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モニターAさんの感想(セッション4 | 20代 女性)

いよいよモニター5名の方全員が、10シリーズをスタートしました。

全員女性というのもおもしろいなと思いますし、感想はほぼほぼそのまま載せていますので、感想を眺めるだけでも、5名の方それぞれの特徴が見えてくるなと感じています。

まだまだほとんどの方が序盤なので、これから「それぞれの10シリーズ」になってくるかと思います。

なんだか、僕がモニターの方から感想という「お題」をいただいて、そしてこのブログを書いていくという感じになっていて、書きたくても書けなかったことにも向き合えていて、僕の方がありがたいなと思っています。

今回はAさんですが、Aさんは一番セッションが進んでいるので、「10シリーズの各セッションの解説」という感じで、どうしても書くことが多くなりますが、これからもおおまかな説明はAさんの記事でしていこうと思います。

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さて今回はセッション4になります。

10シリーズの第2章「深層のセッション(セッション4〜7)」に入っていきます。

この章は別名「コア」のセッションとも呼ばれます。(第1章は「スリーブ」のセッションです。)

コアという機能を支えているのは、「テンセグリティ」というコンセプトの構造ですが、その詳しい説明は後々書いていきたいと思います。

ここでは、「何か負荷がかかった時に、中心から外に向かって拡張していく構造(テンセグリティ構造)を持った空間」ということにしておきます。

もしもそういうコアを持っていると、重力に沿って真下に負荷をかけると、それとは反対方向(真上)に向かって押し返されます。

身体自体は自分の重さがありますから、自分の構造に、自分の重さの分だけの(重力の向きの)力を常に受けていることになります。そうすると、その身体の構造は、上向きに拡張しようとします。簡単に言うと、テンセグリティという構造を持っているおかげで、自分の重さの分だけ、上向きに伸びていく力が働いているということです。

どこで読んだか忘れましたが、建物を建てたりする時のモデル(圧縮モデル)を使って計算して、人間の身体を再現しようとすると、実際の人間の足の大きさでは、自らの重さで潰れてしまうそうです。(だから大体のロボットの足はとても大きな形をしていますし、ゴツゴツした身体を持っています。)

ということは、僕らが建物を建てる時とは、何か違う原理、モデルが、人間には働いているのだということが推測できます。それが、テンセグリティモデルではないのか、ということになります。

人間はある日、重力に向かって、すっと立ち上がります。それはとても筋肉だけの力とは思えず、まだひ弱な脚をしている子どもが、その脚でゆらゆらと揺れながらも、何かに支えられながら立ちます。僕の子どもが立ち始めた時には、上向きの力の波に乗って、身体が揺らいでいるように見えました。

テンセグリティ構造をした身体を持っているので、自分で自分の重さを筋肉などで引き上げなくても、素直に自分の身体の重さを地面にゆだねることができると、それから押し返されて「立たされる」ような感じになるのです。

(もう少しだけ詳しく言うと、身体のこの構造を持って生まれ、そしてこの世界で生きているだけで、上向きの力が常に働いています。それがないと、自分の重さに耐えきれれずに潰れてしまいます。そして生活をしていく中で、少しずつ上向きの力のまとまりが出てきて、「首が座り」、「お座り」ができて、「しゃがむ」ことができるようになります。しゃがむことで足と地面とが接点を持つようになり、そして自らの地面を押す力を加えると、元々構造の中にまとまってきていた上向きの力の波に乗って、ぐいっと立つことができるようになるのです。)

この第2章の「深層のセッション」では、この人間の身体が持っている、自らを立たせる力(ライン)を引き出すようにします。

前置きが長くなりましたが、これらをセッション4〜7でやっていくことになります。


そして、セッション4のテーマは、「脚の内側・骨盤底膜のサポート」になります。

このホームページ内のセッション4の説明には、「横隔膜がからだの中心にある空間(コア)の天井だとすると、その床に当たるのが骨盤底膜です。その骨盤底膜と内転筋をリリースして、骨盤を自由にし、コアの下支えをつくります。」とあります。

自らを立たせる、上に伸びていく「ライン」に乗るためには、「拡張するコア」が必要でした。そして、そんなコアになるためには「自由で水平な骨盤」が必要になってきます。

コアの底の部分にあるのは骨盤です。その骨盤を「何にも縛られずに、自由に動ける可能性を持った状態で、水平にする必要」があるのです。

それをもう少し説明してみると、骨盤にはたくさん(50種類近く)の筋肉が付着しています。筋肉は骨に付着していて、収縮することでその骨を引っ張りますから、骨盤はさまざまな方向からの張力のバランスで位置が受動的に決まります。もしもそのすべての筋肉が硬いと、骨盤は身動きが取れずに束縛されてしまう可能性があります。

「骨盤がゆがむ」とは、よく聞く表現ですが、骨盤は自分でゆがみたくてゆがんでいるわけではなく、いろいろな筋肉によって干渉されて、(受動的に)自分の位置が決まるのです。骨盤をゆがませている状態にしている筋のバランスを変えて、それらを解放してあげることで、骨盤はゆがみのない水平な状態になります。

そうすることで、地面からの自分を支えるラインの力が、頭の上まで効率よく伝わって抜けていくことができるようになるのです。

もしもその押し返す力が、足から脚を通ってきて骨盤を通る時に、骨盤がゆがんで水平の位置にないと、その力がそこでロスされてしまい、背骨、胸郭、上肢、そして頭を支える力が少なくなってしまいます。

そのために、このセッション4で、骨盤から脚の内側に付着している「内転筋群」と、骨盤の底にあり、コアを支えてくれている「骨盤底膜」とを解放し、適切な張力のバランスが取れた状態に導くことが、ロルファーの僕の大切な仕事になります。そしてそれが、自由で水平な骨盤への下準備になっていくわけです。

その結果、土踏まずから脚の内側を通って、骨盤底膜に抜けていく「内側のライン(サポート)」が確立されていきます。

それでは、そんなセッション4のAさんの感想を見てみましょう。


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まず、今自分の体の気づいたことです。

脚のラインが変わったと思います。

4回目のセッションでは、脚の膝から上の内側のラインが気になり、それを改善するワークでしたが、約1週間経ち、脚の内側だけでなく、外側のラインが変わったような気がしています。外側の骨のラインが出て、綺麗に見えるような気がして嬉しいです♪

あとは、歩くのがセッションを重ねるごとに楽になっていますね^ ^軽い軽いっ♪てかんじです!特に、4回目のセッション後はどこまでも歩けそうな、そんな気がしました。

セッション中に感じたことです。
導入でゆうたさんから、体を触っていて「なんだか違うなぁ」と感じる体の部分がもしあったら、自由に動かしていいですよ、と言ってもらってから、第3回目までのセッションでは、触ってもらっているところに集中していたので、他の体の部分たちが窮屈に感じていたとしても、じっとしておこうと無意識に思っていたのかと。。

なので、第4回目は、触られて出てくる反応だったり、一見関係ないかと思われる部分でも、体の声に耳をすませて、体全体に意識を回してあげようと思ってセッションに入りました。例えば、なんだか首を回したいな、とか腕の位置がなんかしっくりこない、と思った時は素直に、しっくりくる位置にくるまでその場所を探してあげました。

骨盤周辺を触ってもらっている時、なんだか背骨がむずむずしてきたら、今まではなんとなく動かないようにしていたと思うのですが、体全部の力を抜いて、上半身の位置を微妙に変えてあげたり、また、意識より体が先に動いて調整しているのを感じました。

あと、印象に残っているのは、横向きになり右足の付け根のあたりを触ってもらっている時に、どうしてかわからないのですが左手と腕が左の上半身の側面から離れなくて、まるでお母さんにひっつく子供のようにそのにぴたりと張り付く感じがしました。

途中ゆうたさんが左手をいろんな方向に誘導してくれて、定位置を探してあげているようにも感じたのですが、やはり左手は左上半身から離れようとしなくて、あれは不思議でおもしろかったです。理由は分からないけど、そこに居たいのかぁ〜?っと思いました。ロルフィング、ほんとに面白いです(笑)

次、何が起こるかわくわくして、いつも次のロルフィングに行きます。

以上今回はすこし短めですが、脚のラインが目視で変わったことと、ロルフィング中の体の反応をもっと自由にしてあげることをなんとなくわかった、第4回目のロルフィングでした。

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脚のラインが変わった

もともとAさんは、すらっと背が高く、脚が長く見える方なのですが、脚のシルエットを気にされていました。確かに、真っすぐに生えている木のようではなく、なんだかうねうねとしているように見えました。

横向きに寝てもらって、脚を前後に動かしてもらうと、骨盤と大腿骨とががっちりと結びついていて、骨盤が脚の動きに引っ張られてきてしまいます。内転筋が硬くなることによって、大腿骨と骨盤とがつながってしまって、お互いが干渉し合っているような感じでした。

内転筋、骨盤底膜の辺りを時間をかけてワークすると、その干渉はなくなり、脚を同じように動かしてみても、骨盤はそれに付いていかなくなりました。骨盤と脚との「分離」がうまくできたかなと思います。

セッションが終わった後に立ってもらうと、脚のシルエットが変わっていました。うねうねが、すっと真っすぐになっていました。そして見える印象も、さらに脚が長く、きれいに見えました。

歩くのも軽く、楽になったようでよかったなと思います。


むずむずしてきて、意識より体が先に動いて調整している

コアのセッションになってくると、身体の深いところにアプローチしていきますが、それは決して「押す力が強くなる」ということではありません。「物理的な押す力」ではなく、自分の「意図」を、その人の身体の深いところに丁寧に持っていきます。そうすると、脚を触れていても、今回のAさんのように背骨が反応してくるということがあります。

多いのは、「むずむず」、「もにょもにょ」、「じわー」などといった感じで、触られているところとは別の場所が「なぜか動かしたくなる」感じがしてきます。

自分の身体の声に素直な人(アスリート、ダンスなど身体表現をされている方など)は、そういう感覚が出てきた時に、すぐに身体を動かして反応してくれるのですが、普通の人だと「え、足を触ってもらっていて、首が動きたがっているんだけど、これって正しいのかな?私が変なのかな?」と、少し考えたり、戸惑ったりしてしまいます。

特に山形というか、東北の人だと、そういった今までにない感覚を味わった時に、「私が間違っているかもしれないから、黙っておこう」という人が多いかなと感じます。(その前にロルフィングをしていたのが「関西」だったので、余計にそう思うのかもしれませんが。笑)

そういった時には、「首がもぞもぞとしていて、動かしてもいいですか?」などと聞いてもらってもいいですし、実際に動かしてもらっても大丈夫です。自然に出てくる反応によるものなので、「間違った動き」というものはありません。

たまにですが、その動きがどんどん大きくなっていって、野口整体で言う「活元運動」や、「アンワインディング(Unwinding)」のような動きになってきたら、なかなか初めての人はうまくコントロールできなかったり、不安になる人もいるので、その時には僕がきちんと誘導していくので、それは安心してください。

その動きそのものよりも、Aさんも書いていますが、「意識よりも体が先に動いて調整している」という感覚の方が、おもしろいなと思います。

脳科学者の池谷裕二さんの本などを読むと書いてありますが、「自分で決めたという意思よりも先んじて、身体が反射的に反応していることがほとんど」だということが、最近の研究でわかってきたようです。

つまり、自分のしている行動は、自分の意識、頭で決めているように感じているのですが、それのほとんどが、それよりも先に身体が反応してしまって行動が起こり、その起こってしまった行動の「理由づけとしての(理解するための)意識」なのではないかということです。

ロルフィングを自分で受けている時もそうでしたが、頭で何かを考えていなくても、身体が勝手に反応し始めます。そして、それを「何が起こっているんだろう?」とか、「それは何の意味があるんだろう?」などと、頭で反応を追い過ぎたり、反応の意味を捉えようとし過ぎると、身体の自然な反応が起きにくくなることもあります。

生き物としての身体が、生き生きと自然に反応してくれていることなので、意識(頭)はそれを「眺めている」ような感じで受けてもらえると、自然にいい方向行くのではないかなと思います。

そして、自然に身体が反応してくれて起きた変化は、「納得」ではなく「感動」します。頭での理解を超えて、身体がよろこぶような感じです。僕もその感動のおかげで、海外にまで行って、ロルフィングを勉強することになったのです。

左半身と左の手、腕の関係性に関しては、今のところまだどういう流れなのかわかりませんが、次第に何か見えてくるのかもしれません。次回のセッション5も、どんな変化が起こるのか僕もわくわくしています。




Yuta

( Posted at:2017年2月14日 )