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モニターEさんの感想(セッション5 | 30代 女性)

モニターEさんの5回目のセッションの感想です。

4回目のセッションの後に、Eさんからメールが来ました。「腰の痛みが続いていて、腰の反りが前よりひどくなっている」という内容でした。

元々Eさんは、前のお仕事の際に腰を痛めていて、それが今までのセッションで軽減してきていたのですが、それがまたぶり返してきたような感じで、腰の反り(前傾)も強くなってきたということです。

以前あった「古傷」がまた痛み始めることに関しては、Bさんのセッション3の時に、野口整体の野口晴哉さんの文章を紹介しながら説明させてもらいましたので、そちらもご覧になってみてください。

ロルフィングを始めたアイダ・ロルフさんは、セッション4の解説でこう言っています。

「セッション4は身体をばらばらにするような時間です。もしもクライアントが、良い健康状態、最適なコーディネーション、コアとラインの強い感覚であなたの元にやって来たら、(セッションの後で)身体がばらばらになったと感じながら帰っていかないように、この時間のワークを統合する必要があります。これは通常、アスリートダンサーなどに当てはまります。彼らは自己の肉体構造についての強い自意識、動作に対する規律、ラインについての自分なりの感覚を持っています。」

「ロルフィングとは、1つのプロセスなのだと覚えておくことが重要です。セッション4は新しい一連の問題をあらわにします。」

「セッション3は、クライアントがセッションを続けたくない場合、レシピ(10シリーズ)を中止するのに良いところです。中止するのに最も適さないのは、次のセッション4です。」

これを読んだ時に、「セッション4で起こったこと」を「統合」する時間が足りなかったのかなと思いました。

「コアのセッション」に入ってくると、その人の「深いところ」にアプローチし始めるので、「今までの慣れ親しんだ、分厚い鎧」を脱ぎ捨てることで、「新しい一連の問題」が出てくることにもなります。

そうすると、肉体的にも精神的にも、少し「ばらばら」した感じになったり、「不安定」にもなったりします。(ばらばらしていて、統合感がないので、10シリーズを中止するのには、セッション4は最も適さないということだと思います。)

特にEさんは、元々ダンスをされていたので、身体の感覚も鋭く、豊かで、自分の身体に関しての規律や基準を持っていたこともあって、それが前回のセッション4で、ばらばらにされて統合し切れなかったのかなと推測しました。

そういうことで、このセッション5では、大腰筋や内臓にアプローチすることも大事ですが、きちんとそれを「統合」することを意識に置いてロルフィングをすることにしました。

以下がそのセッション5の感想になります。

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4回目から今日まで、心身の問題が一挙に出てきた感じでしんどかったですが、本来の自分に戻るプロセスだったんだろうな、と今は思います。今日はもう心身揃って良いコンディションになっていました。

今回のテーマは大腰筋で、正直なところ、手足などと違ってどう変わるかイメージできず、体感の点では期待は薄かったです(体感が薄いからと言って意味がないわけではないので、かまわないのですが)。でも、終わってみれば一番それまでとの違いを感じたセッションでした。

大腰筋に手を当てられていた時は、そちら側の腰が薄くなるような感覚がありました。その後、大腰筋をぐーっと圧されながら膝や踵を上げ下げしましたが、上げようとしただけで大腰筋にくっと力が入り、その仕組みに「身体って賢い‼」とびっくりしました。

片方終わって立ってみると差は歴然。

足が地面を押す力が、すーっと頭まで届き、頭が軽いのにパワーに満ちているという不思議な感覚でした。

両方終わって、次に頭、腕、背中を統合するワークをしました。ダンスの振り付けと思うとついていけましたが、首が緊張してしまって難しかったです。

その点に気づかれたのか、その後首の後ろを伸ばすワークをしてくださいました。ほんの少しの動きですが、懸案の左肩甲骨まで気持ち良く広がって、自分でも気がついた時やりたいと思いました。

終わって歩いてみると、頭が軽くて、でもパワーに満ちて冴えていて、気持ちも軽やかで、人格が変わったんじゃないかと思うくらいでした(笑)。期待と変化のギャップは今回が一番大きかったです。

次回は一週間後。今まで二週間以上じっくり変化を味わってきたので短い感じがあります。そのへんの違いも観察してみたいと思います。

ありがとうございました。

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ジャンプする前にしゃがむ必要がある

感想を見てみてもわかりますが、やはり精神的にも、肉体的にも、「新しい一連の問題があらわになった」のが、前回のセッション4の後だったようです。

何かが大きく変わってくる時に、すんなりと階段を登るようにプロセスが進むことは稀で、多くの場合は「一度深く沈む」ようなことが起こってきます。

ロルフィングは何かを「付け加えていく」というよりも、「余分なものを外していく」というアプローチをするので、今まで知らず知らずのうちに大きく、硬く、立派にしていた「鎧」を外して、裸の自分に戻っていくような感じになります。

鎧は「自分を守るため」に身につけていたものなので、それを外すとなると、多くの人はとても「不安」になります。

この「移行期的不安定」は、大きく変わる時にはどうしても必要なプロセスになってきます。その時期を、サポートを得ながらうまく乗り越えていけると、「本来のあるべき自分」に戻っていくことができます。

「エゴという鎧」を脱ぎ捨てて、「そのままの自分」を認められるようになると、不思議なことにその人の「個性」が自然に輝き始めます。(「個性」は、足した結果ではなく、引いた結果、自然に浮かび上がってくるものです。)

僕の友人に磯谷貴之というトレーナーがいます。大学の同期ですが、何の身寄りもつながりもない沖縄に移り住み、そこで自分のトレーニングスタジオ「falcon」を開きました。身体一つで沖縄に乗り込み、そして一つ一つ関係性をつなげていって、今では沖縄を代表するトレーニング施設と言ってもいいほどになりました。

彼が身体(またはその人自身)が大きく変わる時のことを、こんな文章で表現していたので紹介します。

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【身体がゆるむと熱が出る??】


今まで全く身体を動かしていなかった方や、身体がガチガチに緊張している方。

こういう方に、ストレッチやボディメンテナンスを行うと、翌日に、
・だるさ
・じんましん
・発熱
などの症状が出る事がよくあります。

こういった症状が出ると当然不安になる方が多いのですが、今まで溜まっていた老廃物が出ることでのじんましん、急に代謝があがることでのだるさ、発熱なので、いわゆる「好転反応」と呼ばれるもので、ポジティブに捉えてほしい症状です。

また、こうゆう反応が出る方は、今までどれだけ身体をほったらかしにしていたんだろう、と振り返ってみて下さい。笑

何事も大きく飛躍する時は一回しずむ必要があります。

トレーニングも同じで、トレーニング直後は身体も疲労し筋肉痛が出ます。けれど適正な休息を入れる事で、以前よりも強い筋肉になります(=超回復)。

しずんでいる時期だけを見るとネガティブになりますが、これが成長するためのきっかけになると分かれば、しずんでいる時期もポジティブに感じられるようになります。

「ジャンプする前にしゃがむ必要がある」

磯谷

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彼自身もトレーナーとして、何の足がかりもない場所で、一から自分の理想の形を具現化していきました。他にも楽で、収入もいい仕事もあったと思うのですが、彼は自分の理想を信じて、そして自分を成長させるために、あえてその決断をしたのだと思います。

そんな経験をした彼は、「深く沈む」時期があったと思います。けど、それを乗り越えたからこそ、今の活躍、飛躍があるのだと思います。

Eさんの大きなジャンプにも期待して、ここをうまく乗り越えるお手伝いをしていけたらと思います。


軽いのに、パワーが満ちている感じ

感想の中に、身体の「軽さ(または重さ)」のことが書かれてありますが、これは身体の状況を評価する上で、とても重要な情報になります。

僕はセッションを始める前に、全身の可動域をチェックします。それは、僕がロルフィングの10シリーズを受けた、大阪の佐藤博紀さんが考え出した「IMAC」の評価方法で、その中には「重さ」も評価の項目に入っています。

パッと身体を持った時に、「ずしり」と鉛が入っているかのように重い場合があります。左右の脚で差がある時もありますし、両方重い時もあります。

重さの原因は、総合的なものであると考えていて、筋肉が張っていたり、凝っていたりするのも一つですし、関節の位置が正しい位置にないこともありますし、神経や血管のトーンが高かったり、精神的な問題が絡んでいることもあります。つまり、「何かしら身体のコンディションが良くないと、身体が重たく感じられる」ということだと思います。

「重いのは、体重があるからじゃないんですか?」などと、女性から質問されることもありますが、身体自体の「重量」はあまり関係ありません。体格のいい男性が「軽く」感じられることもありますし、逆に、すごく華奢な女性が「重く」感じられることもあります。

そして、重く感じた身体も、ロルフィングセッションで、身体の組織が適切な状態になり、構造もあるべき場所に収まってくると、とても軽くなるのがおもしろいところです。

「なんだか身体が重くて、外出せずに家でゴロゴロしていた」などと言うことがありますが、そんな時には、実際に身体は「重い」のです。身体が重く動かしづらいので、気分も「重く」なるのです。つまり、気持ちだけの問題ではないということです。

これは「うつ」の症状を持っている方も同じで、精神的な症状とばかり思われていますが、実際には身体にも症状があります。うつの人の、「身体が動かなくて、ずっと部屋に篭って、寝てばかりいる」という話を聞くと、気分の問題で片付けられてしまうこともあるのですが、こういった場合も、身体は「重い」のです。

僕としては、うつなどの精神的な疾患を持たれた方に、ロルフィングのアプローチは有効だと感じています。(その場合は、担当医の方にロルフィングをする許可をもらうことになります。)医師による専門的な治療を受けられている、重度のうつ状態の方にロルフィングをさせてもらったこともありますが、身体が「鉛のように」感じました。いろいろな方法でアプローチして、身体に「軽さ」を感じてくると、その人の表情も緩み、少し会話もできるようになりました。

今回のEさんも、大腰筋にアプローチをして、セッション後に立ってもらうと、見ているこちらからでもわかるように「軽く」見えました。そして、その時のEさんの表情はとても「溌剌」としていて、エネルギーも満ち溢れているようでした。

この「軽さ」というのは、身体の状態が良くなって、その結果として出てきたものならいいのですが、これを「自分で意識して作り出す」と、全く違うものになってしまいます。

それは、自分の身体を上に「引き上げて」しまうことによって起こります。そうしてしまうと、「足元がふわふわ」して見えたり、「地に足がつかない」ように見えてしまいます。つながれていない風船のように、周りの風の流れで、どこかに飛んでいってしまいそうな身体です。

重力がある空間で、身体の構造が適切に整ってくると、自分の重さを地面に「委ねる(預ける)」ことができます。それによって、地面に足はしっかりと吸い付くようになり、グランディングされます。そうすることで、地面から自分が押し返され、それが上向きの反重力的な力となり、それによって構造が「軽さ」を持ちながら支えられることになります。

そのような状態では、「グランディング(地面とのつながり)」と「軽さを持った抜け感(天に抜けていくエネルギー)」とが、「共存」しています。

これがロルフィングで大切にしている「両極性(パリントニシティ、Palintonicity)」というものです。身体の構造が、上にも下にも、左にも右にも、前にも後ろにも、どちらにも拡張していくイメージです。特に、「上にも下にも」という方向性が大切で、地面(陰極)にも空(陽極)にも、身体が伸びていきます。

自由さ、軽やかさを持ちながら、浮ついていなくて、しっかりとするところはしっかりとしている。僕らが見ていて「自然体だな」と思うような人は、まさにそのような身体をしています。

少し心配していた統合が不十分だった身体も、セッション5を受けることでいい方向に変化していってくれたようです。Eさんの身体が、本来の自然体な状態に戻っていくように、次のロルフィングも丁寧にできたらと思います。




Yuta

( Posted at:2017年4月29日 )