一匹のスズメ。
※数年前に書いた記事を、再投稿しています。
ある朝、festaがあるとんがりビルまで歩いていくと、一階で働いてる男の子が地面を見つめていました。
「どうしたんですか?」と尋ねると、彼の足元には、小さなスズメが一匹倒れていました。
話を聞くと、どうやらガラスに飛び込んで衝突してしまったようで、ほとんど動きがありませんでした。
そっと自分の手に取ると、その小さな体は温かく、羽触りは驚くようになめらかでした。
「まだ生きている」
優しく手で包みながら、指で静かにその小さな体を撫で、衝突の衝撃が抜けていくように、少しの間、手の中で様子を観察していました。
そうすると、次第に足に力が入るようになり、首をキョロキョロと動かし、口を開け、目をぱちばちとするようになりました。
「そろそろ『満ちた』かな」と感じたので、トントンと背中をつついてあげると、とんがりビルの扉の上に一休みして、しばらくして木の方へと飛び立っていきました。
少し前のことですが、宮城の山へと向かう途中、前の車が四方を田んぼに囲まれた一本道を走っている時に、スズメの群れがバッと飛び立ち、一匹だけスズメを跳ねてしまったのを見たことがありました。
すぐに車を止めることができなかっので、「かわいそうだけど、自分には何もしてあげられない」と心に残っていたのですが、そのスズメが会いに来てくれたように感じました。
「鳥は仏の化身」だと聞いたことがありますが、手の中で大切なことを教えてもらったような気がします。
Yuta
( Posted at:2023年10月10日 )