆうたさんが左手をいろんな方向に誘導してくれて、定位置を探してあげているようにも感じたのですが、やはり左手は左上半身から離れようとしなくて、あれは不思議でおもしろかったです。理由は分からないけど、そこに居たいのかぁ〜?っと思いました。ロルフィング、ほんとに面白いです(笑)

次、何が起こるかわくわくして、いつも次のロルフィングに行きます。

以上今回はすこし短めですが、脚のラインが目視で変わったことと、ロルフィング中の体の反応をもっと自由にしてあげることをなんとなくわかった、第4回目のロルフィングでした。

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脚のラインが変わった

もともとAさんは、すらっと背が高く、脚が長く見える方なのですが、脚のシルエットを気にされていました。確かに、真っすぐに生えている木のようではなく、なんだかうねうねとしているように見えました。

横向きに寝てもらって、脚を前後に動かしてもらうと、骨盤と大腿骨とががっちりと結びついていて、骨盤が脚の動きに引っ張られてきてしまいます。内転筋が硬くなることによって、大腿骨と骨盤とがつながってしまって、お互いが干渉し合っているような感じでした。

内転筋、骨盤底膜の辺りを時間をかけてワークすると、その干渉はなくなり、脚を同じように動かしてみても、骨盤はそれに付いていかなくなりました。骨盤と脚との「分離」がうまくできたかなと思います。

セッションが終わった後に立ってもらうと、脚のシルエットが変わっていました。うねうねが、すっと真っすぐになっていました。そして見える印象も、さらに脚が長く、きれいに見えました。

歩くのも軽く、楽になったようでよかったなと思います。


むずむずしてきて、意識より体が先に動いて調整している

コアのセッションになってくると、身体の深いところにアプローチしていきますが、それは決して「押す力が強くなる」ということではありません。「物理的な押す力」ではなく、自分の「意図」を、その人の身体の深いところに丁寧に持っていきます。そうすると、脚を触れていても、今回のAさんのように背骨が反応してくるということがあります。

多いのは、「むずむず」、「もにょもにょ」、「じわー」などといった感じで、触られているところとは別の場所が「なぜか動かしたくなる」感じがしてきます。

自分の身体の声に素直な人(アスリート、ダンスなど身体表現をされている方など)は、そういう感覚が出てきた時に、すぐに身体を動かして反応してくれるのですが、普通の人だと「え、足を触ってもらっていて、首が動きたがっているんだけど、これって正しいのかな?私が変なのかな?」と、少し考えたり、戸惑ったりしてしまいます。

特に山形というか、東北の人だと、そういった今までにない感覚を味わった時に、「私が間違っているかもしれないから、黙っておこう」という人が多いかなと感じます。(その前にロルフィングをしていたのが「関西」だったので、余計にそう思うのかもしれませんが。笑)

そういった時には、「首がもぞもぞとしていて、動かしてもいいですか?」などと聞いてもらってもいいですし、実際に動かしてもらっても大丈夫です。自然に出てくる反応によるものなので、「間違った動き」というものはありません。

たまにですが、その動きがどんどん大きくなっていって、野口整体で言う「活元運動」や、「アンワインディング(Unwinding)」のような動きになってきたら、なかなか初めての人はうまくコントロールできなかったり、不安になる人もいるので、その時には僕がきちんと誘導していくので、それは安心してください。

その動きそのものよりも、Aさんも書いていますが、「意識よりも体が先に動いて調整している」という感覚の方が、おもしろいなと思います。

脳科学者の池谷裕二さんの本などを読むと書いてありますが、「自分で決めたという意思よりも先んじて、身体が反射的に反応していることがほとんど」だということが、最近の研究でわかってきたようです。

つまり、自分のしている行動は、自分の意識、頭で決めているように感じているのですが、それのほとんどが、それよりも先に身体が反応してしまって行動が起こり、その起こってしまった行動の「理由づけとしての(理解するための)意識」なのではないかということです。

ロルフィングを自分で受けている時もそうでしたが、頭で何かを考えていなくても、身体が勝手に反応し始めます。そして、それを「何が起こっているんだろう?」とか、「それは何の意味があるんだろう?」などと、頭で反応を追い過ぎたり、反応の意味を捉えようとし過ぎると、身体の自然な反応が起きにくくなることもあります。

生き物としての身体が、生き生きと自然に反応してくれていることなので、意識(頭)はそれを「眺めている」ような感じで受けてもらえると、自然にいい方向行くのではないかなと思います。

そして、自然に身体が反応してくれて起きた変化は、「納得」ではなく「感動」します。頭での理解を超えて、身体がよろこぶような感じです。僕もその感動のおかげで、海外にまで行って、ロルフィングを勉強することになったのです。

左半身と左の手、腕の関係性に関しては、今のところまだどういう流れなのかわかりませんが、次第に何か見えてくるのかもしれません。次回のセッション5も、どんな変化が起こるのか僕もわくわくしています。




Yuta

( Posted at:2017年2月14日 )

モニターCさんの感想(セッション2 | 40代 女性)

モニターCさんの2回目のセッションです。

今回は早速Cさんの感想を見てみましょう。

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二回目のセッションは劇的ビフォーアフターが起こりました

初見で大友さんから指摘されていたふくらはぎ、もともと太い筋肉質なのですが、気づくとこの一年位でさらに足首近くまで太くなりました

確かに筋トレ(バーベル担いでスクワット)もしているのですが、別にウェイト増やしたり、メニュー変えたわけでもないのになぁと思っていました

そしてその特に問題児の左ふくらはぎ
二年前の肉離れが悪さしている予感が的中

大友さんには大変ご苦労おかけしました

とにかく時間をかけて施していただきました
筋肉って繊維ひとつひとつ細胞も含め生きてる自分の体なんだと何となく実感

一回目のセッションが住宅の内覧と思え、この二回目から体のリフォーム工事をしてもらったようなイメージです

そして結果、ふくらはぎが細くなりました 

あの足首近くの塊がなくなり足首近くは細い本来の私の足に戻りました
触った感じの質感も不思議と違います
うれしくて何度も見てしまう

大友さんにこんな風に出来るのはロルフィング以外に有りますか?と聞いたところ、エステの強引なリンパ流しとかなら一瞬だけ細くなると言われなるほどなぁと思いました
不思議だなぁと思いつつ自分の体のことをさらにいとおしく感じられるようになりました

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身体のシルエットが教えてくれること

素敵な表現たちが感想の中で踊ってますね。笑

セッション1の際に、立位姿勢を見させてもらった時からそうでしたが、「ふくらはぎの内側」が特に気になっていました。ふくらはぎを両方とも肉離れをされているCさんですが、それにしてもよく発達しています。パッと目を引く感じでした。

身体のシルエットは、実に多くのことを教えてくれます。

「私、太ももが太いんです。」と、おっしゃる女性は多くいらっしゃいます。そのほとんどは、「むくんでいる」状態の方が多く、リンパ節の辺りをワークしたり、関節や、組織が正しい位置になるようにすると、身体の水の巡りが滞っている状態(むくみ)は、自然な循環を取り戻します。そして、結果的には太ももはすっきりとして、セッション前に比べて、ズボンがゆるく感じることがよくあります。

そして、むくみの他にもう1つが、「過度に発達した筋」が原因という方もいます。こちらは、昔から筋肉がつきやすかったというスポーツマンタイプの方に多いです。

では、なぜ過度に筋が発達してしまうのでしょうか。

それは筋が「環境に適応する」性質があるからです。

身体全体の組織もそうなのですが、基本的には、自分の置かれている環境の刺激に対して、それに適応するために、身体は成長、変化していきます。身体の変化は、基本「常に後追い」なのです。そうする必要があるから、変化するということです。

ここからは、少しだけ私たちの生き物の進化のストーリーをおさらいしてみましょう。

私たち生物は、母なる海で生まれました。最初の原始的な生物は、ただの細胞のようなものでした。海水を「膜(細胞膜)」によって仕切り、自分と他者とを分けます。そして、必要なものは自分に取り入れ(吸収)、必要のないものは出す(排泄)という、ただシンプルな「生きる」という行為をしていました。

その細胞たちが集まってきて、ある一定の量に達すると、それは「管」のようなものになりました。その方が、海中にある栄養をたくさん、効率よく吸収できるからです。(それでもただ、海の中を「漂う」だけでした。)

そして、管になった生き物は、それをさらに効率よく吸収、排泄するために、管に「袋」を作っていきます。それが「内臓」の原始的な姿になります。

ただ口を開けて、受動的に栄養を取り入れる状態が長く続きましたが、さらに栄養を効率よく得るために、「能動的に移動する」生き物が出てきました。それを可能にするのが、「骨」であり、それを動かす「筋」になります。筋骨格系の登場です。

その中にはチャレンジャーがいて、いよいよ海から陸に生きる場所を求めるものが出てきます。陸上では、重力が身体にかかりますので、それを支えるために、より筋骨格系が発達していきました。(最初に内臓系、それを制御する神経系、そして意思のようなものを持って移動すために筋骨格系が順に発達していきました。)

陸上は多種多様な環境です。そして栄養の求め方も変わり、移動の仕方、住む場所が変わり、さまざまな「すがた、かたち」が出てくることになります。

でも、基本的には、「生きていくために必要であるから、何かを発達させる」というのは、ずっと変わらないルールです。そういう意味で、「常に後追い」で変化させること、つまりは「適応」をしてきたわけです。

さて、元の話に戻りますが、なぜ筋が過度に発達したかと言うと、「そうする必要があったらから」です。

筋は、重力に抵抗して、移動したり、支えたりするものです。もしも身体の構造の中で、構造がゆがみ、崩れそうになったり、倒れそうになったりすると、筋を緊張させてそれを支えます。それが過剰にずっと続くと、筋を増やして対応します。(ウェイトトレーニングは、身体に重りによる負荷をかけ、それに筋を適応させながら鍛えていくものです。)

太ももが太い人の場合は、下肢全体のアライメントが崩れていて、少ない力で、効率よく、地面から得た力を移動に使っていくことができません。途中の関節で逃げてロスしてしまう力を、なんとか逃さないようにするために、太ももの筋肉で支えている(耐えている)ような状態になります。

これは、曲がりくねった川(下肢アライメントの崩れ)が、氾濫しやすく(力が逃げやすく)、そこに堤防を作ったり、土嚢を置いたりすること(筋を発達させること)に似ています。

下肢のアライメントが整い、必要最低限の力で運動できるようになると、身体のシルエットまでが変わってきます。途中で、力が逃げてロスしないので、筋肉が過剰につく必要がないからです。(スポーツ選手の脚が、細くすらっと見えるのはそのためです。)

Cさんの場合は、地面からの力がふくらはぎの内側辺りに逃げていってしまっていたのだと思います。


子持ちししゃも、産卵を終える

上の言葉もCさんのおっしゃった表現です。笑

確かに、まるで「子持ちししゃも」のようなシルエットでした。

よくよくセッションで話を聞いてみると、「20年ほど、仕事の関係でハイヒールを履き続けていた」そうです。それを聞いて、「それか!」と思わず納得してしまいました。

ハイヒールは、すごく不自然な履物です。それが故に、不思議な魅力を持つものなのでしょうが、それにしても(男性から見ると)歩きづらそうです。たまに前を歩くハイヒールの人が、カクンとなっているのを見ることがあります。

もしかしたら、Cさんはそんなに下肢のアライメントが悪くはなかったのかもしれませんが、ずっとハイヒールを履き続けるという、不自然な足の状態を続けることで、ふくらはぎの内側が過剰に働いて、それで子持ちししゃものように発達していったのかもしれません。

実際には、固まってしまった筋肉の繊維を、1本1本に分けていくような感じでワークをしました。特に肉離れをした箇所は、時間をかけて、細胞レベルにまで分かれていくようなイメージで触っていくと、「産卵を終えた、子持ちししゃも」のように、すっきりとしたふくらはぎになりました。

ただ固いところをもみほぐしたわけではなく、適切な位置に関節、その周りの組織を誘導したので、また「子持ち」になることはないかなと思っています。(またハイヒールを履く仕事をされたら別ですが。)

感想にもありますが、エステなどで集中的に身体の水を移動させると、身体のシルエットが変わったりしますが、身体の構造までが変化したわけではないので、時間が経つと戻ってきてしまうことが多いと思います。(優れた鍼灸師さんに鍼を打ってもらうことでも、身体の水の移動は起きます。)

僕自身も、パッと見て「結構変わったなぁ」と感じたので、「不思議だなぁと思いつつ自分の体のことをさらにいとおしく感じられるようになりました」と思っていただいてよかったと思います。

ロルフィングでは、元々その人が持っている身体の可能性を引き出していくので、その人の自然な魅力が出てきます。決して「背伸び」ではない、その人に「似合った」変化です。

さらにCさんが、自分の身体を「いとおしく」感じられるように、次のセッションも楽しみにしたいと思います。




Yuta

( Posted at:2017年2月14日 )

モニターBさんの感想(セッション2 | 40代 女性)

Bさんのセッション2の感想と解説です。

Bさんの前回のセッションの様子は、こちらをご覧になってください。

セッションの前に少しお話を伺いましたが、今までは、いろいろなところに行ってもすぐに元に戻ってしまって、だましだましやってきたようなのですが、腰の状態が1ヶ月良かったようです。

身体にかなり負荷がかかっていて、「身体の悲鳴が聞こえてくるようでした」というところからのスタートだったのですが、身体の反応がいい方向に進んでくれて安心しました。

以下が、Bさんのセッション2の感想です。

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本日2回目の施術を受けて来ました。
1ヶ月間が開きましたが、その間、腰が悲鳴をあげずに過ごしてこれました。
また、普段意識しなくても、腹式呼吸することが自然とできていてびっくりしました。

足からとの説明を受け、足とはいえ結局身体を支えてる大切な所との事で、足だけでなく繋がってるすべてに良く働くと聞き、期待をしつつ施術を受けました。

力を抜きまっすぐ寝ているつもりですが、
スキーの左ターンのような足の向き。
骨盤まで同じ様に歪み、それにより股関節の張りや痛みがでてるのでは、との事。

胃が弱っていたせいもあり、胃の辺りの施術を受けてから足の施術をしていただきましたが、呼吸も楽になり、温かいベッドでとてもリラックスできました。

右足の故障が多いため、右足の施術は丁寧にしていただき、施術終了後は、足の裏が床に全部ついてる感じ。
当たり前が出来なくなっていた私の足が、
ようやくゼロの状態になった様でした。

両足で立ち、フライパンにバターを入れ、回している様子をイメージしながら自分の体重移動をしてみると、施術前より明らかに足の裏全部に満遍なく伝わり、楽に立っていられる気がします。

足の施術の次は腰の部分ですと説明を受けてきました。
元々悪く、何とかしたくてスタートし始めたロルフィングです。
次回腰がどれくらいが楽になるかとても楽しみにしております。

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インソールなしで、インソールがあるような状態を引き出す

足は大切な場所で、その構造の影響が全身に及びます。

僕の以前勤めていた整形外科では、腰の痛みがある人などに「インソール(靴の中敷き)」の処方をしていました。西洋医学でも、足部の構造、機能の改善が、全身に影響するということが認められているということです。

僕はインソールを作れるわけではないので、いかに自分のタッチによって「インソールをしているような状態」に、足の構造を誘導していけるかがポイントになります。(しかも一時的なものではなく、ずっと続くものとして。)

僕は元々かなりの「扁平足」でしたが、正直、インソールなどで「物理的に」構造をサポートしてあげないと、何もできることはないなと思っていました。アーチが下がってきているのだから、その下に何かを置くしかないのかなと。

しかし、自分がロルフィングのセッション2を受けた時に、「あ、足のアーチができてる」と、自分の足を見て驚きました。特に何も意識はしていなかったのですが、確かにアーチは上がっていたのです。

その後もいろいろなロルファーのセッションを受けましたが、特に足を触っていなくても、足の構造が整い、自然なアーチができてくることがありました。

足の構造が整うことで、それが全身の構造にも影響していきますし、全身の構造が整うことで、足の構造が適切になるということもあります。

部分が全体に影響し、全体が部分に反映されるということですね。


足の裏が床に全部ついてる感じ

Bさんの足を観察してみると、ひどい捻挫をして骨折までした右足は、全体的に固く、しなやかに動いているようには見えませんでした。足には30個近く骨があるのですが、大きな1つの岩のような感じに見えました。

そんな状態では、簡単につまづいてしまったり、地面に接地した時の衝撃をうまく吸収することができずに、上にある膝、股関節、腰などに負荷がかかってしまったりします。

また、足が地面に吸い付いていないので、自分の体重をゆだねることもできず、常に自分の重さを筋肉が引き上げているような感じになります。そうすると、慢性的に筋肉が緊張して、コリ、張りができやすくなります。(これは滑りやすい路面に立っている時に、その上の身体がどういう状態かを想像してもらえたらと思います。)

実際に右足を触ってみると、どことどことが骨の境目、つなぎ目なのかがわからないくらい、足の骨が「分離」できていませんでした。まさに一枚岩のようです。

だからと言って、無理矢理に大きな力でそれを変えようとすると、身体がその過度な介入を拒否してはね返し、それにさらに力を加えていってという、悪循環になってしまいます。向こうはますます固くして、こちらはどんどん疲れてしまいます。

そうではなく、うまく「意図」を使って、「深い」ところにアプローチしていきます。「タッチに使う力=実際に扱う深さ」ではないところが、ロルフィングのおもしろいところです。

つまりは、「この辺に骨があって、分かれて動きがあるはずだな」と、適切な位置に触れて、意図だけを正確に深く持っていくと、自然に身体が反応し始めます。そして、身体の内側の深いところから変化してきて、それが全身に波及して、大きな変化になっていくのです。

Bさんの右足も、セッション後には大分しなやかになり、ぺたっと床についている感じになり、全身の緊張もなくなっていました。右足に体重をゆだねることができて、余計な力が抜けてきたのだと思います。

まさに「当たり前が出来なくなっていた私の足が、ようやくゼロの状態になった様でした。」という感じでした。

当たり前ができなくなって、できないことが当たり前になっていく人が多いなと、個人的に感じています。みなさん諦めてしまうんですね。

そしてそれを促すように、身体を見てもらう人に言われることがあります。

「その年齢だとしょうがないですね。」
「まだ痛いのなら、体重を減らすしかないですね。」
「手術跡の違和感は、時間をかければいずれなくなりますよ。」

僕はそんなことはないと思っています。

もちろん神様ではないので、すべての苦しみから解放しますとは言えませんが、まだできることは多いと思うのです。そんな方のサポートがロルフィングでできたらなと思っています。


フライパンにバターを入れ、回している様子をイメージ

これは、僕のヨガの先生である山本邦子さんに教えてもらったやり方です。

観察する人は座って、前に立っている人の骨盤に手を起きます。立っている人にはゆっくりと足の裏を重心が移動するようにしてもらいます。その時に、「フライパン(足の裏)にバター(重心)を入れ、回している(重心移動)」イメージでやってもらいます。

スムーズにバターが溶けていき、フライパンになじむ場所もあれば、バターがスムーズに溶けなかったり、なかなかフライパンの端まできれいに届かない場所もあるかと思います。ただそれをゆっくり動きながら、後ろに座って手を触れている僕も、立っている人も静かに観察します。

Bさんは、やはり右足の方に移動してきた時に、カクカクとスムーズさを失ったり、なかなか端まで移動できないことがありました。フライパン全体に、バターがなじんでいない状態です。

それをセッション後にもう一度やってもらうと、フライパン全体に満遍なく、バターがスムーズに溶けていくような感じになったようでした。それを観察している僕も、なんだか身体の緊張が溶けて、心地がいい感覚がしました。

これは、セルフエクササイズとしてもできるので、捻挫を繰り返していたり、歩くとすねが張ってきてしまう人などにおすすめです。

うまくバターが溶けないところも、時間をかけてゆっくりと動かしていると、その範囲が少しずつ「自然に」広がってきます。無理矢理に広げようとすると、かえって緊張を作ってしまうことがあるので、のんびりとやってみましょう。


Bさんは1ヶ月間隔で10シリーズを受けていらっしゃいますが、2回目でもうすでに目に見える構造の変化が出てきました。構造が変化してくると、身体の動かし方などの機能が変わってきます。そして、その機能を使って生活していると、さらに構造が変化するといういいサイクルに乗ることができます。

次は10シリーズの第1章である「表層」のセッションの最後、セッション3になります。どんな変化が出てくるのか楽しみにしています。




Yuta

( Posted at:2017年2月14日 )

モニターEさんの感想(セッション1 | 30代 女性)

5人目のモニターはEさん、30代の女性の方です。

Eさんの問診票に書いていただいたことと、少しお話をしてわかったことを下にまとめてみます。

・亜急性甲状腺炎になり、ステロイド剤を服用している。
・左の肩甲骨の辺りに、コリがある。
・3年前に、右腰を仕事で痛めた。
・ストレスがかかると胃腸炎になりやすい。
・大学時代はジャズダンスに打ち込んでいた。
・カイロ、鍼灸、アレクサンダー・テクニーク、ピラティス、
 ジャイロ、クレニオセイクラルを受けたことがあり、
 心と身体の関係に興味がある。

整形外科的なところでは、左の肩甲骨周辺と、右腰に症状があり、内科的なところでは、甲状腺に最近症状が出てきたということでした。

身体の動きに関して、ジャズダンスを熱心にされていたり、その後、さまざまなボディワークを受けていらっしゃるので、すごく身体感覚に優れた方なんだろうなと感じました。

以下がEさんのセッション1の感想になります。

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今日はありがとうございました。以下感想です。

身体と心と目に見えないツボや気などのエネルギーの部分。それらのつながりと、総合的に健全で心地良くいられるにはどうしたらいいかに興味があり、ロルフィングもいつか受けたいと思っていました。

スタジオはすっきりシンプルながら、木の床と天井のおかげでやさしい感じがして、自分の身体と向き合うのに心地よい空間でした。

ロルフィングを受けること自体が目的だったので、身体の悩みは左肩甲骨の凝りと以前痛めた腰が気になるくらいでしたが、昔からの反り腰やO脚、うまく立てていない感じがすることなどもご相談してみました。

案の定、身体の状態を調べて頂くと、ものすごい歪み具合、ねじれ具合。変な感じがして当然です。愕然としましたが、逆に10回のセッションでどう変わるか楽しみにもなってきました。

施術は、身体に手を押し当ててるだけ?と思ってしまうくらい(笑)穏やかなもの。そしてゆっくり時間をとる。力で動かしたりするのではなく、身体が自分で変わるのを待つ、という考え方に目からウロコでした。穏やかなのに、手を離された後は薄い殼というか鎧を脱いだように身体が開放され、リラックスしていました。今まで自分の身体だと思っていたのは、この鎧だったことに気づきました。

「初回は全身のネジをちょっと弛める感じで」とおっしゃった通り、全身が程よく開放され、浅かった呼吸も変わりました。施術前はは鎖骨の下辺りまでしか空気が入っていない感覚でしたが、施術後は肋骨まで、そして背中にも入ってくるようになりました。

施術が終わって床に立った時、今までとのバランスの違いに驚きました。ガタガタいいかげんに積んだ積木が、施術後はきちんと揃えて積まれた感じ。特に頭と首の位置が変わりました。頭は重いので、今まで相当負担がかかっていただろうと思いました。

立っている時の違和感がなく、重力が身体の中心線一本にだけかかっている感覚で、とても楽です。

次回までたっぷりこの感覚を味わい、これからのセッションでも、ゆっくり身体と心の変化を楽しみたいと思います。「鎧」が外れたら心もかなり変わると思うので。

ありがとうございました。

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感想をぱっと読んでもそうですが、身体を総合的に、統合的に考えていらっしゃって、からだとこころの関係、見えるもの(物質)と見えないもの(エネルギー)の関係にも興味があるということで、ロルフィングに合っているかなと思います。

「わかりやすさ(説明のしやすさ)」や「効率(時間がかからない、ムダがない)」に、すごく重きを置きすぎているのが、今の世の中の流れかなと思います。

僕は「バランス」を見る職業をしているので、そういったものももちろん大切だと思うのですが、「うまくは語れないこと」や「時間がかかり、ムダに見えるもの」も、うまく掬い取りたいなと思っています。

そういう意味で、僕には「1回で、すぐに治る」ということよりも、「時間をかけながら、いろいろなものが解けて、つながっていく」というロルフィングの10シリーズが合っている(得意)のだと思います。


今まで自分の身体だと思っていたのは、この鎧だったことに気づきました。

すごく素敵な表現だなと思います。

人は「なんとも弱く、未熟な裸の状態」で生まれ、少しずつ成長しながら、大きくたくましくなっていきます。人には優秀な頭があるので、身体そのものが生物的に成長していくのに加え、知識を増やしたり、友だちの数を増やしたり、肩書きを並べるようになったり、自分の外側に「鎧」を作っていっているとも言えるかもしれません。

その鎧は「硬く、隙間(スキ)がない」方がよく、自分のしていることをよくよく観察してみると、その鎧をせっせとこしらえているように見えることもあります。

何か人が「間違い」を起こした時に、それをゆるしたり、受け流すのではなく、それをつっついたり、その傷を広げたりすることが、今の社会では日常になってきています。なぜそんなことをするのかを考えていくと、他人の間違いを指摘することで、相対的に自分の正当さを訴えているのだと思います。それは、自分の身体を覆う鎧が、大きく、硬く立派であることを、多くの人に褒めてもらいたいのだとも考えられます。(褒めてもらえるのは、あくまで鎧であって、その人そのものではないのですが。)

僕もロルフィングを学んでいる時に、これによく似た経験をしました。

ロルフィングをする前には、僕はトレーナーをしていたのですが、僕が考える優秀なトレーナーは、「知識(資格)」、「人脈」、「経験(実績)」をたくさん持っている人でした。なので、そういったものを、とにかくどんどん大きく積み上げれば積み上げるほど、自分が優秀になったと思っていたのです。

そうして大きくなった僕は、ロルフィングのトレーニングで、これを1個ずつ剥がしていくような経験をしました。ロルフィングのトレーニングでは、何か新しい知識、技術を「加える」というよりも、余分なものを「取り除く」というような感じでした。それを丁寧にすることで、タッチにエゴが入らず、透明なものになっていきます。

それは大きく強いと自惚れていた自分を、「裸にする」ような感じで、時に痛く、苦しいものでもありました。

ロルフィングの10シリーズでも、新しく何かを自分に加えたりすることはあまりなく、余分にくっついていて、自分を制限してしまっているものを取り除いていくことを、ロルファーがガイドをしながら自分でしていきます。

仮にそこで得られた経験に何か「新しさ」を感じたとしても、それは「学ぶということは、既に知ってしまっていることを、あらためて学び直すことである」という、ハイデガーという哲学者の言葉で表現されています。そうです、既に私たちはそれを知っていて、それを忘れているだけなのです。

鎧を自分の外へ外へ作るのではなく、自分の内側に深く静かに潜っていくということ。

そしてそれが「安心、安全」にできるように、ロルファーは余計なことをせず、適切にガイドをしていく必要があります。それにはロルファーにも「鎧がないこと、裸であること」が求められます。

タッチの種類はロルファーによって多種多様ですが、僕が素晴らしいと思うロルファーは、「透明な意図」を感じるタッチをしていました。加える力、タッチしてからの動きはいろいろあるのですが、深さは深く、扱いたいものの意図(筋膜なのか、骨なのか、エネルギーなのか)が、明確なものでした。

感想に書いてくれていますが、Eさんはすぐに身体が反応してくれたので、僕はただ手を当てて見守っているだけで大丈夫でした。それでセッション1で得たい反応は、自然に出てきてくれています。

時に鎧は自分を守ってくれるので、最低限の鎧は、今の時代は持っていなければいけません。けれども、必要がない時には、それは身体と「容易に分離することができる」というのが好ましいと思います。あまりにべったりと身体に張り付いて、身体に同化してしまっている人は多いと思います。

これがどんな風に解けていくのか。そしてそれでどんなことが起こってくるのか。次のセッションも楽しみにしたいと思います。




Yuta

( Posted at:2017年2月14日 )

モニターDさんの感想(セッション1 | 40代 女性)

今回はモニターDさん、40代の女性の方のセッション1です。

Dさんの問診票を見てみると、以下のような感じになりました。

・手先が冷える。
・朝起きると、首、肩回りがこっている。
・両膝が時々痛い。
・歩いていると、左脚が上がらなくなる。
・なんとなく腰がずっと痛く、ギックリ腰になりかける。
・2年前に尻もちをついて、起きれないほどに痛かった。

女性でよく見かけるような症状が、いくつもあります。そしてなんとなくですが、すべてが少しずつ関連していそうな気もします。

「尻もち」というのがなかなか厄介で、雪国の山形だとちょこちょことあります。笑 ふいに起きることなので、こちらも準備していなくて、「意外に身体の深くに衝撃が入って、こもってしまう」のが厄介なところです。

僕にはそれが少し気になりました。Cさんに「その影響はありますか?」と聞いたところ、「影響は特にないと思う。」との答えでした。

尻もちなど、交通事故などもそうなのですが、「突発的に身体にかかる大きな衝撃の余波」に関しては、感想の後に解説で書きたいと思います。

以下がDさんのセッション1の感想になります。

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昨日はありがとうございました。

昨日セッションを終えた後に感じた腰のハリはなくなりました。
いつもなんとなくだるかった腰回りもすっきりとしています。

お昼過ぎてもお腹が空く感じがしませんでした。
ただ、ご飯を食べたらものすごく眠くなりました。
晩ご飯の後も眠くなりました。

お風呂に入ったら、いつもよりも顔から汗が出てきて、あれー?っと思いました。
いつもだとすぐ冷えるのでだらだらお風呂に入っているのですが、
すぐに温まってのぼせるような気がしたので、いつもより早くお風呂から出ました。

今日。
肩と首だけなんとなく重い感じがあります。
首を前後に曲げると、前に曲げたときは背中まで全部ひっぱられてついてくる感じ?
後ろに曲げたときは肩の付け根あたりが苦しい感じになります。

意識して呼吸すると空気が鼻からすっとまっすぐ入ってくるようで、
楽に吸えるようになりました。

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時間差で身体が反応していく

Dさんの感想を見せていただくと、「セッションを終えてから」いろいろな反応があったようです。

ロルフィングでは、身体の内側の深いところにアクセスしていくので、それが身体の至るところに「時間差」で、何かしらの反応を引き起こしていったりします。なので、セッションを受けてから1週間くらいは変化が続いていきます。

「2、3日後の朝起きた時が、一番身体が軽くて楽でした。」などという場合もありますし、「すごく眠くなりました。」「排泄がスムーズになりました」などと、セッション1とは直接関係なさそうなところが反応することもよくあります。

Dさんの場合は、終わった直後に腰の張りがあったようです。すぐに僕が気づいて、それに対して何かアプローチしていたらなと、少し反省しています。そういった「セッションが終わった後の違和感、痛み」などは、身体の何かしらメッセージなので、ちゃんとそれを受け取って聞いてあげると、そんなにいじわるをしたり、長居することがないのが特徴です。Dさんも、すぐに張りはなくなって、腰回りがすっきりしてきたようです。

その他にも、「食欲の感覚が変わった」、「眠くなった」、「身体が温まりやすかった」などという反応が出ていますが、これは「自律神経が反応している」からかなと思います。自律神経は、「集中、興奮、緊張、ストレス反応」などに関する交感神経と、「リラックス、弛緩」などに関する副交感神経から成っています。1日の中で、ゆるやかな波を描きながら、これら2つの神経が切り替わっています。その切替がうまくいかなくなると、「自律神経失調症」と呼ばれるものになっていきます。

現代はストレス社会とも呼ばれ、交感神経が常に働いているような状態で、身体がゆるみ、リラックスする副交感神経への切り替えがなかなかうまくいかないという人が多いなと感じています。

それがロルフィングを受けていくと、自然に副交感神経も働き出し、Dさんのような反応が出始めます。

セッション2で扱う領域である首から背中への張りが出てきていますが、身体に「早くセッション2をやってください。」と言われているような感じなので、早くセッション2をしてあげたいなと思います。


突発的なアクシデントの衝撃の余波

突発的なアクシデントにより、「ドカンと」衝撃を受けることが生きているとあります。今回のDさんは「尻もちをついた」ということでしたが、そういうものが後々身体に影響を及ぼしていくことがあります。

現在Dさんが感じていられる症状が、すべてそういうものによる影響というわけではないのですが、そういうこともあるよということで、この先の説明を書かせてもらいます。

以下はその大まかな説明なのですが、少し難しいところもあるので、「尻もちをしたり、交通事故をした時に、なるべく速やかに、適切な処置を身体にしてあげないと、後々問題を起こしてくることもあるんだ。」とだけイメージしていただけたら、読み飛ばしていただいて構いません。

さて、整体を始めた野口晴哉さんが、「打撲はなかなか厄介だ」ということを、本の中で書かれています。骨折などは、外からの衝撃の力が、骨にダイレクトに伝わり、音と共に「バキっと」折れてしまうので、後はしっかりと固定をして安静にしていればいいのですが、打撲は足を引きずりながらも歩けたり、その後も普通に生活ができてしまいます。しかし、見た目にはなかなか現れてこない影響が、知らない間に身体にじわじわと広がっていっているのです。

物理の時間に習った記憶のある方もいると思いますが、何らかの運動している物体が別の物体に衝突した時に、その運動していたエネルギーが、衝突された物体に「吸収される」場合と、「吸収されない」場合とがあります。吸収される場合は、その運動エネルギーは、別のエネルギー(熱、音など)に変換され、減少してしまいます。吸収されない場合は、その運動エネルギーは、方向が変わるかもしれませんが、量自体はさほど変化しません。

これを身体に起きる「骨折」と「打撲」の場合で考えてみたいと思います。

骨折の場合は、衝突した物(車や人など)の運動エネルギーが、そのまま骨に伝わり、骨の変形(ここでは骨折)に使われ、骨が折れるという運動エネルギー、バキッという音のエネルギー、衝突した物のその後の運動エネルギー(これはゼロの場合もあります)に分解されます。

しかし、打撲の場合には、衝突した物の運動エネルギーが、衝突された物(ここでは身体)に吸収されてしまいます。主には筋肉や軟部組織が変形するエネルギーに変換され、身体にエネルギーが「こもる」ような状態になってしまいます。

エネルギーが身体に吸収され、こもってしまう現象を、硬い「木(骨)」と、同じような形の「ゴム(筋肉、軟部組織)」にボールを衝突させた例で、もう少し説明してみます。

硬い木が折れる場合には、バキッと音が響き、木が折れて、衝突した後もボールはまだ動いていると思います。この時のボールの運動エネルギーの減少は、少ないと考えられます。

ゴムの場合はと言うと、音はさほどせず、ゴムがたわんで震えたりして、ボールはその場にポトッと落ちると思います。この時はボールの運動エネルギーの減少は多く、その減少分がゴムに吸収されています。

尻もちをついて打撲をしたり、交通事故などでむち打ちになった場合は、ゴムにボールが衝突した状態に近いため、エネルギーがこもり、それが後々問題を起こすこともあるのです。

では、動物たちは、何か衝撃を受けた時に、どういう反応を見せるのでしょうか。




動物たちは、多くの場合「身震い」をします。犬や猫などを飼っている人は、見たことがあるかと思いますが、「ブルブルっと」細かく身体を震わせます。そのことで、「こもったエネルギーを発散、解放する」のです。

上の動画は、シロクマに麻酔銃を打って(これがシロクマにとっては、衝撃だということです)、それからどのように目覚めていくのかを紹介したものです。1分過ぎくらいから見てもらうと、シロクマが細かく身体を震わせて、そのショック状態を解放しようとしているのがわかると思います。

動物たちは、そういった衝撃を受けた状態(トラウマ状態)を、「その場その場で解消」していくのが特徴で、「後には残さない」のです。

打撲をした子どもが、その日や、その後数日間、突然熱を出したり、吐き気がしたり、情緒が不安定になって怒ったり、泣き叫んだりする場合は、それは打撲でこもったエネルギーの影響で混乱した身体のシステムが、なんとか「発散、解放」しようとしている反応だと考えられます。

子どもなら、まだまだ動物に近いので、すぐに身体がその衝撃をリリースしてくれます。しかし、大人が尻もち、交通事故などをすると、なかなかそれができずに、その後ずっと微熱が続いたり、首、肩が異常に緊張していたり、気分が不安定になることがあります。

ちなみにですが、僕の母親が数ヶ月前に尻もちをつきましたが、その後すぐに「便秘」が続いて、ずっとお腹が張っていて、腰も重だるかったそうです。便秘は1週間ほどでよくなったそうですが、腰の重だるさは今も少しあるそうです。身体にまだ衝撃がこもっているのだと思います。

今回のDさんの場合は、そこまでの関連があるかどうかはまだわかりません。決めつけはしたくないので、今後も身体の反応を素直に観察しながら、セッションを進めていきたいなと思います。

ちなみに、Dさんはセッション中に自然に身体が動き出す、野口整体で言うところの「活元運動」的な反応が出てきていました。これは身体のこもったエネルギーの解放の反応でもあります。その辺も、後々解説していきたいと思います。

次のセッションも楽しみにしています。




Yuta

( Posted at:2017年2月 7日 )

モニターCさんの感想(セッション1 | 40代 女性)

10シリーズのモニターの3人目はCさん、40代の女性の方です。

Cさんが問診票に書いていただいたことを下にまとめてみます。

・右肩腱板炎 夜に痛みあり、結帯動作(後ろに手を回す)ができない。
・7年前に子宮内膜症を手術して、腹部に数カ所傷跡がある。
   数年前に再発し、生理を止めたら、予後は良好。
   現在は経過観察中。
・両ふくらはぎを、数年前にそれぞれ肉離れした。
・普段、頭痛もあり。

子宮内膜症の手術から始まり、ここ数年で、バタバタバタと身体が何かしらのサインを出しているように見えます。

手術のことはBさんのセッション1の時にも書きましたが、現在は傷跡はほとんど目立たないらしいのですが、身体の中の影響が気になるところです。そして、今も完全には子宮内膜症が消えたわけでなく、再発されています。それが出てきた「背景」の部分は、手術では変化されなかったということだと思います。

姿勢を見た時には、骨盤がねじれた位置にあることが気になりました。

両ふくらはぎを2年前、3年前にそれぞれ肉離れされたようですが、どちらも内側だったそうです。立った姿勢を見てみると、ふくらはぎの内側が「もこっと」盛り上がっていて、かなり目立って見えます。

その姿勢の中で、「ぱっと目を引くクセ」というのは、何かしら問題がそこにあることを示しています。ロルフィングは、重力の環境下で、身体の構造を最適な状態にしていきますので、そういったクセが、どんどん薄くなってきます。

実際にCさんに歩いてもらうと、「ヒールコンタクト(歩行、走行時に踵が床に付くこと)」の音が、かなり大きく響きます。骨盤から上がしなやかに動いていなくて、脚だけがぴょこぴょこと前に放り出されるように歩かれていました。そのせいで、ドンドンとヒールコンタクトが強く、ふくらはぎに負荷が集中してしまったのではないかと推測しました。

そして、現在の腱板炎に関しては、肩を上に挙上していくのは全然問題ありませんが、肘を90度に曲げ、肩を水平の位置(セカンドポジションと言います。)まで持っていこうとすると、痛みがありました。

以上が、問診票に書いていただいた情報と、立った姿勢、歩いている様子を観察したところから得られた情報とをまとめたものです。

それではCさんの感想を見てみましょう。

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一回目のセッションを終えて今日で三日目です

今回ロルフィングをスタートしようと思ったきっかけは一ヶ月ほど前から肩の腱板炎になり夜は鎮痛剤を飲まなくては眠れないくらいの痛みで総合病院の整形を受診していました
いまのところただの肩の故障と捉えることも出来るのですが私自身これは何かのサインに過ぎずたぶん体のリミットが近い予感がしたからです
一年前から家族の長期入院など本来楽天的な私でもストレスフルでガチガチの日々を送っていたことも大きな要因かと思います

そしてセッションを終えてみて一番の変化は『体の軽さ』です

軽さは呼吸の楽さが影響しているような気がします
いつもより深く呼吸するのが自然に感じます
いつもの呼吸よりもう一息分ながく息を吸える感じです
肩や首の動きもとても楽です 
痛めていた右肩も少し稼働域が広くなりました
指摘された反り腰も気をつけて鏡でチェックしています

エネルギーワークを受けてるときにグルグルめまいのように体が回り出したような感覚はとても不思議でした
あまりに可笑しくて大友さんに途中で伝えましたが『気持ち悪くないなら続けます』って冷静に言っていただいて安心したのでそのまましばらく回り続けました

緊張が続いていた生活の結果こりこりに固まったものがほどけるような心地よさを感じました
水面に浮かんだ葉っぱに乗って回転しているような感じです

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ただ単なる身体の故障ではなく、身体の何かのサイン

「痛み」を抱えてロルフィングを受けられる方もたくさんいらっしゃいます。ロルフィングは、「痛みの緩和、減少」を、直接の目的とした「治療行為」ではありません。あくまで、身体の構造を全体的に見て、重力と身体とが調和している状態を目指しています。

身体が重力と調和してくると、それが身体が自らを支える「ライン」として現れてきます。ラインが身体を支え、そのラインの周りに、身体の組織が、元々ある位置に調整されていきます。そうすることで、自然治癒力のサイクルに乗ることができ、自由で快適な身体を手に入れることができます。

その「結果として」、痛みが緩和、減少することはよくあります。

そしてこれは、治療結果が出ない場合の「言い訳、逃げ道」ではありません。

「痛みがあるかどうか」は、その人の全体を適切に理解するための、大切な一つの情報であって、そのすべてではありません。

ロルフィングの目線は、「その人全体」に常にあります。だからこそ「関係性のボディワーク」とも呼ばれ、身体のそれぞれの場所同士の関係(足と膝と股関節の関係など)、筋肉と内臓、神経と血管などの各組織、システム間の関係、身体と環境との関係、わたしの身体と他者(家族、仕事仲間、パートナーなど)との関係など、人間に関わることすべてのことから、その人全体を捉えていきます。

それは時に、その人本人でさえもわかっていないことで、それが10シリーズという身体の変化のプロセスを経ることで、「自分を書き換え、より理解すること」につながっていきます。

「痛み」はそのための一つの大切な情報です。でも、すべてではないのです。

これは「治療行為の否定」ではなく、「ロルフィングが他よりも優れている理由」でもなく、そういう立ち位置、コンセプトを取っているということです。

話が大きくなりましたが、とても大切なことですので、最初の方で書いておきたいと思います。

ということで、ロルフィングに自然に(なぜか)惹かれ、受けることを決意された方は、その時点でもうすでに、自分で身体が元あった状態を思い出し、自然に癒えていくプロセスが始まっています。

Cさんの場合も、もちろん痛み、不調がなくなってほしいと願われていると思いますが、それを「現時点では何かはわからないけど、何らかのサインのような気がする」という直感で、ロルフィングを受けられることを決められたのだと思います。

そしてこういった直感は、概ね間違った方向に進むものではないと、僕は考えています。


水面に浮かんだ葉っぱに乗って回転しているような感じ

Cさんは以前、ロルフィングの説明会をfestaでした際にいらしてくれました。説明会でしたが、ロルフィングがどんなものかを体験してもらうために、少しだけワークをさせてもらいました。

僕はロルフィングと合わせて、「ソースポイントセラピー」というエネルギーワークを一緒にしています。その時は、ソースポイントもしてみたのですが、とてもおもしろい反応が出てきたので、Cさんのことはとてもよく覚えていました。

ソースポイントセラピーについてですが、ロルフィングを教えていた先生が、そのパートナーである奥さんと一緒に生み出したもので、とてもシンプルですが、身体にダイレクトに変化が現れます。直接的なタッチによって身体の構造を変化させていくロルフィングとは、とても相性が良いなと僕は感じています。

私たちの身体は、常に自分の身体を更新し続けています。髪、肌、ツメなどはイメージしやすいと思います。さらに筋肉や内臓も、硬そうな骨でさえも、どんどん更新されていて、何年か前の身体とは、まるっきり違うものに「入れ替わって」いるのです。そのスピードがゆっくりと進むので、私たちはそれに違和感を感じませんが、確かに身体は日々生まれ変わっています。

身体が日々アップデートされているとして、その際に、「最新の情報をどこからダウンロードしているのか」、「参照元はどこなのか」という問題を、ソースポイントセラピーでは「ブループリント」だと考えています。そのブループリントには、身体の健全の情報がすべて含まれています。

そこから情報をダウンロードして、身体を最新の状態にアップデートしているのですが、その時に「ノイズ、バグのようなもの」があると、情報を正しくダウンロードすることができません。それがどこにあるのかを「スキャン」して、それを取り除いていき、身体が健全であるために、情報を正しく自分に取り入れようとするのが、ソースポイントセラピーの、非常に大まかな説明になります。

Cさんは、ソースポイントへの反応も良く、それも感想に書いてくださっています。

ソースポイントへの反応は、本当に人よってさまざまです。Cさんの場合は、「水面に浮かんだ葉っぱに乗って回転しているような感じ」があったようです。

「磁石によって、体液がぐわーっと移動している感じがします。」
「なんだかピリピリしています。」
「ポカポカあたたかいです。」
「身体が勝手にピクピクと動きます。」
「身体の粒子が細かくなって、それが整う感じがします。」

などなど、本当にいろいろあり、どれが正解だとか、「全く何も感じない」という方もいて、それぞれでいいと僕は思います。

ただ、今まで体験したことのないような反応が身体に起きるので、「それが合っているのかどうか」と気にされたり、不安になられる方もいらっしゃるので、Cさんのように途中で伝えてくださると助かります。


結果としては、呼吸が楽になり、身体の軽さを感じていらっしゃるので、セッション1としては順調だと思います。セッション後には、ヒールコンタクトの音も、少し和らいでいたのがおもしろかったです。

セッション2では足、下腿にアプローチしていくので、ふくらはぎの肉離れについて、もう少しわかってくるかと思います。これからどんな風に進んでいくのか楽しみです。




Yuta

( Posted at:2017年2月 6日 )

モニターAさんの感想(セッション3 | 20代 女性)

今回はAさんのセッション3の感想と、僕の解説になります。

セッション3のテーマですが、「横のラインと前後への広がり」になります。

なかなかわかりにくいので、少し説明してみます。(もしも説明が長く、難解だと感じる方は、どうぞ遠慮なく下のAさんの感想にお進みください。)

1回目は、呼吸を自由にすることで、どちらかと言うと「前」への広がりを感じるようにしました。

2回目は、足首にアプローチをして、地面との安定したつながりを持たせます。そして、背骨の脇にある筋肉もゆるめ、「後ろ」もオープンにします。そうすることで、背骨が上に伸びていくような感覚になります。

そして今回の3回目では、身体の「横」にあるラインを確立します。前にありすぎる組織は後ろへ、後ろにあるものは前へ持っていき、横のラインを基準に「前後に仕分け」をします。前と後ろのあるべき位置に身体を導いていくのです。


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そうすることで、前はより前へと、後ろはより後ろへと広がりやすくなり、前後に「ボリューム(厚み)」が出てきます。上の図の右側を見てもらうと、骨格が赤い長方形の箱に囲まれています。この箱の「幅」が出てくるようなイメージです。

若い女性にありがちですが、横から姿勢を見ると「薄い」人がいます。ぺしゃっと潰れているようにも見えます。「細い」というのとはまた別で、風が吹いたら倒れてしまいそうな感じさえします。ボリュームがなく、なんだか不安定に見えます。

猫背だったり、すごく腰が反っているような姿勢では、前後のどちらかに偏りがあるので、赤い積み重なった正方形の箱が、少しずつ前後にずれているように見えます。(だるま落としに似ています。)その箱がきれいにまっすぐになると、安定感が出てきます。一箇所だけがきれいに整っていてもだめで、常に「全体のバランス」に視野を置きながら、箱を並べていくのがポイントです。

呼吸が自由に広がり、身体全体が外の空間に対して、やさしく膨らむようになると、ボリューム、奥行きが出てきて、それが構造の安定にもつながってきます。構造自体が安定してくることによって、要らない力を抜くことができるようになり、身体を重力に委ねられます。そうすることで、そこから上に抜けていく、身体を支える「ライン」が自然に現れてきます。

◯よくあるパターン
箱がずれていたり、箱の幅が小さい→構造が安定しない→力が抜けない→体重が足裏を通して地面に抜けていかない→自分の筋肉で引き上げて身体をなんとか安定させる→慢性的な筋の疲労→身体のだるさ、重さ、または痛み

◯ロルフィングで目指していく流れ
箱がきれいに並んでいる、箱がゆったりと幅がある→構造が安定→力を抜くことができる→自分の身体の重さが、足裏から地面に抜けていく→地面が自分を押し返してくれる力(ライン)を得られる→どこにも滞りが起きにくく、リラックスしている→自然体

さらに上の図を見てみると、横のラインを基準に、身体がゆるやかにきれいな波、カーブを描いているのがわかると思います。横のラインの前後にうまくカーブを持ってくることで、「やじろべえ」のように質量を前後に配分でき、「動的な安定(または平衡)」を得ることができます。

人間は、移動しない建物のように静的な安定ではなく、やじろべえのような動的な安定をしています。それによって、一見止まっているように見えるけど、「微妙に動きながら調整」していたり、ふいに何か負荷、衝撃がかかったとしても、「動きながら逃がす(またはいなす)」ことができるのです。シンプルに言うと、「すぐに移動できたり、回避できる状態で」安定しているのです。


さて、少し解説が長くなってしまいましたが、Aさんの感想を見ていきたいと思います。

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1回目の自分で意識して呼吸を感じたり、2回目の足首を自分で動かしてその反応をみたりした前回までのセッションに比べ、基本的に私は横になって、ゆうたさんに触って整えてもらっていた時間が長かったため、うとうと気持ちよくなっているうちにあっという間に時間が経ってしまったなぁというのが正直な感想です。

でも、お腹がいつもは、ぐにゃぐにゃベチャっと潰れているイメージで、芯何もない感じでしたが、今は身体の内側がふんわりしていて、少し胴回りが太くなり(早すぎ?笑)存在感出てきた感じもしてます。

そして、首や肩がさらにいい感じになって、とても軽いです。

ただ、首も伸びて肩も緩んだのはいいのですが、セッション後に頭痛がしてます。首の付け根の頭の裏側の下の方が少し痛いです。首や肩との位置が変わったから、その反応でですかね??

でも、その他は身体の左右のバランスが取れている感じもしますし、歩いていてすごく身体が軽いし!いい感じです♪

(中略)

あとは、3回目のセッション始まるまえ、ゆうたさんと話している最中くらいから「このロルフィングが終わる頃、自分の中や環境が変わっているんじゃないかなー」という直感がしました。仕事や、考え方などにも変化あるかもな〜とぼんやり考えてました。

もしかしたらモニターにさせてもらって、ロルフィングが終わる頃はちょうど3月末くらいなので、自分の中で身体も整えて、次の変化に対応するためにこのタイミングでロルフィングに出会えたのかもしれないです。

2ヶ月後、何が変わってるか今はまだよく分かりませんが、4回目以降のロルフィングの深いところに入っていく為の第1章がおわったということで、少しゆったり生活したいと思います。

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お腹が潰れていた感じが、胴回りが太くなり、存在感が出てきた

なんだか「サクラ」のように、まさにセッション3で目指している感覚が出てきています。笑 

Aさんはどちらかと言うと、少し「薄い」感じがありました。横から身体を見てみると、多くの人が「すっと細くて、きれいな姿勢」と思うような姿勢です。でも、ロルファーの僕には、「ちょっとボリュームがなくて、安定感がないかな」という風に見えました。

終わった後の姿勢を見ると、地面に体重を預けることができていて、いい意味で「どっしり感」が出てきていました。「グランディングできている」とも言えるかもしれません。

最近、きれいな女性はとても多いと思うのですが、「自然体な、凛とした美しさ」を感じさせる人はなかなかいません。ダイエットでいくら身体を細くして、胸をピンと張ってみても、何か「作り物」のように僕には見えてしまいます。自然体で美しい女性は、「何か力んでいる感じがなく、それでいてすっと抜けている」ように見えます。それはなぜかと言うと、上の説明で書いたような、重力に身を委ね、地面から支えてもらうことが、自然にできているのだと思います。グランディングできているんですね。

セッション後に頭痛が出てきていますが、場所から推測するに、首と頭とを結ぶ深層の小さな筋肉の緊張かなと思います。表層がゆるんで、深層が目立ってきた感じです。これもたまにあることです。後日確認してみたところ、すぐにそれはなくなったようです。

この「セッション後に現れてくる違和感」、または「好転反応」と呼ばれるものに関しては、別の方の感想で詳しく書きたいと思います。


このロルフィングが終わる頃、自分の中や環境が変わっているんじゃないかなー

この直感は当たっているのではないかなと思います。ロルフィングを受けてくださるみなさんは、身体が大きく変容し、自分のこころ、考え、さらには自分の身の回りの環境(家族関係、仕事関係などなど)までが変わってくる人が多いです。僕自身がそうでした。

ロルフィングは「関係性のボディワーク」とも呼ばれています。要素そのものではなく、要素間で何が置きているのかに注目しています。膝の痛みそのものではなく、足、股関節、骨盤、全身との関連の中で、その現象を観察していきます。絶対的なものはなく、すべてを相対的に捉えようとする態度です。

僕自身も、ロルファーになる前は、何かを見る見方、価値観が固定されていたような感じがします。「〇〇は絶対にいい」、「〇〇をする人は信じられない」といったような、決めつけが多かったです。

ロルファーになってからは、もっと全体的に見れるようになりました。

Aさんの具体的に何がどんな風に変化していくのかは、まだ僕にはわかりませんが、「何か変わってくるだろうな」というのは、僕も感じているところです。僕ができるのはあくまで、身体の構造を整えるということですが、その変化を楽しみに見守っていきたいなと思います。


セッション1〜3までが、「表層」のセッションになります。Aさんはその10シリーズという大きな物語の、「第1章」が終わったところです。次の4〜7までが「深層」に対してのアプローチになり、さらに深い変化が出てくるかと思います。どんな「第2章」になっていくのか楽しみです。




Yuta


( Posted at:2017年2月 2日 )

足と地面とのとめどないおしゃべり。

大きさや形もさまざまな28個の骨から、私たちの足は作られています。

それほど多くの積み木がとても精密に、機能的に、美しく重なって、この身体を日々支えてくれています。片方だけでもその数ですから、両方合わせると50個以上の骨があるわけです。これは実に、人体の骨の1/4は足に存在しているということです。


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レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた、美しい足の構造。


それではなぜ、それほどの数の骨が必要なのでしょう。

ただ支えるだけなら、もっと大きな骨が1個あれば十分な気もします。

それは「自由に移動するため」です。

ただそこにいて、自分に必要なものを取り込み、それを栄養にして生きていくだけならいいのですが(それが「植物」です。)、私たちの先祖の動物たちは次第に数が増えていき、餌を「より効率的に、安定的に」確保する必要性が出てきました。そうして、ごく自然な要求から「移動」を始めたのだと思います。

移動するためには、末端が動き、自分の大きく重い身体を運んでいく必要があり、それに適した末端というのは「軽くて、自由に」動く必要があります。そういうことで、アシモのような大きく重い足では、立つことは安定してできたとしても、移動には効率が悪く、小さな骨を多数組み合わせ、軽く、自由に動けるようにしたのです。(ほとんど多くの動物達は、とても小さな軽い足をしています。)


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アシモは、まずは「立つこと」が第一目標で、そこから「地面が平ら」という
条件の中で、「歩くこと」ができるようにデザインされている。


そして、その移動していく自然というのは、「平らで均一」な地面が存在しません。つまり、移動の一歩一歩は、「常に違う一歩」になるわけです。

ごつごつした岩場、つるつるした川べりの石、土もあれば、砂もあります。雨の日もあれば、雪が降る日もあるでしょう。その刻々と変わる地面の状況の中で、安定した移動を確保するために、私たちの足は「常に考え(計算し)」、柔軟に形を変えながら対応しています。そのために、足にはこれほどたくさんの骨があるのです。


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地面には表情があり、足は地面とコミュニケーションをしていた。


でも最近、私たちの足と地面の関係は大きく変わりました。

まずは、地面が変わりました。地面は平らに均され、アスファルトで蓋がされてしまいました。地面側が「のっぺりと平ら」になりました。今私達が生活していて、地面にいきなり出っ張りがあったり、穴があることは、まずありません。大体同じような地面が延々と続いています。地面が無表情なのです。

そして、裸足や草鞋などを通して地面に接していたのが、高性能な靴が登場してきました。その素晴らしい機能を持ったソールのおかげで、地面の多少の変化を気にしなくてもよくなりました。足は守られ、足はもうそんなに考えなくてもよくなったのです。

そうした環境の劇的な変化により、足自体も変化してきて、「扁平足」「外反母趾」「浮き指」などが出てきました。

これらの足に起きてきた「変化」の多くは、私たちの足が「地面から離れすぎてしまった」ためだと考える人たちも現れ、裸足で走る「ベアフットラン」、または裸足に近い状態の「靴」、ないしは「地下足袋」のようなものも目にする機会が増えてきました。


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海外に行くと、たまに見かけるベアフットラン。
コツがいりますが、おもしろいアイディアだと思います。


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言わずと知れたVibram Five Fingers。僕も持ってます。


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SKINNERSというメーカーの地下足袋式ソックス。これで外を走ります。
個人的にはかなり使えそうな印象。


そんな離れすぎてしまった足と地面との関係を、もう一度適切に結び直す必要があると、僕は感じています。

そのための簡単な方法を、2つ紹介したいと思います。


1つは、足の骨たちの存在を感じるということです。

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やり方は簡単で、片方の足を両手で持ち、いろいろな方向に曲げたり広げたりして動かします。子どもが新しいおもちゃを手にしたように、「どんな風に動くのかな」という興味したがって自由に動かします。大きく動くところもあれば、小さな動きだったり、動く質感も違ったりします。意外な場所が動いたりして、新鮮な驚きがあるはずです。

まずは片方だけを5分ほどやってみて、それから立ってみましょう。足が地面についている感覚が違うと思います。自分で触ってみた方の足は、地面に「ペタッと吸い付くような」感覚や、「足の裏が、木の根っこのように地面とつながっている」感じがするかもしれません。そのまま前屈すると、左右の太ももの裏のストレッチの感覚が違う人もいるかもしれません。影響は全身に広がります。左右の差を味わったら、もう片方もやってみましょう。


もう1つの方法は、裸足でさまざまな地面を歩くということです。

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外に出かけることがあったら、少しだけ裸足になってみるだけです。最初は、痛いこともありますが、もちろん無理せずにやってみてください。ただ、足にいろいろな経験をさせてあげるということが大切です。

身体に慢性的な痛みを抱えている人は、「身体を固めている」傾向があります。その一方で、赤ちゃんや動物たちの身体は、とても「しなやかで、流れるような」動きをします。身体が、しなやかさや流動性を失ってしまうと、いろいろなものが「滞る」ようになります。そうして、滞ったところに負荷が蓄積したり、一気に負荷がかかった時に、痛みとして出てきたりします。

身体を固めている人は、なかなか裸足で歩くことができません。ぐっと無意識に身体を固めて、負荷を適切に全身に分散させることができず、足の裏に負荷が集中しすぎて痛いのです。しかし、無理のない範囲で、いろいろな地面を歩いていくと、少しずつ痛みなく歩けるようになってきます。そしてその頃には、元々あった身体の痛みが減少していることがあります。

最初は、さまざまに変わる地面の状況に、「柔軟に自分を変えて」対応できなかったのですが、歩くことで地面とコミュニケーションを取り、自分の身体の構造を、しなやかに、流れるように変えていくことができるようになったのです。

もちろん安全が第一なのですが、たまには靴を脱いで「いろいろな地面に出会う」のも、大事なことかなと思います。

表情豊かな地面との、懐かしいおしゃべりは、私たちの身体に眠っている大切な何かを、思い出すきっかけになるかもしれません。




Yuta

( Posted at:2017年2月 1日 )

モニターAさんの感想(セッション2 | 20代 女性)

少し前に、Aさんのセッション1の感想を紹介しました。

今回はセッション2になります。

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まずはセッション2の簡単な説明ですが、このセッションのテーマは「大地に根ざした(開かれた)足」になります。

人間は2足歩行なので、地面に唯一身体が触れているのが「足」になります。重力は上から下にかかるので、構造の下にある部分が、上に影響を与えます。建物の基礎のことを考えればわかりやすいと思います。

普段、私たちが地面に立っている時、自分の体重の分だけ地面を「押して」います。作用反作用の法則で、私たちは地面から押した分だけ「押し返されて」います。そのおかげで、私たちは崩れることなく立つことができます。

ロルファーの僕の仕事は、足の細かな骨の構造を整え、足が「地面に開かれる」ような、カエルの足のようにぺったりと「地面に吸い付く」ような、木の根っこが「地面に生えているような」状態を目指します。そのおかげで、体重が地面に抜けていきやすくなり、その分地面からの押し返しの力がもらえることになります。そしてその押し返しの力こそが、「自分を支えてくれる力」になります。

その時に、上半身ががちがちで柔軟性に欠けていると、下からの押し返しの力が、上まで抜けにくくなってしまいます。そこで、セッション1で、先に上半身に「遊び、ゆとり」を確保しておいたのです。それが、セッション1から2への大事な流れになります。

あとあと詳しく書くことになると思いますが、整った身体というのは、重力に対して「上に伸びるように」見えます。けどそれは、「引き上げている」わけではないのです。一度下に体重を「あずける、ゆだねる」ことで、結果的に下から押し上げの力をもらうのです。自分で何かを努力したり、意識したりして、引き上げるのではなく、余分なことはせずにゆだねてあげること。そうすると、自然に伸びるように、引き上がっているように、外からは見えるようになるのです。

詳しい足のはたらきに関しては、こちらのブログもご覧になってください。

以下がAさんのセッション2の感想になります。

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身体を支えている脚〜足の裏のセッションでしたが、普段、自分の足をまじまじと見たり観察したりしたことなんて、なかなかなかったなぁと思いました。自分の靴の減り方や靴擦れの跡などにハッキリと自分の歩き方の癖や足の形の跡が残っていたのが面白かったです。

今日のセッション中に感じていて、特に書きたい内容は、大きく2つです。

まず1つ目です。

脚の筋肉と骨を剥がす?作業の時に感じたことを書きます。

左右の脚の形や筋肉や骨のつき方にこんなにも違いがあるのか!とゆうたさんに実際に肘?で圧をかけてもらった瞬間よく分かりました。

私の場合、左脚が外側にねじれている?ので、肘を入れるのが比較的簡単なように感じましたが、右足は左に比べて真っ直ぐなので、筋肉と骨の間の、肘を入れるスペースを見つける時(剥がしにかかる時)左足よりは少し難しかったように思いました。

鏡の前で立って、ただ外から脚を眺めていた時よりも、自分の左脚の何処が曲がっていてスペースがあり、右はどういう筋肉のつき方をしているから左脚と違い、比較的まっすぐなのかがなんとなく分かった気がしました。

そして、足首から下をペダルを漕ぐように上下させてながら、その動きに合わせて、ゆうたさんの肘によって筋肉と骨が足元まで分かれていくのが分かり、これは痛気持ちよかったです。

その後は、これまたとっても不思議な感覚がありました。

ゆうたさんが指を置いてくれたところに合わせて、身体が(足)が勝手に動いて合わせていく感じ。指を置かれた箇所に対して、足が勝手に自分の心地のいい、落ち着く場所にゆっくりと動いていく感じ。

なので指を置かれた場所によって、足の指や足首で、奥に反るように動いたり手前に少し移動したり足が勝手に調整している感じがして、別の生き物のようで面白かったです。

それだけじゃなくて、またしばらくすると、今度は自分(足)の方からピクッ、ピクッ、と小さく動き出しました。その間私は、足がどこに動きたいのか、ゆったり眺めているような感覚でした。

結構頻繁にトータルで10回くらい?そういった反応があったように思うのですが、なんとなく自分(足)が行きたい方向や、ピクッという小さな反応を、ゆうたさんが見逃さないでみていてくれ、足の行きたい方に行かせてくれて、見守っていてくれたように感じました。なんだか、セッションってこういうことなのかな〜と思いました笑

(中略)

次に、2つ目です。

特にセッション後半、とにかく!内臓の動きがとても活発になったことでした。お腹の色んな場所から、様々な多彩な音が大音量で聞こえ、自分でも笑えてしまうようでした。音だけでなく、実際に内臓の色んな箇所が動いているのをずーっと感じていました。

この、内臓の動きは、足の骨と筋肉を剥がしてもらった後から、特に活発になった気がします。

これは、今現在も続いていて、今日一日中きゅるきゅるお腹がいいっぱなしです。

あと、第1回目のテーマの呼吸に関することとも少し関連あるのですが、前回は、波のような呼吸を感じ、身体のまわりというか、「外側」に呼吸の波を感じていたのですが、第二回のセッションでは、ひたすら「内側」の、内臓のいろんな場所での呼吸を感じていました。途中色んな臓器に呼吸すると空気が行っているイメージが湧きました。

最後に、背筋が伸びたことや、首の位置がしっかりと良い位置に来て、上にすっと引き上げられたことなどもしっかり感じましたし、嬉しかったです。

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Aさんは1回目もそうですが、自分の身体を客観的に眺めるのが、非常に上手だなと思います。これだけ詳細に書いていただけると、ロルフィングをした自分の方がいろいろと気づきをもらえて、ありがたいなと思います。


物語る靴

セッション2では足のことをするので、足と地面の間にある「靴」を見てみることで、その2つの間で何が行き来していたのかの「おもかげ」を感じることができます。

Aさんの靴を見てみましたが、靴底の減りはそんなに左右差はありませんでした。その代わりに、ソールの部分が左右で違うことに気づきました。

靴底がそんなに変わらないということは、「地面への接地」にそんなに差がなく、ということは「脚のスイング」にもそんなに差がないのだろうなと思いました。股関節から脚をスイングさせますが、それに差がないことで、地面との出会い、入りにも差がないのかもしれません。

でも、ソールの足を入れる口の部分が違いました。片方ががばっと横に広がっていて、片方はそんなことがありません。それは、「接地してから荷重していく時の、足関節の動き」に違いがあるということを示唆しています。地面に着いてから、足首が外に逃げてしまうクセがあるということです。

そのことから、もしかしたら捻挫したことがあるかもなと予測しましたが、実際に捻挫して足首に動揺があるのでした。

靴だけ見ても、いろいろなことが見えてきますね。


セッションってこういうことなのかな〜

足のすねの部分には、脛骨と腓骨という2本の骨があります。(手羽先をイメージしてもらえたらと思います。)そしてその間にある膜が「骨間膜」と呼ばれるものです。

骨間膜は、前腕部分にもあり、「大きな膜同士は呼吸の動きに共鳴している」という考えがあります。


動画では膜の代表格、横隔膜、骨盤底膜の共鳴を示していますが、前腕、下腿にある骨間膜も共鳴していると、僕も自分の経験上そう感じています。骨間膜のリリースをすると、呼吸が大きく変化したりします。

最初はしっかりと骨間膜に圧を加えるような感じでワークしましたが、少しゆるんだので、あまり圧を加えない感じでもアプローチしてみました。Aさんの身体はそれに自然に反応してくれて、Aさんの書いてある通りに、「別の生き物のように」、「勝手に調整してくれる」ような感じになりました。

10シリーズの内の序盤は、こちら(ロルファー)からの働きかけ、提案が多く、こちらが身体の適切なポジションに、「案内、誘導」するような感じが多いです。しかし、何回かロルフィングしていくと、「身体の意図しない自然な反応」が出てきます。受けている人にとっては、自分の身体なのですが、別の生き物のような感じで動き始め、それをただ「眺めている」ような感覚になります。これは実際に体験してもらわないと、なかなか伝わりづらいと思うのですが、多くの人はそれを自然に経験します。

最初はみなさん不思議がりますが、そのうちに「そんなもんか」と慣れてきて、それをおもしろがって見てくれるようになります。それを体験すると、当たり前のことですが「身体って生き物なんだな」と、素朴な感動を覚えたりします。

そうやって受け手がただ寝ていて、主体的に何もしないというのではなく、お互いが関わり合いながら、ロルフィングの「セッション」は進んでいきます。


内側(内臓)の呼吸を眺める

これもおもしろいう表現ですね。自分の内側を眺めてみて、そこにある内臓たちが呼吸に参加しているのを感じたようです。上に載せた動画でも、呼吸と共に、どういう風に内臓が共鳴しているかが示されていますね。

しかもそれが、自分のすねを触ってもらっている時に、それが特に活発になったということを感じているので、すごく身体の感覚が豊かだなと思います。

身体という1番身近な自然は、僕らの想像が及ばないほどに、複雑でいて緻密に連携し合いながら「生きて」います。


ロルフィングの10回は、3つに大きく分けられ、次のセッション3が「第1章、表層のセッション」の最後になります。主に横のラインに焦点を当てていきますが、どんな反応が見えてくるでしょうか。楽しみです。
( Posted at:2017年1月29日 )

モニターBさんの感想(セッション1 | 40代 女性)

もうすぐfestaが5周年ということで、その特典の1つとして「10シリーズ」のモニターの募集をしました。おかげさまで募集した人数に達しましたので、募集は終了させていただきます。ご応募していただいた方々はありがとうございました。

今後のこのブログで、「ロルフィングには興味があるけど、どんな感じなのか知りたい」という方のために、モニターの方の感想を元に、ロルフィングで起きること、大切にしている考え、コンセプトなどを解説していけたらと思います。

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前回のブログで、1人目のモニターの方の感想を紹介しました。

2人目のモニターの方ですが、40代の女性の方です。
モニターBさんとさせていただきます。

Bさんは以前、festaでロルフィングを受けられたことがありました。その時には、かなり身体のレスポンスが良かったので、「この方はロルフィングの10シリーズをしたら、どんどん身体が良い方向に変わっていくだろうな」と思っていました。しかし、かなり遠方の方だったので、1度きりのセッションで、その後続くことはありませんでした。

今回、モニターを募集するということで、10シリーズを受けてもらうことになりました。

以下がセッション1を終えたBさんの感想です。

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本日第一回目の施術を受けました。
不安と期待でいっぱいでしたが、まっすぐ鏡の前に立って、ア然。
頭は右へ、肩は上がりぎみの右手が長く、腰から上が左に歪み、骨盤も左右非対称。

痛みだらけの身体の悲鳴が聞こえてくるようでした。
1つ1つ痛みには理由があり、身体を赤ちゃんの時の様に、歪みや力みのない身体に戻していくのだと説明を受けて開始。
ベッドに横になり、まずは身体がどんな状態なのかを説明してもらいながら、呼吸、各関節の動きをチェック。
施術中はとにかく力を抜き、リラックスする事だけを考えていました。

施術が終わると、力を入れてないのに可動域が増えて、身体が軽くなってる感じ。
下半身が地面にしっかり足がついてる感じ。でも全く力は入ってない。
まっすぐ立っていることがこんなに楽なのだと発見。
次回の施術が楽しみです。

※内容が変わらない程度に、少しだけ修正しています。

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痛みだらけの身体の悲鳴が聞こえてくるようでした。

以前に書いていただいたBさんの問診票をもう一度確認してみると、以下のような状況でした。

・10代 陸上で右膝前十字靭帯を損傷するが手術はしていない。
・30代 転倒して右足首の内くるぶしを骨折、冬になると痛い。
・30代 ぎっくり腰(左)、その後も繰り返しそうになる。
・30代 右肩に水がたまった。
・子どもは3人いて、2、3人目は帝王切開にて出産。
・2〜3年前 子宮筋腫摘出手術。
・現在 仕事で高齢者の方にマシントレーニングを指導している。

と、ざっと大きなところを書いていただいただけでも、以上のような経験を身体がしてきたようです。なかなか大変な経験だったと思います。

手術を何回か経験されていますが、「1度だけ」の、しかも外からは傷口が目立たない「内視鏡手術」であっても、身体には相当のストレスがかかりますし、それがその後の身体の不調の原因の1つになることも少なくありません。

例えば、生きているみかんに、内視鏡のようなものを使って、中にある種を1つ取り出したとします。すごく上手にできたとして、外側からは少し穴が開いているくらいです。でも、中はどうなっているでしょうか?その後、そのみかんはどうなっていくでしょうか?単純に生きている人の身体と、みかんとを比べることはできないかもしれませんが、外から見える傷口が小さければ、身体に与える影響が必ずしも少ないとは言いにくいと思います。

つまり「傷口が小さい=身体へのストレスが小さい」とは、そう簡単にはならないということです。

僕自身、右のお腹に盲腸の手術跡がありますが、その周辺の癒着に対するワークをしてもらうと、持病の右腰の痛みがかなりましになります。身体の中で、膜を通してのつながりがあるからだと思います。

Bさんの場合は、そういった手術跡が何箇所かありますから、身体へのストレスはかなり大きく、それによって身体の構造的にも、機能的にも影響は受けていると考えられます。

でも間違ってほしくないのは、僕は「手術を否定している」わけではありません。身体が構造的に何かが壊れていて、それが原因で痛みがあったとすると、それは手術して、その壊れているところを治してもらった方がいいと思います。さらに、命に関わるような悪性の腫瘍があった場合や、交通事故のように1分1秒を争うような状況では、僕ができることはありません。それは手術を受けるべきですし、僕も受けると思います。

僕は、手術後に残っている傷口周辺の組織や関節の違和感や、手術後からはじまった身体の痛み、体調の崩れなどに対して、ロルフィングが助けになるのではと思っています。


身体に起きている症状は、なんらかのつながりがあるのでは?

Bさんのような方が病院を受診すると、お医者さんは困ると思います。そして「どこが1番困っていますか?」と聞かれたりします。Bさんともお話しましたが、「どれも困っています」というのが正直なところらしいのですが、「今回は腰にしようかな」などと、一応1つに決めたりすることもあるようです。笑

これは、僕も整形外科に勤務していたことがあるので、お医者さんの気持ちも少しはわかります。診断をして、病名を付けないと、その後何か処置をしたり、お薬を出したり、理学療法、リハビリの指示を出すことができません。自分の行ったことすべてに責任を持って、そしてそれに点数を付けていきます。それがきちんと「説明可能」でなければ、ちゃんとそれを国に請求することができません。適当にたくさん病名を付けて、その後に適当に処置をしたとなると、それはそれで問題です。

しかも、今の病院はどこもとても忙しいです。待合室にはたくさんの患者さんが、今日も明日も溢れています。何人も何人も患者さんが待っていて、お医者さんも人間ですから、あまり待たせたくはないと考えています。そうすると、症状に「優先順位」を決めないと、多くの人を診断することができません。

お医者さんも大変です。

では、そういった方は、どこに行けばいいんでしょうか。

それを今の病院の枠組みの中で、真剣に追求していくと、いわゆる「たらい回し」にされてしまうことが多いのだと思います。

僕自身の考えでは、「すべての起きていることには理由がある」と考えています。今回のBさんの場合でも、長年の蓄積で現れてきた病気、慢性痛でも、突発的に起きたような怪我だとしても、何か原因があるのだと思います。上に書いた、一見ばらばらの症状たちも、何かしらのつながりがあるのではないかと考えて、この10シリーズを始めることにしました。

これはあくまで仮説ですので、10回を進めていくうちに、「これとこれとは関係のない出来事だった」と分別できたり、「意外だったけど、これとこれとが関連があったようだ」と、思ってもいなかった点と点がつながるかもしれません。こればっかりは、やってみないとわからないことが多いです。僕は時間をかけていくことができるので、ゆっくりとBさんの身体に向き合っていきたいと思います。


まっすぐ立っていることがこんなに楽なのだと発見。

実際に身体を触ってみると、すぐに身体をこちらにゆだねてくれました。僕のことを疑っていたり、深いトラウマがあったり、頭で僕のしていることをつかまえようとしたりすると、なかなかゆだねることができずに、うまく「セッション」になっていきません。

でもBさんは、前にロルフィングを受けてくださった時もそうでしたが、こちらのやることに対してオープンで、身体をリラックスさせて僕のタッチを受け入れてくれていました。そうなると反応も早く、特に強く押したり、大きく身体を動かしたりはしないのですが、身体がゆるんでいってくれます。

高いレベルで活躍するアスリートもそうなのですが、どんな治療やトレーニングを受けるにしても、自分で受けると決めたら、とことんこちらを信じ切って受けてくれます。その思い切りの良さのおかげで、驚くような変化が生まれるセッションになったりします。この「ゆだね切る、信じ切る、思い切りの良さ」が、トップレベルたる所以なのかもしれません。

そうしてセッションが終わり、ベッドから降りてもらうと、身体がまっすぐになり、重力が身体を抜けていくような感じになります。この心地良さは、なかなかロルフィング以外では味わえないかなと思います。そして、驚くくらいに立っていても身体が楽な感覚があります。「いつまででも立っていられそう」という方もいらっしゃいます。


身体のいろいろなところから痛みという悲鳴が上がっているBさんですが、セッション1のまずはリラックスをして、深い呼吸を感じてもらうというところは、うまくいっていると思います。それによって身体がまっすぐに感じられ、力を入れていないけど、「地面にしっかり足がついてる」というセッション2の感覚も出てきています。これからその身体の悲鳴が、明るい笑い声に変わっていってくれればいいですね。

次のセッション2も楽しみです。




Yuta

( Posted at:2017年1月17日 )

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