宮城県の涌谷町というところで、「
ことこと家ヨガスタジオ」のヨガの先生をされているのが、「後藤初美」さんという女性の方です。
僕と初美さんとの出会いは、festaの前の廊下でした。
初めて出会ったその日も、用事があってfestaのドアを開け外に出ると、廊下に男性と女性が立っていました。
簡単な挨拶だけして、用事を済ませて帰ってきても、まだそこに2人はいました。
今度は少し話をしてみようかと、どこから来たのか、とんがりビルは初めてなのかなど聞いてみました。
話の流れで、僕がこのビルの一部屋でfestaをしていること、そこでロルフィングをしていることをお話しさせてもらうと、女性の方が「実はロルフィングを東京で受けていたことがあるんです」と教えてくれました。
それが初美さんでした。
それから、僕が企画したセミナーの案内を送ったり、初美さんと旦那さんが舞踏のイベントに行くから一緒にどうですかと誘ってもらったりと、何度かメールでやりとりをして、「ことこと家ヨガスタジオで、ロルフィングの説明・体験会をする」ということがとんとんと決まりました。
昔から、「この人とは何かご縁がありそうだ」という人は、会った瞬間に直感でわかることがあって、まるで昔からの友人のようにすぐに仲良くなることがあるのですが、「たった一度だけ会って立ち話をした人」のところに伺って、ロルフィングの紹介させてもらえることになったのです。
今では、涌谷町に毎月「出張ロルフィング」で通うようになりました。
本当に「ご縁」っておもしろいなと思います。
そんな初美さんが、僕のロルフィングの「10シリーズ」を受けてくださって、その「感想」を書いてくれました。
ご自身のスタジオのブログで紹介されていたのですが、すごく丁寧に、詳細に「ロルフィングを受けてどう感じたか」を書いてくださっていたので、このブログにも載せてもらえるようにお願いしました。
現在も10シリーズを受けている最中なので、順番に更新していこうかと思います。ロルフィングがどんなものか興味を持っている方の参考になればうれしいです。
なお、初美さんは「ヨガインストラクター」で、「身体の専門家」ということになります。当然、身体感覚も「とても豊かで、きめ細かい」方です。
そんな方が書かれた感想ですので、「あくまで個人(ヨガインストラクター)の感想です」というところを忘れずに読んでいただけるといいかと思います。
ロルフィングを受けるすべての方が、同じような体験をするものではなく、その人それぞれに「その人だけのロルフィング体験」があります。それを大切にしてもらえたらと思います。
「比較」や「ジャッジメント」はどこか脇に置いてもらって、「ロルフィングでこんな体験をする人もいるんだな」と、オープンな気持ちで楽しみながら読んでみてください。
「ロルフィングをまだ知らないけど、ロルフィングが必要な人(ロルフィングとのご縁がある人)」は、まだたくさんいると思うので、そういう人のところに届けばいいなと思います。
現在、「
体験モニター」を数名募集していますので、これを読んで気になった方は、気軽にご連絡ください。
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こんな感じでロルフィングしています。 @ことこと家ヨガスタジオ
Rolfing House festa
Yuta
「お父さん、雪で遊ぼう!」と、二人で元気よく外に飛び出し、気がつくと息子が小さな「雪だるま」を作っていました。
「小さな」と書きましたが、5歳の子どもが一人で全部作るにしては、かなり「本格的な」もので、上に乗せる雪玉も一人でがんばって持ち上げ、足元と首元は倒れないようにと、きちんと「補強」してありました。
「雪だるまはこうやって作るもんだよ」と、以前教えたわけでもないのですが、自分で考えて「工夫」しています。
随分たくましくなったなと、感心していました。
今年は今までに経験したことがないほど雪が少ない山形ですが、たまに雪が積もった時には、そんな感じで息子と冬を楽しんでます。
大人になると、「今日は雪が積もるのか」とか、「明日は寒くなりそうだ」と、天気に一喜一憂したりしますが、子どもはそれすらも「楽しみ」に変えていってしまいます。
「息子の背中」からいろいろと学ばせてもらっている、今年「年男」のお父さんです。
さて、2020年になりましたが、また神戸に滞在して今年最初の出張ロルフィングをさせてもらいます。
今回は、「新しい場所」でのセッションになりますので、予約時に詳細な住所をお知らせします。
もちろん、ロルフィングを受けたことがない、初めての方でも大丈夫です。
ご希望の方は、お早めにご連絡ください。
(予約状況は2月7日現在です)
3月5日(木)
①17:00 - 19:00 ×
②19:00 - 21:00 ×
3月6日(金)
① 9:00 - 11:00 ×
②11:00 - 13:00 ×
③14:00 - 16:00 ×
④16:00 - 18:00 ×
⑤18:00 - 20:00 ×
3月7日(土)
① 9:00 - 11:00 ×
②11:00 - 13:00 ×
③14:00 - 16:00 ×
④16:00 - 18:00 ×
⑤18:00 - 20:00 ×
3月8日(日)
① 9:00 - 11:00 ×
②11:00 - 13:00 ×
③14:00 - 16:00 ×
④16:00 - 18:00 ×
⑤18:00 - 20:00 ×
【場所】
「各線三宮駅から徒歩10分以内」の場所になります。ご予約いただいた方には場所の詳細をお知らせします。
【セッション料金】
12,000円(90〜120分)
【予約方法】
①電話 090-2954-8207
Rolfing House festa
Yuta
今年の山形の冬は、雪がほとんど降っていません。
日本有数のスキー場がある「蔵王」の山の上ですら、状況はそんなに変わらないようです。
やはり、冬のこの時期の山形は、朝起きると「空気が凍る」ほどに寒く、街全体がきれいな白い雪で覆われていて、festaがあるとんがりビルまで歩いていくと、凍った地面から全身に「パリ、パリッ」と、氷が割れる音が響いていくのが、僕はとても好きです。
もちろんそれが、サラサラの雪がたっぷりと降り積もった朝であれば、「身体に響く音」や「踏みしめる雪の感触」も変わります。
こんなに「雪が恋しい」と思った冬は、18歳で生まれ育った秋田から大学のある愛知に移り住んで、初めての一人暮らしで冬を越した時以来からもしれません。
雪は、大概は「寒く、厳しい」ものですが、ふと「美しく、温かく、そして優しく」感じることが、冬のうちに何度かあります。
少しくらいは、そんな気分になりたいのですが、さてどうなることでしょう。
さて、2月14日(金)〜16日(日)の3日間、東京出張ロルフィングをしようと思います。
昨年は、かなり不定期になってしまいましたが、今年は「定期的」に東京に通おうと計画中です。ぜひこの機会に、「festaのロルフィング」を体験してみてくささい。
なお、東京にはたくさんの認定ロルファーさんがいらっしゃるので、ロルフィングの特徴である「10シリーズ」は提供せずに、「単発」でのセッションをすることにしています。
東京出張では、普段の山形ではあまりセッションする機会がないような方々にロルフィングすることができて、いつもロルファーの僕の方が学びの多い時間になっています。
今回はどんな出会いがあるか楽しみです。
下に出張ロルフィングの案内を載せておきます。
興味のある方は、ぜひ気軽にご連絡ください。
追伸:東京で過ごす冬はどんな感じなんでしょうか。それはそれで気になります。
(予約状況は1月26日現在です)
2月14日(金)
① 9:00 - 11:00 ○
②11:00 - 13:00 ○
③14:00 - 16:00 ○
④16:00 - 18:00 ○
⑤18:00 - 20:00 ×
2月15日(土)
① 9:00 - 11:00 ○
②11:00 - 13:00 ×
③14:00 - 16:00 ○
④16:00 - 18:00 ○
⑤18:00 - 20:00 ○
2月16日(日)
① 9:00 - 11:00 ×
②11:00 - 13:00 ×
③13:00 - 15:00 ×
④15:00 - 17:00 ×
・時間には、説明、問診、着替えの時間も含まれます。
・待合室はありませんので、予約時間にお越し下さい。
【場所】東急田園都市線「桜新町」駅 徒歩10分程度
※住所の詳細は予約された方にお伝えします。
【料金】13,000円
【服装】襟付きのシャツ、伸びないジーンズ、スカートなどは避け、
身体を締め付けない楽な服装
【予約方法】
①電話 090-2954-8207
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山形は蔵王の山の上の方が、紅葉で紅く染まり始めてきています。
四方を山々で囲まれているので、街のどこにいても山が見えます。
これから、少しずつ紅葉の「色の波」が、山から僕らが暮らしている街の中まで広がってきて、長い雪の冬が始まるまでの束の間を、豊かな彩りで満たしてくれます。
自然が移ろい、それを知ってか知らずか、生きとし生けるものも、それに「応える」ように変化していきます。
身体は「紅葉」することはありませんが、朝の空気の締まり方、風の広がりと動き、空の距離感を感じ取りながら、静かにゆらぎ、移ろっていくのです。
できるならば、ロルフィングを通して、身体の中に「季節が流れ込む」ほどの「ゆとり」を作れたらいいなと思います。
12月になりますが、また神戸に滞在して今年最後の出張ロルフィングをさせてもらいます。
今回は、一か所でのセッションを予定しています。
ご希望の方は、お早めにご連絡ください。
※予約希望の方が多かったために、11月10日(日)に予約枠を追加しました。
(予約状況は11月30日現在です)
12月12日(木)
①14:00 - 16:00 ×
②16:00 - 18:00 ×
③18:00 - 20:00 ×
12月13日(金)
① 9:00 - 11:00 ×
②11:00 - 13:00 ×
③14:00 - 16:00 ×
④16:00 - 18:00 ×
⑤18:00 - 20:00 ×
12月14日(土)
① 9:00 - 11:00 ×
②11:00 - 13:00 ×
③14:00 - 16:00 ×
④16:00 - 18:00 ×
⑤18:00 - 20:00 ×
12月15日(日)
① 9:00 - 11:00 ×
②11:00 - 13:00 ○
③14:00 - 16:00 ×
④16:00 - 18:00 ×
⑤18:00 - 20:00 ×
12月16日(月)
① 9:00 - 11:00 ×
【場所】
「各線三宮駅から徒歩10分以内」の場所になります。ご予約いただいた方には場所の詳細をお知らせします。
【セッション料金】
12,000円(90〜120分)
【予約方法】
①電話 090-2954-8207
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ちょっと前に、新しい靴を買いました。
上の動画を観ていただくとわかりますが、「下り坂を快適に、効率よく走るため」に、自分たちで靴を作り始めたところ、それが他の人にも口コミで広がり、フランスのアルプスの過酷なトレイルに対応できるように試行錯誤を繰り返した結果、「あらゆる人に対応できる靴」が誕生したということです。
今回のこの記事では、「僕の個人的な靴の好み」を紹介して、そこから「ランニンシューズの発展を支えた日本人職人の存在」と、最近のトレンドである「厚底ランニングシューズの登場」との関係性を考えてみようと思います。
そしてそれは、「僕が最近買った靴」にもつながっていきます。
「革新的な道具の誕生」には、その「背景」があります。
それを「踏まえて」道具を使うことができると、より道具が「扱いやすく」なったり、「愛着」が持てたり、「道具との健全な関係性を保つヒント」にもなります。
みなさんも毎日必ず履いているであろう「靴」という「道具」、その「関係性」を見つめ直すきっかけになればうれしいです。
本気なら「アシックス」
僕は、普段は「アシックス(asics)」を好んで履いています。
「アシックス」の靴は、「寡黙な職人タイプ」が多く、「余計なことをせずに、プロとしてサポートに徹してくれる」靴が多いなと感じています。
基本的には「主役=履く人」であって、「その人の実現したい動きの邪魔をせずに、さり気なく、そして確実にサポートしてくれる」という感じです。
特に愛用しているのは、「ソーティ(SORTIE)」というシリーズと、「スカイセンサー(SKYSENSOR)」というもので、「マラソンシューズ」に分類されるものなのですが、「ソールはフラットで、なるべく薄くて、軽い」のが特徴です。
「ソーティ」はその最たるもので、まるで「裸足で走っている」ような感覚になります。
立っている時には、重心はつま先にも踵にも寄らずに「フラット」な感覚で、歩行の際、足裏の体重移動の軌跡は、とても「自然」なものになります。
「ターサー(TARTHER)」シリーズになると、その体重移動を「アシスト」するような感じで、前にグイッと押し出されるようになりますが、基本的に前に進んでいく陸上競技ならそれでいいのですが、僕は「どんな動きにも対応してくれる万能タイプ」を求めているので、「ソーティ」の方が合っています。
「スカイセンサー」になると、少しソールが「厚く」なり、その分だけ「クッション性」が増して、名前の通りに「空を飛ぶように走る」感覚になります。
さらに、ソールに「余計な細工をしていない」ので、「センサー」のように「地面を繊細に感じる」こともできます。
「どんな動きにも対応できる靴」を探して
今は「ロルフィング」を仕事にしていて、ベッドでのマンツーマンでの「施術」が中心ですが、以前は「トレーニング指導者」をしていました。
高重量のウェイトトレーニングはもちろん、それを爆発的に行うリフティング系のトレーニング、そして、ジャンプやダッシュ、切り返しなどの多様なトレーニングに対応できる靴が必須でした。
各シューズメーカーのマーケティング戦力上、しょうがないかなとも思うのですが、店頭に並んでいる靴というのは、「バスケットボールシューズ」というように、「何かに特化している」ものが多く、「(その一足があれば)何にでも対応できるもの」というのは、実はそんなに多くはありません。
あまり「クッション性」がありすぎても、ソールに「いろいろなものが付加」されていても、重いウェイトを担いだ時に、地面に伝える力が「逃げる」可能性が出てきてしまいます。
そのために、「ソールはフラットで、なるべく薄くて、軽い」方がいいのですが、さらにはそこから「走る」、「止まる」、「飛ぶ」などの動作も行わなければいけないので、それらも満たしてくれる靴となると、僕としては「アシックスのマラソンシューズ」が、「どんな動きにも対応できる、最もバランスがいい靴」になるのです。
店員さん泣かせの困った客
靴屋さんに行くと、デザインなどよりも、まずは「ソールの表情」を眺めます。
それを見るだけで、大体「どんな風に履いてほしいのか」という「作り手の意図」がわかります。
じっと靴の裏底を見ては、少し触ったり、ソールをねじったり曲げたりして、いろいろな靴を手に取ります。
店員さんは、「この人はどんなものをほしがっているんだろう?」と、手に取る靴などをヒントにそれを推測しようとしたりしますが、「エリートマラソンランナー用」の靴を見ていたと思ったら、「投擲選手の練習用」のものを見たり、「フットサル」や、「バレーボール」、「バスケットボール」のものまで見ていたりします。
僕としては、先に書いたように「どんな動きにも対応してくれる万能タイプ」を探しているので、特に「競技という括り」はありません。
店員さんは困ったように、「何かお探しですか?」と聞いてきてくれるのですが、「ランニングシューズの選び方は、まずはキロ何分くらいで走りたいかの目標を聞いて、それに合わせて大まかなモデルを選んで、そこからは、軽いのが好きだったり、クッション性がほしかったり、個人の好みで判断していく」という、「定型パターン」でしか話せない人が多いので、「ソールはフラットで、立った時に体重が前後に寄ったりせずに、なるべく軽くて、薄くて、地面を踏んだ時にズレがない感じで、競技はこだわらない」などという、「わがままな要望」にはなかなか応えてくれません。
こういった「競技、用途などの括りにこだわらず、自分が求める機能をサポートしてくれる靴選び」に関しては、知り合いの「日本一重いベンチプレスを挙げる男(体重別)」の記事も読んでいただけるとおもしろいかと思います。
一人の職人の存在
少し前のテレビドラマに、『陸王』という、元々は「足袋屋」をしていた店が、経営不振で伸び悩んでいた時に、「足袋型のランニングシューズ」を開発して、店を立て直していくものがありました。
その中で、「シューフィッター」と呼ばれる人が登場して、足袋屋さんに靴作りの「ノウハウ」を教えていくストーリーがあるのですが、それには「実際のモデル」が存在していました。
それが「三村仁司」さんという方で、「アシックス」に在籍していた当時、高橋尚子さんや、野口みずきさんなどの、日本人女子マラソン選手の輝かしい活躍を影で支えられてきました。その功績として、「アシックス」には、先ほど僕が挙げたような優れた靴がとても多いのです。
その三村さんは、次の活躍の場として「アディダス(adidas)」を選びました。
僕が大学を卒業してすぐの頃だったので、10年くらい前に、「アディゼロ タクミ(adizero takumi)」と呼ばれるシリーズが、三村さんが開発に関わったことで誕生してきました。
これも素晴らしい「名作」で、トップ選手でも、一般の市民ランナーの方でも、「アディダス」を選ぶ人がとても多くなってきています。
その三村さんが、今度は「ニューバランス(New Balance)」と契約されました。
これから、ニューバランスの「ランニングシューズ」の性能が、どんどん上がってくると予想されています。
そのことが書かれているのが、下の記事です。
記事の中では、箱根駅伝ランナーのシューズの「メーカー分布」のことが書かれてありますが、三村さんの磨いてきた「薄底」の職人の技術と、昨今のランニングシューズ業界を席巻しつつある「厚底」との対比が書かれてあります。
三村さんの意見も載っているので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。
「厚底」とは何か
三村さんの仕事のおかげで、先に挙げた「アシックス」のシューズのような「薄底」が、特に長距離トップ選手向けの「マラソンシューズ」では主流になっていたのですが、そこに彗星のごとく登場してきたのが、「ナイキ(NIKE)」の「ヴェイパーフライ4%」という、上の写真の靴です。
見ての通り、かなり「厚底」なのがわかります。
今までの「マラソンシューズ」の「定説」を、見事に「ひっくり返すコンセプト」を持った靴です。
日本では、「大迫傑」選手がこの「厚底」シューズを履いて、主要なマラソン大会で好成績を収めたことで、一気に「火がついた」ようにこの靴が「トレンド」になりました。
この前行われた「東京マラソン」でも、テレビ中継を観ていると、かなりの人数の市民ランナーの方々が、この靴を履いているのが確認できました。
上の記事には、このナイキの靴の「最新バージョン」に関しての情報が詳細に書かれてありますが、海外のトップ選手からの要望で、「クッション性がほしい」という声が多かったので、「厚底」になったという部分があります。
さらっと読むと、「厚底の誕生は、クッション性のため」と読むこともできますが、僕個人としては、それよりはむしろ、その「厚底」の間にある「カーボンファイバープレート」の存在が大きいのでないかと考えています。
どういうことかと言うと、「カーボンファイバープレート」という素材は、「軽くて、よくしなる」性質を持っています。
その素材を、「クッション性があって、厚い素材」によって「(上下から)挟む」ことによって、「積極的にカーボンファイバープレートをしならせる」ことができるようになります。
そして、それが「しなり返る」時に、「グイッと前に押し出される推進力を生む」ことが可能になるのです。
履いている人にとっては、「厚いソール」の中に埋め込まれている「カーボンファイバープレート」に、「いかに仕事をさせるか(いかにきれいに、効率よくしならせるか)」がポイントになります。(そのためには、「前足部接地」が必要になります。)
先ほどの「ターサー」にも、同じような機能ががあると書きましたが、それよりも圧倒的に「グイッと前に押し出される推進力」が大きく、それを仮に「薄底」に「搭載」したとしても、しっかりと「しならせる」ことは難しいかと思います。
ソールが「厚底」になった理由は、「クッション性」のためというのももちろんだと思いますが、それよりも、「カーボンファイバープレート」という「走りを加速させるエンジン」のような素材を、「より効率よくしならせるためのスペーサーとしての役割」の方が大きいのではないかというのが、僕の考えです。
大迫選手や、今では多くの市民ランナーの方々も使用しているこの「厚底」シューズは、「厚底の中にエンジンを搭載しているような靴」とも言えるかもしれません。
そうなってくると、三村さんに代表される「余計なものをなるべく削ぎ落とした」ことによって生まれてきた「薄底」のシューズと、「走りを加速させるエンジンを積んでいる」ような「厚底」のシューズというのは、ただの「ソールの厚さの違い」という、「単純な構図の比較」ではなくなってくるのではないかと思います。
「道具に仕事をさせる」という感覚
このことを書いていて思い出したのが、日本代表の「アルペンスノーボード」選手の遠征に帯同させてもらった時の経験でした。
アルペンスノーボードは、日々「道具の進化、イノベーション」が起きていて、「ある道具の登場」を境にして、「パフォーマンス」に明らかな差が生まれ、そのために「乗り方(身体と道具の操作の仕方)」までもが、まるで変わってしまうことがあるそうです。
極端な話ですが、その道具の存在を自分だけが知っていて、他の人には教えずにいると、自分だけが勝つことも可能になるということです。
それを聞いて、それほどまでに、「道具の性能がパフォーマンスに与える影響が大きいスポーツ」だと思い知らされたと同時に、「道具にいかに仕事をさせられる身体であるかどうか(ただ、身体を大きくしたり、強くすればいいということではない)」という「視点」が、僕に加わりました。
「スポーツ」と一括りに言っても、「F1」などのような「モータースポーツ」では、「マシンの性能」がものすごく重要になってきますが、その反対に、「水泳」のように「身体能力」で勝負が決まるものもあります。
そういう意味では、「陸上」というのは、かなり「身体能力(走力、跳力など)」に焦点が置かれがちだと思いますが、この「厚底」シューズの登場のおかげで、「積極的に、靴(道具)の性能を引き出せるように身体を使える能力」というのも考えなければいけなくなってくるのではないかと想像します。
「厚底」と言えば、「ホカ」
そんな、ランニングシューズ界に突如として現れた「厚底」シューズにも、「きっかけ」が存在しています。
それは、「僕が最近買った靴」のメーカーである、「ホカ」から始まっていきました。
すでに最初に書いたように、元々は「トレイル(山道)を下る際の、快適な靴作り」から、この「ホカ」は誕生してきたのですが、それが人づてに、いろいろな人や、シチュエーションへと広がっていって、山道などの「オフロード」から、マラソンなどの「オンロード」にも使われるようになります。
実際に「ホカ」には、「マラソンシューズ」のような「オンロード」用の靴もたくさんあって、そこから世界のシューズメーカーである「ナイキ」がそれに目をつけて、先ほどのシューズを開発して、それを各メーカーも追随していっている状況です。
今でこそ、世界中の有名ランナーが履いていることで「ナイキの厚底」が有名になりましたが、元々は「厚底と言えば、ホカ」だったのです。
写真の真ん中が、今回購入したものです。
これは「ランニングシューズ」ではなく、街での「タウンユース」から「ハイキング」などにも対応しているものなので、今までに紹介してきたような「スピードを競う」目的の靴ではありません。
ソールは「
ビブラム(Vibram)」のものを使っていて、「ビブラム」は、「ファイブフィンガーズ(5本指の靴)」が有名ですが、今では様々なシューズメーカーが、ソールの「アウトソーシング(外注)」をしていて、「ホカ」の「オフロード」用のものにも、多く採用されています。
山道などのトレイルが得意なので、デコボコしている路面をしっかりと「グリップ」できるように、ソールには「様々な機能が付加」されていて、「にぎやか」なのが特徴です。
僕はほとんどが、アスファルトなどの「静かな」路面を歩いているので、「ビブラム」のソールだと、少し「騒がしいな」と感じました。
さらにそこに、「ホカ」の代名詞でもある「厚底」も加わるので、かなり「歩き方の調整」をする必要がありました。
「バネ」の存在感
上の動画が、「ホカ」のソールの機能である「PROFLY」の説明なのですが、つま先に「バネ」があるのがわかるかと思います。
今回買った靴で、一番慣れなかったのが、この「バネの扱い方」です。
よく履いている「アシックス」の靴だと、「プロとしてサポートに徹してくれる」感覚なので、僕自身は「何も考える必要がない」状態で、歩いたり、走ったり、様々な動きを行うことができます。
そのおかげで、「地面の声を聴く」といったことや、「足裏の重心移動の軌跡を感じる」というような、「身体の微細な感覚」に「意識を集中する」ことができます。
僕は、より「受動的な歩き方」ができて、「主役=履く人、サポート役=靴」というイメージです。
今回の「ホカ」の靴は、「バネをいかに上手に使うか」がポイントになるので、そのためには、履いているこちら側が、一歩一歩「踏み込む」感じで歩いていかないと、「バネに負ける」ような感覚になってしまいます。
欧米の人のように、体格ががっちりしていて、筋力も十分にあって、歩く際に「ズンズンと踏み込んでいくタイプ」の人であれば、「(何も考える必要もなく、自然に)バネを使える」のではないかと思います。
先ほどの「アシックス」と比較すると、「能動的な歩き方」する人には合っているかもしれませんが、「主役=靴、サポート役=履く人」になってしまう可能性もあるかもしれません。
さらに、この靴が生まれてきた環境は、「フランスのアルプスで、デコボコした岩があるトレイルを下っていく」というものなので、その状況だと、「つま先方向に体重移動しやすく」なります。それによっても「(自然と)バネを使える」感覚になります。
つまり、「(デコボコもしていない)平坦な道」を、「(自分から踏み込んでいく、能動的な歩き方ではなく)受動的な歩き」をする僕にとっては、「歩き方」だけでなく、「意識」も変えなければいけませんでした。
「道具に仕事をさせる」という「コツ」をつかむことができてからは、逆に「下り坂をタイヤが転がる」ように、スイスイと歩いていくことができるようになりましたが、それに気づくまでは少し時間がかかりました。
「補完」か「拡張」か
今まで書いてきたように、「靴」にもいろいろなものがあって、その機能はかなり多様になってきていると思います。
そんな「靴」を「道具」として考えてみると、「道具」には、「人の身体の能力」を、「補完するもの」と「拡張するもの」とがあります。
例えば、「サングラス」というのは、「紫外線に弱い眼」を「(レンズで)補完」することで、眼を「保護」してくれたり、「眩しさを和らげる」ことで、作業に集中することができます。
「サングラス」があることで、「刺激、ストレスを和らげ、その人が持っている能力を存分に引き出す」ことができるのです。それが「補完する道具」です。
それに対して「双眼鏡」は、眼の「遠くのものを見る能力」を「拡張」することができます。
「双眼鏡」のおかげで、「眼が元々持っている能力そのものを延長する」ことができるので、「拡張する道具」になります。
そういう意味で言うと、「アシックス」の靴というのは、「裸足になるべく近く、最低限の保護をしてくれる」ので、「(足の能力を)補完する道具」になって、今回の「ホカ」や「ナイキ」の靴に関しては、「走る際の足の蹴る力を後押ししてくれて、楽にストライドを伸ばすことができる」ので、「(足の能力を)拡張する道具」に当てはまると考えられます。
最近では、「義足」で走るパラアスリートの方が、「健常者が出した世界記録を超えるのではないか」と言われていたりしますが、それもこの問題に類似するものです。
以前の「義足」は、まさに「亡くなった足を補完する道具」という意味合いが強かったと思うのですが、「テクノロジーの進化」によって、「そもそもの足の能力を拡張する道具」というものに「移行」してきているようにも思います。
道具を通して、自分を眺める
「その靴は、そもそも道具として、自分に何をしてくれるものなのか?」
今回、「ホカ」の「厚底」の靴を履いてみて、改めてそんなことを考えました。
「最近流行っている厚底は、どんな感じなんだろう」という感じで、「道具ありき」で靴を買ったのですが、東京マラソンで「厚底」シューズを履いていた市民ランナーの方の中にも、「大迫選手が履いてるから」というだけの理由の人もいたかと思います。
「道具」というのは、「選び方」を間違えてしまうと、自分の「主体性を損なう」可能性も出てきてしまいます。
道具はどんどん「進化」していて、「厚底」のような「革新的」なものも登場してきて、今後はさらに「多様化」が進むかと思います。
それを「選ぶ側」である僕たちが、よくそれを考えて「選択」しなければ、「道具とケンカしてしまう」ことがあったり、「道具に支配される」ということも起きるかもしれません。
今回の記事では、「靴」という「道具」を巡って、様々なことを書いてきましたが、道具のことを考えれば考えるほど、「自分のことをまずはよく知らなければいけない」と思うようになりました。
ついつい、スマホなどで「道具をいろいろと検索すること」に時間をかけてしまいがちですが、まずは「自分自身をよく知ること(自分の身体はどういう状態か、どんな走りをしたいのか)」も、とても大切なことだと思います。
そして、その上で「道具とゆっくりと会話すること」によって、少しずつ「(自分なりの)道具との健全な関係性」を探っていくのがいいかと思います。
言うまでもありませんが、「完璧な道具」などこの世の中にはありません。
「道具の評価(レビュー)」に「振り回される」よりも、「どんな道具とでも、仲良くやっていける自分でありたいな」と思います。
「ホカ」も、最初は少し戸惑いましたが、今ではだいぶ「会話が弾む」ようになってきました。
これはこれで「僕とホカとのいい関係」だなと思っています。
Yuta
このページは「ロルフィングって何?」という方のために、いろいろな情報をまとめたものです。
このウェブサイトの上の方に、「
ROLFING」というページがあって、そこにも大まかな説明が書かれてあります。
まずはそちらをざっとご覧になっていただいて、「それでもよくわからなかった」という方や、「もう少し情報がほしい」という方は、この先を読み進めてみてください。
〈目次〉
1、ロルフィングの紹介動画
2、ロルフィングを実際に受けられた方の感想
3、ロルフィングのメニューについて
4、メディア掲載情報
ロルフィングをはじめての方に説明する難しさは、「聞いたことがない音楽のジャンルを人に説明する難しさ」に似ているなと感じます。
みなさんは、そんなに音楽に詳しくなくても、なんとなく「ジャズ」と「ロック」の違いはわかると思います。
でも、それを知らない子どもがいたとして、その違いを「(言葉で)説明する」のは、なかなか難しいですよね。
多分多くの人が、「実際に聞いてみるしかないよ」と感じられると思います。
ということで、「ロルフィングを実際に受けてみる」のが一番いいのはもちろんなのですが、いくつか動画を紹介した記事がありますので、ロルフィングのイメージを広げる参考にしてみてください。
先ほど紹介した動画の中でも、実際にロルフィングを受けた方々が、いろいろな感想を話しているところがあります。
「なるほど、めっちゃ興味ある」と思うものもあれば、「うーん、いまいいちピンとこない」というものもあるかと思います。
「festaのロルフィング」を受けたことがある方にも、感想を書いてもらいました。
お医者さん、アスレティックトレーナー、ボディワーカー、身体表現の指導者、エステティシャンなど、いろんなタイプ、業種の「身体の専門家」の方に書いていただいたので、なかなかおもしろいかなと思います。身体が資本である「アスリート」の方の感想もあります。
何か「引っかかる」感想があればいいなと思います。
「なんとなく説明はわかったので、実際に体験してみたい」という方は、ロルフィングのメニューに関してのページもご確認ください。
ロルフィングには、「10シリーズ」という「テーマが違う10回のセッションを通して身体を整える方法」があって、その他にも「単発セッション」もしています。
はじめての方には、「単発セッション:すっきり60分」をおすすめしています。
詳細は、下のリンクからチェックできます。
最後に、festaのロルフィングを、過去に何度かメディアで取り上げていただいたことがあるのですが、それをまとめた記事がありますので、そちらも気になる方は覗いてみてください。
プロのライターさんが上手に情報をまとめてくださっているので、とても読みやすいと思います。
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聞き慣れない「ロルフィング」というボディワークですが、実は、ロルフィングが生まれた「アメリカコロラド州ボルダー」という街と、festaがある「山形市」とは、「姉妹都市」という関係性があります。
ほとんどの山形市民の方が知らない情報だと思いますが、これも不思議な縁かなと思うので、ここ山形でロルフィングが広がっていくといいなと思って、「Rolfing House festa(ロルフィングハウスフェスタ)」というスタジオをしています。
もしも「
ロルフィングを受けてみたい」と思われた方や、「
わからないこと、聞きたいことがある」という方は、どうぞ「
CONTACT」ページから気軽にお問い合わせください。
Rolfing House festa
大友 勇太
先日、息子が5歳の誕生日を迎えました。
ということは、息子が生まれるのを機に、神戸から奥さんの実家がある山形に引っ越してきて、ほとんど知り合いもいない状態から、ゼロからロルフィングというボディワークを仕事にしてやってきて、丸5年の年月が経とうとしているということになります。
神戸でfestaを開業しましたが、関西で、しかも港町という土地柄もあってか、ロルフィングが広まるには、それほど時間がかかりませんでしたし、出会う人に恵まれて、本当にありがたかったなと思います。
そんな神戸を離れる時には、「まあ、腕には自信があるから、山形でもすぐにやっていけるだろう」と思って、山形に飛び込んだのですが、なかなかそう簡単な道ではありませんでした。
「保険が効かない(自費診療である)」ということと、「ロルフィングの効果、そして実際に体験した感覚が、なかなか言語化しづらい(ロルフィングの説明が単純ではないこと)」ということもあって、山形の人に広まっていくには、想像以上の労力と時間が必要でした。
それでも、地道に日々のセッションを行っていくと、「口コミ」で評判が広がるようになってきて、まだまだ神戸の時ほどではありませんが、「必要としてくれる人のところに、少しずつ届き始めている」という、「派手ではないけど、静かで確かな実感」が、この手に芽生えてきたように思います。
とは言え、「ロルフィング?何それ?」という方もまだ多いと思いますので、それがどんなものかを説明させていただいて、実際にどんな感じで身体を観察し、評価して、どうアプローチしていくかを体験、見学してもらえる機会を企画しています。
どんな方でも参加できますので、興味のある方は気軽にご連絡ください。
Yuta
8月に、東京から友人のボディワーカーである「
竹野健太郎」くんをお呼びして、山形で「呼吸」に関してのセミナーを開催することになりました。
竹野くんのことは、このブログの中でも一度紹介したことがあります。(その時の記事は
こちら)
30半ばになって、こういう業界にずっといると、なかなか「友人」と呼べる人も少なくなってきたなと感じています。(「知り合い」「仲間」などはたくさんできるのですが。)
彼の良さは、いろいろな人、テクニック、やり方に対してオープンで、学びの姿勢をいつも忘れていません。そして、誠実に、公平に、それらを自分のやり方の中に取り込み、そしてそれを他者へも惜しみなく共有してくれます。
さらっと書きましたが、これくらいの年齢になると、自分のやり方だけに固執したり、変なこだわり、偏りがあったり、仲のいい人ばかりで仕事をして、外へ学びに行くことをためらってしまったり、何かを知っても、自分だけで囲って、他の人にそれを教えようとしなかったりと、どんどん「しなやかさ」を失っていく人も多くなっていく印象があります。
そういう意味で、僕は彼のことを尊敬していますし、友人としても彼を山形にお呼びして、そしてセミナーをしてもらえることになって、とてもうれしく思っています。
内容に関しては、僕のロルフィングの先輩でもある、佐藤博紀さん(ヒロさん)が考案した「
IMAC」というコンセプトをベースにして、シンプルに関節の可動域を評価することで、「呼吸」の全体像を推測し、的確にアプローチしていくというものになります。
「呼吸は大切である」というのは、みなさんご存知のことだと思いますが、その評価は、さもすると感覚的で、「なんとなく深い呼吸ができている」程度のものになりがちだと思います。
「呼吸」という、知っているようで意外に知らないことも多い漠然としたものを、「誰とでも客観的に共有できる」わかりやすい指標として、目に見える「可動域」に注目して、深く探求していくセミナーです。
基本的な解剖学を理解している方であれば、身体に関わる職種に関わらずに、どなたでも参加できますので、ぜひ興味のある方はご参加ください。
◯セミナー詳細
日時:2019年8月25日(日) 10:00 - 18:00
場所:整骨院こころ
〒990-2483 山形県山形市上町1-8-17
参加費:10,000円
定員:15名(最低催行人数:4名)
申し込み・お問い合わせ
Rolfing House festa
先日、米沢に行って「眼鏡」を作ってもらってきました。
伺った場所は「
スタジオ八百萬」というコワーキングスペースで、整体の先生が出張でやってきて、その施術を受けられたり、外国人の方から気軽に英会話が習えたり、アートショップが企画されたりと、いろいろなイベントが行われている場所です。
元々は、今は「
ひもトレ」で全国に名前の知られている小関勲さんが、「面白い方が新潟からいらっしゃるので、大友さんもどうですか?」と誘っていただいたのが最初でした。
「おもしろい人の知り合いは、必ずおもしろい」と思っているので、小関さんが紹介してくれるのなら間違いないと、内容もあまり確認せずに申し込んでみたのですが、新潟の「
視覚行動研究所」代表の野澤康さんが、2ヶ月に1度、スタジオ八百萬で「眼の検査と眼鏡の作成」をしてくれるというものでした。
ちなみに僕は、小さい頃から視力は良くて、今でも両眼とも1.2〜1.5ほどあります。
それでは、「なぜ検査してもらうことになったのか?」というと、野澤さんは眼の詳細な検査から、「どのように左右の眼が協調して機能しているか」ということはもちろん、「どのようにこの世界を視覚によって認識し、どう行動しているのか」というところまで評価、考察してくれるのです。
これを聞いた時に、「田村さんみたいだな」と思ったのですが、田村さんとは「
視覚情報センター」代表の田村知則さんのことで、野球のイチロー選手や、少年時代のテニスの錦織圭選手、ゴルフの宮里藍選手を「視覚」の面から支えられたことでも有名な方です。
「どう見るかは、どうある(在る)か」
今でこそ、ロルフィングをはじめ、ボディワークの世界では、身体全体のバランスを調整していくために、「視覚」に対するアプローチも注目され始めてきましたが、それを田村さんは「眼の専門家」として、何十年も前からされてきていたのです。
今回の新潟の野澤さんは、その田村さんの指導を受けたことがあるようで、「視力の矯正」としての眼鏡だったら、僕は何も興味がなかったと思いますが、「左右の眼の共同作業による見え方のズレを調整し、それによって対象をありのままに認識できることで、脳の情報処理のストレスを軽減させたり、身体の構造さえも左右対称になってくる可能性も出てくる」という、ロルフィングとも親和性があるコンセプトにすごく共感して、野澤さんの検査を受けることにしました。
最初の検査は昨年受けたのですが、検査の結果としては、「右の眼はほとんど問題なく機能しているが、左が少しもたついている(レスポンスが遅い)」ということでした。
その眼の評価の後に、野澤さんが「大友さん、右の方のスペースでこうやって手を動かしても、何も嫌な感じはしないと思うのですが、左はどうですか?」と、顔の横の辺りで手を動かしたのですが、すぐに「あ、左の方で何かが動くと、眼で追いにくくて嫌だ」ということに気づきました。
そのことで思い出したことがあって、僕は右に誰かが座った時と、左に誰かが座った時では、「身体の居心地の良さ」がまるで違っていて、右だと「安心」できるのですが、左だと「なんだかそわそわして、落ち着かない」感覚になります。
ソファーの右に誰かが座っていると、とてもフレンドリーに話せるのですが、左だと「壁」があるように感じるのです。
なので、奥さん(気を許している人)であれば、左でも大丈夫なのですが、なるべくなら右にいてもらった方が落ち着きます。
みなさんも、「恋人と手をつなぐ時(ソファーに座る時、一緒に寝る時)に、どちらにいる方が多いか?」であったり、「見知らぬ人が隣に座るバスでは、左端、右端のどちらにいる方が落ち着くか?」など、少し考えてみるとおもしろい傾向が見つかるかもしれません。
それらは「空間認識」に関係していて、野澤さんの検査によって、「左右の眼の協調した動きの偏り(ズレ)」が、その認識に影響を与えるいるのではないかということに気づきました。
つまり、「左の眼の動きが、右に比べてどんくさいので、顔を前に向けたまま、周辺視野で左のスペースを認識することが難しい」ということが、「左に人が座られる居心地の悪さ」につながっているのかもしれないということになります。
そうすると次に、「なぜ左右の眼の動き、機能のズレが生じてくるのか?」という疑問が浮かんできます。
それを野澤さんに聞いてみると、とてもおもしろい見解を教えてくれたので、それを共有したいと思います。
もちろん、それには様々な要因が考えられるのは当然ですが、野澤さんが指摘してくれたのは、「スマホ、タブレット、パソコンなどの見過ぎ」ということでした。
「やっぱり、ブルーライトが悪いのか」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではありません。「眼が悪くなる要因」として、「ブルーライトは、そんなに関係がない」ということなのです。
それよりも、「平面を見続けること」の方が、影響しているようです。
どういうことかと言うと、「自然界には平面が存在しない」ことが関係しています。
元々、私たちの眼は、「差」を認識するために「左右の2つの眼」を持っていて、右眼と左眼で捉えたそれぞれの視覚情報を、「脳で統合的に処理する」ことで、「天敵が周りにいないか?いたとしたら、どれくらいの距離か?」であったり、「食料は近くにあるか?あるとしたら、どれくらい近くにあるのか?」という、「生存するために重要な情報」を得ています。
「平面(二次元)」の情報だけだと、眼は1つだけでもいいと思うのですが、「距離感(奥行き)」などを正確には認識することが難しくなります。
僕たちは、普段は意識していませんが、常にその右眼と左眼の情報を「統合」することで様々な行動をしていて、スマホやパソコンなどの「(人工的な)平面」を見る時には、「片眼の情報だけ」でも十分で、「もう片方の眼から入ってきた情報はキャンセルしている」ということが起きているのです。
つまり、「片眼しか使わずに見ている」と言えます。
さらに、最近では、VRなどを幼児がやり過ぎることで、「斜視」の問題が引き起こされる可能性があると言われていたりしますが、それも「平面ではないものを見て、差を認識する」という両眼の機能と、「相性が悪い」のではないのかと、個人的には考えています。(最近、「斜視」の子どもが多いように感じていて、それにはVRだけでなく、スマホの影響もあるのではないかとも思っています。)
ということで、スマホを見続けることは、「動きが優れている眼(利き目)」は、どんどん動きは良くなるでしょうし、「動きがどんくさい眼」は、見ているようでキャンセルされて働いていないので、どんどん動きは悪くなっていってしまいます。
そうして「左右の眼の機能のズレ」が大きくなると、「老眼」の症状が出てきやすくなり、これが「スマホ老眼」であり、「若年性老眼」の「背景」になってくるのです。
これには他にも、いろいろな考えがあるかと思いますが、「現時点で最も腑に落ちる見解」かなと、僕は思っています。
この検査の結果と、スマホやパソコンと老眼の関係を野澤さんに聞いてから、自分の普段の生活を観察してみると、「左眼が動いていない」というのが、はっきりと知覚できるようになってきました。
特に、こうやってパソコンで長時間ブログを書いていたり、移動時間でスマホを見ていると、「左眼が、どう仕事をしていいのかがわからないので、フリーズしたり、ギクシャクした動きをしている」のがわかりました。
それに気づき始めてから、遠いところと近いところに、交互にピントを合わせるようにしてみると、「左右が協調して動けずに、ボケてしまう」ということも多くなってきました。
自覚的にも、「両眼がうまく連携できてないな」と感じることが多くなってきたので、1年ぶりくらいに、スタジオ八百萬で野澤さんに検査をしてもらい、結果によっては「眼鏡」を作成することにしました。
そして、その結果としては、やはり予想通りのもので、「両眼の機能が落ちている」ということでした。詳しくは、「両眼ともに乱視が入り、片方が遠視、もう片方が近視が出てきている」とのことでしたが、確かにこの1年は、パソコンを眺めている時間がとても多くなっていたので、納得の結果でした。
最初の写真が、実際に作っていただいた眼鏡です。
まだ、人生初の眼鏡をし始めて2週間ほどですが、「左眼のいつものポジションが変わってきた」感じがします。その「変わってきた左眼のポジションと右眼とのバランス」が、適応してくるまでもう少し時間がかかるかなと思います。
さらに、眼鏡をすることで「関節の可動域」までも変わってきます。
「身体を構成する各要素は、完全に独立したものはなく、すべて関わり合いながら、生きることを支えている」というのを、自分の身体で実感しています。
最後に、「スタジオ八百萬」のFacebookページで、野澤さんの検査の案内文が素敵だったので、それを載せて終わりにしたいと思います。
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野澤先生、視覚調整で免疫力が上がるってどういうことですか?
「分からない。
理由は分からないけど、
そうとしか思えないんですよ。
酵素風呂、断食、メガネで
○○が治るのをたくさん見てきたんです。
(○○には病気の名前が入ります)
それに、動物は、左右対称の個体を選びますよね。
野生では、眼の動きが悪ければ、
獲物を捕ったり外敵から身を守ることができなくて
生き残れない。
クジャクの模様だって、
メスは左右対称の模様のオスを選ぶでしょう。」
なるほど。
眼の動きが良くなると、免疫力も含めて生命力が上がるってことですね。
それは、この間の「このメガネを掛けたら恋人ができました」っていう話にも通じますね。
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「恋人ができる」なんて素敵ですね。
「眼鏡」を通して、何が見えてくるのか、そして、自分はどんな風に変化していくのか楽しみです。
Yuta