下半身の歪みを治していくことで、歪みが移動して上に上がり、頭や首の辺りに違和感が出ることがあったり、実は頭蓋骨や背骨の歪みが原因で、腰の痛みを発症することもあるとの説明を受け施術していただきました。
どんどん身体の痛みが酷くなるということから解放され、身体は動きやすくなり、常に痛みがあるというストレスから解放される日が来るとは思ってもいなかったため、感謝の気持ちでいっぱいです。
人間の頭というのは、「ボーリングの球」くらいの重さがあり、その重い頭を「どのように身体に置くか(頭の位置関係、ポジショニング)」というのが、このセッションでのテーマになります。
身体の構造を支える上向きの力に、頭を「置く」イメージ
上の図のように、セッション6まで終わった身体というのは、身体の構造を支える上向きの力(ロルフィングでは、「ライン」と呼びます)が現れるようになり、全身の力は抜けているのに、その構造は下に倒壊せずに、上の方向に伸びていくようになります。
ロルフィングを受けた人が、上に抜けていくような垂直性の力に支えられながら、肩の力が抜けている「自然体」に見えるのはそのおかげです。
その際に、重い頭がきちんと「ライン上」に位置していると、上向きの力のサポートのおかげで、「頭がないように軽いです」というような、セッション7の後によく聞かれるような状態になります。
しかし、それとは逆に、「ラインから外れる」状態になってしまうと、頭は「下に落ちようとする」ようになります。
それでも、私たちの頭が下に落ちてこないのは、「頭に付いているたくさんの首の筋肉たちが、緊張して硬直すること」で、それを支えてくれているからです。
そしてそれが、「(緩んでもすぐに元に戻ってしまう)慢性的な肩こり」を生み出す「背景(土壌)」にもなってしまいます。
上の写真は、
アレクサンダーテクニークというボディワークを始めた、F.M. アレクサンダー (Frederick Matthias Alexander, 1869-1955)さんが、座っている女性に対してワークをしている様子です。
アレクサンダーさんが、どういう経緯で自身のメソッドを確立していったのかを下に引用してみます。
"オーストラリアで若い俳優として有望なスタートをしましたが, しばらくすると舞台上で声がかすれたり, 出なくなりました。医者も治療のしようがなく, アレクサンダーは自分で原因の解明にのりだし, 三面鏡の前にたってセリフをしゃべる瞬間の自分自身を観察しはじめました。その結果わかったことは, 「やるぞー」とおもった瞬間に, 首の後ろを縮めていたのです。そのため頭が重たくのしかかり, 声帯に圧迫を加えていました。その反対に, 首がらくになっていて, 頭が前と上へ行き, ふわっと脊椎のうえでバランスをとっていれば, 声がらくに出ます。首の緊張がなければ, わたしたちに生来そなわっている能力を発揮できることがわかりました。"
(日本アレクサンダーテクニーク協会HPからの引用)
読んでいただいてもわかるように、アレクサンダーさんは、「頭を脊柱に対してどうバランスするか(頭とそれ以外の身体との関係性)」に着目していたことがわかります。
それが一つのボディワークとして成り立つほどに、ロルフィングのセッション7で扱う「頭の位置関係」はとても大切なポイントになります。
もう少し踏み込んで書くと、このセッションの課題は、先に書いたように「構造がある程度整ってきた身体に、どう頭を置くか(頭の位置をどう調整するか)」とも考えられますし、または、「頭の位置が変わることに対して、それ以下の身体がきちんと対応できるのか(頭の位置変化に対応できる柔軟さが、頭以下の構造にはあるのか)」とも考えられます。
後者が少しわかりにくいので、下に参考になる動画を紹介します。
どんなに(頭以下の)身体の位置が変化しても、ニワトリの頭の位置は「一定」になっていることがわかります。
それは、「身体の位置変化」に、「頭が柔軟に対応している」とも言うことができます。
そしてそれを支えているのは、「どんな動きにも対応できる、可動性のある首」の存在があります。
先ほどの、頭が「ライン上」に位置することなく、頭を前に突き出しているような身体では、頭が下に落ちないように、「首」が「ガチガチに硬く」なっています。
そのような身体の状態では、この動画のニワトリたちのような動きはできそうにもありません。
さすがにここまでの動きはできなくても、セッション7で「固定されてしまった首の解放」が適切にできると、頭のポジションが少し変化するだけで、それ以外の身体の位置関係や構造そのものにまでも変化が起こるようになります。
単純な例で言うと、頭の位置を微調整するだけで、なかなか改善しなかった腰のこわばりが緩んだりすることも起こるようになるということです。
この写真もアレクサンダーさんの写真ですが、「身体のどの位置に頭を置くか」を調整しながら、「頭をどこか違うポジションに持っていったとしても、それに身体が対応してくるか」も確認しているように見えます。
そして、それらができるためには「しなやかで柔軟な首」が達成されていなければいけません。
写真を見る限りですが、この少年の首は、とても「しなやか」そうに見えます。
アレクサンダーさんは、主に「頭のポジショニング」の「微細な変化」によって、「固定されてしまった首」をいかに「解放」するかに焦点を当てていたのではないのかなと、個人的には思っているのですが、「頭の構造」そのものの「微細な変化」が、首だけでなく全身の構造にも変化を促していくと考えているボディワークもあります。
それについては、
Aさんのセッション7で少し触れていますので、興味のある方はそちらも参照してみてください。
「頭」というのは、私たちの身体の構造の「一番上」に位置していますので、それだけに身体に与える影響というのも大きくなります。
それを深く探求していくのが、このセッション7での課題になります。
「単発」セッションと「10シリーズ」
ロルフィングでは、テーマの異なる10回のセッションを受ける「10シリーズ(通称:レシピ)」というのがありますが、もちろん「単発」でのセッションもします。
例えて言うなれば、10シリーズというのは、「今日は『高校の部活の思い出』について話してみましょう」というような「テーマトーク」で、単発でのセッションは「フリートーク」というようなイメージです。
それぞれには一長一短があるのですが、festaのロルフィングは、基本的には「10シリーズ」をおすすめしています。
遠方で通うのが難しかったり、そこまでの金銭的な余裕がなかったり、とにかく痛みが強すぎてなんとかしてほしいというような場合には、「単発」でのセッションをすることになりますが、それもあくまで例外という感じです。
理由としては、「身体の『土壌(土台、根本)』からの変容を引き出す」ということを目指すべきゴールと考えると、10回のそれぞれのテーマで、身体を「無理なく段階的」に、そしても「もれなく全体的」にアプローチする「10シリーズ」の方が、確実にそれを達成できるからです。
その時に合わせた「単発」セッションも、すぐに痛みがなくなったり、驚くような「変化」が出るようなこともあるのですが、あくまでそれは「変化」であって、「(土壌そのものが変わってしまうほどの)変容」と呼べるものではないかと思います。
今回のモニターBさんが、10シリーズを始める前にどういう状態だったかは、
セッション1のブログを見ていただけたらと思うのですが、もしもBさんに単発セッションをしていたとしたら、現在のような状況にはならなかったかもしれません。
「身体という自然が、元々そうであった健全な状態に還る」ということ。
身体の自然の秩序が崩れていくのには、様々な要素が複雑に絡み合っているのですが、それを時間を味方につけながら、10シリーズをじっくりと進めていくと、多くの身体を悩ませる症状は、その役目を終えて、大きく軽減したり、消失していくことが多いと感じています。