今年の1月の終わりから始まったモニターCさんも、今回が最後のセッション10になります。
セッション1の際に書いていただいた問診票をもう一度載せてみます。
・右肩腱板炎 夜に痛みあり、結帯動作(後ろに手を回す)ができない。
・7年前に子宮内膜症を手術して、腹部に数カ所傷跡がある。
数年前に再発し、生理を止めたら、予後は良好。
現在は経過観察中。
・両ふくらはぎを、数年前にそれぞれ肉離れした。
・普段、頭痛もあり。
この他にも、「内側にもこっと盛り上がったふくらはぎ」というのが、立った時に「目立つクセ」としてあったのと、歩いた時にドンドンと音のする「強いヒールコンタクト」が気になりました。
それが10回のセッションを受けていって、どう変化したのかをCさんの感想を見ながら振り返っていきたいと思います。
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10回目
いよいよ10シリーズ最後の日
最近特に感じた変化は頭痛がないこと
気づけば1ヶ月以上薬を飲んでいない
ひどいときには1日2回は服用していたのがめっきり減りました
問題の右肩も緩やかに確実に良くなっています
今回のセッションではややねじれが出ているので補正してもらう
そして前々回位から不思議だったこと
セッションの時は大友さんの手が温かくて室温も適温なので寒さを感じることはないのですが、セッションの終わり辺りに急に体を冷風が吹き抜けるように寒さを感じること
一瞬なので気のせいか?とも思っていたのですが、大友さんに聞いてみると『それが抜ける、ということです』
なるほどなぁ~と思いました
だいたい2週間に1度のスパンでロルフィングを受けることが出来て、とても良いリズムで変われたような気がします
姿勢や体の見た目が変わり何となくジムでのトレーニングの方にも良い影響が出ているような気がします
そしてこれは私のあくまでも主観ですが、性格が変わるというような大袈裟なものではないのですが、物事の受け止め方や自分を取り巻く人間関係にソフトに広く関われるような余裕が生まれている
ロルフィングをしてすごく変わった!!ということではなく、これから少しずつ変わるようなリアルな兆しを感じていると思いました
たぶん間違いなくメンテナンスは必要になってくると思いますがそれもまた楽しみです
ありがとうございました
Cさんはモニターの募集をする前に、一度、体験説明会にお友だちと来ていただいてから、少し時間が空いてからのロルフィングの10シリーズ開始になりました。
その間にご家族の入院などがあり、その疲れの影響もあってか、身体が「バタバタバタと」不調を感じるようになってきたようでした。
ロルフィングのセッションを進めていくと、「変化に対してのオープンさ」がCさんにはあったので、僕も予想していなかったような変化を数多く体験することができました。
「ぱっと目を引くクセ」であった、「内側に盛り上がったふくらはぎ」も、「強いヒールコンタクト」も、回を重ねるごとにどんどん目立たなくなってきて、最後には、「以前がどんな状態だったのかを思い出せない」ほど、ニュートラルな姿勢になっていました。
今までの感想でも、友だちや知り合いに「何か変わったね」と声をかけられたというエピソードも紹介してくれましたが、「第三者が気づいてくれる変化」というのは、「主観的に感じる変化」よりも、深く大きなものなのではないかなと思います。
人は「自分のしている行動に理由を求める」ので、「なぜロルフィングの10シリーズを受けるのか」という行動に対して、「自分では長年の猫背が改善したように感じるから」という理由をつけて「納得」しようとしたりします。
それがゆえに、実際にはそんなに変化していなかったとしても、「猫背が変わった(と思いたい)」という「思い込み(願望)」を無意識に持っていたりするのですが、Cさんの変化は「客観的」に見ても、ある程度わかるものだったのではないかと思います。
僕も、「自分のロルフィングは最高だ」とか、「自分のしていることに間違いない」と思っているわけではないので、受けてくださる方が変化を感じてくれるのはもちろん、その周りの方が変化に気づいてくれたりすると、すごくうれしいですし、自信にもなります。
つっかえが取れ、流れ出す
セッションの後半に、「冷風が吹き抜けるように」という表現がありましたが、ロルフィングの受けているとよく起こる「反応」なので、少し説明をしたいと思います。
同じようなことを、とてもわかりやすく書かれている本があって、「身がまま整体」をされていらっしゃる「片山洋次郎」さんの『
整体かれんだー -旬な身体になる- 』という本です。
その中からいくつかおもしろいところを引用させてもらいます。
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Q:ひとことで言って整体って何ですか?
身体を物理的に治したり、修理したりということでなく、身体のはたらきを調整して、元気を引き出す技術です。呼吸が深くなるということがカギです。
Q:病気を治すんですか?
直接痛みを楽にしたり、気分をよくしたりするということはありますが、病気を治すことは直接の目的ではありません。
Q:骨盤や背骨の歪みを矯正するんですか?
ここでは「背骨や骨盤の歪み」といわれる状態を、身体が自らバランスを取るための動きの途中の状態としてとらえます。ですから矯正して元に戻すのではなく、その動きを積極的に促して自らの動きのリズムの中でバランスを取れるようにほんの少しの補助をするようにします。
Q:具体的にはどういうことをするんですか?
①そっとふれて気を通す方法
(箇条書きにまとめます)
・手を添えるように触れると、自動的に呼吸が深くなる反応が起きて、自ら最適なバランスや体勢を選ぶ方向に動く
・施術者の手と受け手の身体が、互いに響きあうような感じから全身に反応が広がる
②は省略
Q:「気を通す」ってどんな反応が起きるんですか?
・手のひら、それと同時にふれられている身体の中が温かくなる
・ふれているところ以外のからだのどこか(たとえばお腹の中など)
が温かくなる
・体表が涼しくなる
・何かが流れている感じがする
・ジーンと振動するような感じがする
・筋肉がゆるむ(逆に一時的に張ってくる感じがすることもある)、
リラックスする
・筋肉がぴくぴく動く
・呼吸が深くなって(下腹で自然に呼吸)ほっとする、
落ち着く感じがする
・下腹が引き締まる感じ、重心が下る感じがする
・頭、首、肩が軽くなる
・視界が明るくなる
感じ方は人それぞれ違いも大きいのでこれらの感覚が分かりにくい場合も、なんとなくの感じがすればOK。最初からよく感じるという人もいればだんだん分かるようになる人もいます。感じる感じないに関わらず反応は起きています。
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すごくわかりやすく、「整体で何が起こっているのか」が説明されていると思います。
そして、それはそのまま「(僕の)ロルフィングで何が起こっているのか」も説明してくれているような気もします。
たまに受けてくださる方に、「ただ手を触れているだけで、気を通しているんですか?」などと聞かれることがありますが、自分ではその意図、意識はありません。
身体は「いきもの」であるので、こちらが「触れる」というシンプルな「刺激」を与えるだけでも、いろいろな「反応」を見せてくれます。そして、片山さんも書かれていますが、その反応は人によっても違いますし、その人の中でも毎回違います。それがおもしろくて、日々、ロルフィングをしているという感じです。
「(結果的に)気を通す」ことにはなっているのかもしれませんが、「エゴのない、透明なタッチ」を心がけているというのが、僕のしていることです。
今回のCさんは、最初は僕の手も温かく、それを感じていてくれていたのが、最後の方に「寒さ(涼しさ)」感じたと感想に書かれています。
引用させていただいた、「『気を通す』ってどんな反応が起きるんですか?」というところの、「体表が涼しくなる」というところと同じようなことが起きたのだと思います。
さらに、「冷風が吹き抜けるように」とあるので、「何かが流れている感じがする」という反応も起きていると考えられます。
本の中で、「のぼせ」のことについても書かれているのですが、「容れ物」である「身体の構造」が歪んでいたりすると、「中身」の「体液」であったり、「気(エネルギー)」が滞りやすくなり、「つまり」が生じてくることによって、「のぼせ」が起きやすい状態になります。
いわゆる「気が上に上がっている(地に足が着かない、下腹の力が抜けている、頭が過剰に働いている)」状態なのですが、それが「抜ける」時には、「何かが流れている感じ」がして循環がよくなり、いろいろなものが巡るようになることで「涼しく」感じるようになるということになります。
「何かつまっていたものが取れて、それによって巡るようになり、涼しさを感じた」というのが、今回の感想に出てきた反応だということになります。
「蒔いた種が芽を出すような」体験として
感想の最後には、身体が変わってきた結果として、「心」の部分にも変化が見られてきたことが書かれてあります。
僕自身も、ロルフィングの10シリーズを終えた時には、「全く別の自分」になっていました。
身体がどんどん整っていったのはもちろんですが、「今までとは景色が違って見える」ような感じで、「世界の見方、感じ方」まで大きく変化したような感じでした。
そこからも変化はじわじわと続き、トレーナーの仕事を辞めて、海外でロルフィングを勉強し始めて、ロルファーとしてロルフィングを提供することが自分の仕事になり、今ではそのおかげで自分の家族と楽しく生活できています。「人生、何のきっかけで変わっていくかはわからない」なと、つくづく思います。
Cさんも「これから少しずつ変わるようなリアルな兆し」と表現されていますが、「この経験をきっかけに、いろいろなことが変わってきそうな気配」を感じられているようでうれしいなと思います。
大学生の頃に、ふと思い立って「お遍路さん」をしたことがあります。
別に真言宗でもなければ、空海さんに興味があったわけでもないのですが、大学生の夏の思い出として、四国88ヶ所を野宿しながら自分の足で歩いて周りたいと思い、45日間をかけて1,600kmほどを歩きました。
その途中で、お寺でお坊さんに話しかけられて、こんな言葉をもらいました。
「あなたのこれから歩く一歩一歩は、種を蒔いているのです。すぐに芽を出す種もあれば、1週間、1年、何年も経ってから芽を出すものもあります。そう思って、これからの道を歩いていってください。」
最初は、「何をこの人は言ってるんだろう?」という感じだったのですが、「ロルフィングの10シリーズを受ける」という経験もした僕には、なんとなくその「伝えようとしていること」がわかるようにもなってきました。
少しだけ、僕には「お遍路さん」と「ロルフィングの10シリーズ」が、似ているところもあるかなと思っています。
Cさんにとって、この経験が素晴らしいものになっていってくれればと思います。
モニターCさん、ありがとうございました。
Yuta