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モニターDさんの感想(セッション1 | 40代 女性)

今回はモニターDさん、40代の女性の方のセッション1です。

Dさんの問診票を見てみると、以下のような感じになりました。

・手先が冷える。
・朝起きると、首、肩回りがこっている。
・両膝が時々痛い。
・歩いていると、左脚が上がらなくなる。
・なんとなく腰がずっと痛く、ギックリ腰になりかける。
・2年前に尻もちをついて、起きれないほどに痛かった。

女性でよく見かけるような症状が、いくつもあります。そしてなんとなくですが、すべてが少しずつ関連していそうな気もします。

「尻もち」というのがなかなか厄介で、雪国の山形だとちょこちょことあります。笑 ふいに起きることなので、こちらも準備していなくて、「意外に身体の深くに衝撃が入って、こもってしまう」のが厄介なところです。

僕にはそれが少し気になりました。Cさんに「その影響はありますか?」と聞いたところ、「影響は特にないと思う。」との答えでした。

尻もちなど、交通事故などもそうなのですが、「突発的に身体にかかる大きな衝撃の余波」に関しては、感想の後に解説で書きたいと思います。

以下がDさんのセッション1の感想になります。

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昨日はありがとうございました。

昨日セッションを終えた後に感じた腰のハリはなくなりました。
いつもなんとなくだるかった腰回りもすっきりとしています。

お昼過ぎてもお腹が空く感じがしませんでした。
ただ、ご飯を食べたらものすごく眠くなりました。
晩ご飯の後も眠くなりました。

お風呂に入ったら、いつもよりも顔から汗が出てきて、あれー?っと思いました。
いつもだとすぐ冷えるのでだらだらお風呂に入っているのですが、
すぐに温まってのぼせるような気がしたので、いつもより早くお風呂から出ました。

今日。
肩と首だけなんとなく重い感じがあります。
首を前後に曲げると、前に曲げたときは背中まで全部ひっぱられてついてくる感じ?
後ろに曲げたときは肩の付け根あたりが苦しい感じになります。

意識して呼吸すると空気が鼻からすっとまっすぐ入ってくるようで、
楽に吸えるようになりました。

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時間差で身体が反応していく

Dさんの感想を見せていただくと、「セッションを終えてから」いろいろな反応があったようです。

ロルフィングでは、身体の内側の深いところにアクセスしていくので、それが身体の至るところに「時間差」で、何かしらの反応を引き起こしていったりします。なので、セッションを受けてから1週間くらいは変化が続いていきます。

「2、3日後の朝起きた時が、一番身体が軽くて楽でした。」などという場合もありますし、「すごく眠くなりました。」「排泄がスムーズになりました」などと、セッション1とは直接関係なさそうなところが反応することもよくあります。

Dさんの場合は、終わった直後に腰の張りがあったようです。すぐに僕が気づいて、それに対して何かアプローチしていたらなと、少し反省しています。そういった「セッションが終わった後の違和感、痛み」などは、身体の何かしらメッセージなので、ちゃんとそれを受け取って聞いてあげると、そんなにいじわるをしたり、長居することがないのが特徴です。Dさんも、すぐに張りはなくなって、腰回りがすっきりしてきたようです。

その他にも、「食欲の感覚が変わった」、「眠くなった」、「身体が温まりやすかった」などという反応が出ていますが、これは「自律神経が反応している」からかなと思います。自律神経は、「集中、興奮、緊張、ストレス反応」などに関する交感神経と、「リラックス、弛緩」などに関する副交感神経から成っています。1日の中で、ゆるやかな波を描きながら、これら2つの神経が切り替わっています。その切替がうまくいかなくなると、「自律神経失調症」と呼ばれるものになっていきます。

現代はストレス社会とも呼ばれ、交感神経が常に働いているような状態で、身体がゆるみ、リラックスする副交感神経への切り替えがなかなかうまくいかないという人が多いなと感じています。

それがロルフィングを受けていくと、自然に副交感神経も働き出し、Dさんのような反応が出始めます。

セッション2で扱う領域である首から背中への張りが出てきていますが、身体に「早くセッション2をやってください。」と言われているような感じなので、早くセッション2をしてあげたいなと思います。


突発的なアクシデントの衝撃の余波

突発的なアクシデントにより、「ドカンと」衝撃を受けることが生きているとあります。今回のDさんは「尻もちをついた」ということでしたが、そういうものが後々身体に影響を及ぼしていくことがあります。

現在Dさんが感じていられる症状が、すべてそういうものによる影響というわけではないのですが、そういうこともあるよということで、この先の説明を書かせてもらいます。

以下はその大まかな説明なのですが、少し難しいところもあるので、「尻もちをしたり、交通事故をした時に、なるべく速やかに、適切な処置を身体にしてあげないと、後々問題を起こしてくることもあるんだ。」とだけイメージしていただけたら、読み飛ばしていただいて構いません。

さて、整体を始めた野口晴哉さんが、「打撲はなかなか厄介だ」ということを、本の中で書かれています。骨折などは、外からの衝撃の力が、骨にダイレクトに伝わり、音と共に「バキっと」折れてしまうので、後はしっかりと固定をして安静にしていればいいのですが、打撲は足を引きずりながらも歩けたり、その後も普通に生活ができてしまいます。しかし、見た目にはなかなか現れてこない影響が、知らない間に身体にじわじわと広がっていっているのです。

物理の時間に習った記憶のある方もいると思いますが、何らかの運動している物体が別の物体に衝突した時に、その運動していたエネルギーが、衝突された物体に「吸収される」場合と、「吸収されない」場合とがあります。吸収される場合は、その運動エネルギーは、別のエネルギー(熱、音など)に変換され、減少してしまいます。吸収されない場合は、その運動エネルギーは、方向が変わるかもしれませんが、量自体はさほど変化しません。

これを身体に起きる「骨折」と「打撲」の場合で考えてみたいと思います。

骨折の場合は、衝突した物(車や人など)の運動エネルギーが、そのまま骨に伝わり、骨の変形(ここでは骨折)に使われ、骨が折れるという運動エネルギー、バキッという音のエネルギー、衝突した物のその後の運動エネルギー(これはゼロの場合もあります)に分解されます。

しかし、打撲の場合には、衝突した物の運動エネルギーが、衝突された物(ここでは身体)に吸収されてしまいます。主には筋肉や軟部組織が変形するエネルギーに変換され、身体にエネルギーが「こもる」ような状態になってしまいます。

エネルギーが身体に吸収され、こもってしまう現象を、硬い「木(骨)」と、同じような形の「ゴム(筋肉、軟部組織)」にボールを衝突させた例で、もう少し説明してみます。

硬い木が折れる場合には、バキッと音が響き、木が折れて、衝突した後もボールはまだ動いていると思います。この時のボールの運動エネルギーの減少は、少ないと考えられます。

ゴムの場合はと言うと、音はさほどせず、ゴムがたわんで震えたりして、ボールはその場にポトッと落ちると思います。この時はボールの運動エネルギーの減少は多く、その減少分がゴムに吸収されています。

尻もちをついて打撲をしたり、交通事故などでむち打ちになった場合は、ゴムにボールが衝突した状態に近いため、エネルギーがこもり、それが後々問題を起こすこともあるのです。

では、動物たちは、何か衝撃を受けた時に、どういう反応を見せるのでしょうか。




動物たちは、多くの場合「身震い」をします。犬や猫などを飼っている人は、見たことがあるかと思いますが、「ブルブルっと」細かく身体を震わせます。そのことで、「こもったエネルギーを発散、解放する」のです。

上の動画は、シロクマに麻酔銃を打って(これがシロクマにとっては、衝撃だということです)、それからどのように目覚めていくのかを紹介したものです。1分過ぎくらいから見てもらうと、シロクマが細かく身体を震わせて、そのショック状態を解放しようとしているのがわかると思います。

動物たちは、そういった衝撃を受けた状態(トラウマ状態)を、「その場その場で解消」していくのが特徴で、「後には残さない」のです。

打撲をした子どもが、その日や、その後数日間、突然熱を出したり、吐き気がしたり、情緒が不安定になって怒ったり、泣き叫んだりする場合は、それは打撲でこもったエネルギーの影響で混乱した身体のシステムが、なんとか「発散、解放」しようとしている反応だと考えられます。

子どもなら、まだまだ動物に近いので、すぐに身体がその衝撃をリリースしてくれます。しかし、大人が尻もち、交通事故などをすると、なかなかそれができずに、その後ずっと微熱が続いたり、首、肩が異常に緊張していたり、気分が不安定になることがあります。

ちなみにですが、僕の母親が数ヶ月前に尻もちをつきましたが、その後すぐに「便秘」が続いて、ずっとお腹が張っていて、腰も重だるかったそうです。便秘は1週間ほどでよくなったそうですが、腰の重だるさは今も少しあるそうです。身体にまだ衝撃がこもっているのだと思います。

今回のDさんの場合は、そこまでの関連があるかどうかはまだわかりません。決めつけはしたくないので、今後も身体の反応を素直に観察しながら、セッションを進めていきたいなと思います。

ちなみに、Dさんはセッション中に自然に身体が動き出す、野口整体で言うところの「活元運動」的な反応が出てきていました。これは身体のこもったエネルギーの解放の反応でもあります。その辺も、後々解説していきたいと思います。

次のセッションも楽しみにしています。




Yuta

( Posted at:2017年2月 7日 )