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モニターBさんの感想(セッション3 | 40代 女性)

Bさんの3回目になります。

Bさんは身体のいくつかの場所を怪我された経験があり、手術も何回かされています。(詳しくは、Bさんのセッション1をご覧になってください。)今回の5人のモニターの方の中では、一番身体そのものにダメージを受けていて、Bさんの言葉をお借りすると、「悲鳴を上げている」というほどの状態からのスタートでした。

しかし、身体も心もかなりオープンな方で、僕のタッチにもすぐに反応してもらって、変化はすぐに出てきたように感じます。

一度は、腰の痛みも治まっていたのですが、セッション2が終わってから、また腰の痛みが出てきたようでした。

いわゆる「古傷」を持っていらっしゃる人ほど、最初のガチガチ、ガタガタの状態から、最初の数回のセッションの内は、「どんどん症状が緩和されてくる」のが特徴です。

怪我などによる痛みがあって、それを「かばう」ために、身体は自らを「硬直」させます。そうすることで、さらに痛みを感じやすくなって、それがまた身体を硬く、閉じられた状態にしていってしまいます。痛みが痛みを呼ぶサイクルです。(かばうこと自体は、怪我の直後は、応急反応としてあった方がいいことなのですが、それがずっと「居着く」ことが問題になります。)

ロルフィングをしていくと、そのかばって身体を硬くしていたのが、どんどん緩んできます。それによって、もともとあった痛みがなくなったりすることが、最初の方ではあります。でも、「かばっていた中身」が顕になるので、それがまた痛みを引き起こすことにつながることがあるのです。

それに関しては、野口整体の野口晴哉さんが、とても興味深いことを書かれているので、Bさんの感想の後に紹介したいと思います。

それではBさんの感想を見てみましょう。

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3回目の施術を受けてきました。

二週間くらい前から急にまた腰が張り、痛みが出てきました。前回の施術で腰に痛み、違和感が現れるかもしれないと言われていたのが、そのまま出たようでした。

最初の直立の姿勢の確認の際、前回までのイメージと違うと言われ、私には自覚はほとんど無く疑問に思っていると、前回までの施術で下半身が正常な状態になったのに、腰から上の上半身が追いついておらず、施術した下半身は新システムでスムーズに動いてるのに、上半身が旧システムのままのため、ズレの負担が腰へ痛みとして出たのだと説明され納得。

腰にある筋肉やスジを上と下に分ける、言葉では難しいのですが、足を動かすのに関係のないところが動き、負担がかかってるとの事。肩の動かすのにも、内側に入れて変に肩に力が入るため、脇の下や肋骨の筋肉を剥がして、自然に無理なく腕を動かせる様にしていただきました。

施術が終わり、歩いてみると自分の身体がフワフワしすぎて、何だか不思議でした。
バランスを取るとき、点で合わさるところが少しズレていて、それでフワフワしてるので、歩いて下さいと言われて歩いていると、身体が戻ってきた感じでした(笑

不思議な感じでしたが、またしばらく楽に過ごせる気がするので、次回の施術も楽しみに過ごしたいと思います。

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反応(または変化)について

人の身体という「小さな自然」は、何か刺激に対して「反応」したり、それが長く定着したものになると「変化」と呼ばれるものになったりします。

そのはたらきのおかげで、小さな赤ちゃんは大きく成長していくことになりますし、私たちの体調や気分も、ころころと天気のように移ろいでいきます。

10シリーズを受けることで、まるで「生まれ変わる」かのような変化を経験する人もいます。身体の構造も大きく変化しますが、動きの質が変わったり、前よりも自分の身体の声が聞こえやすくもなります。それだけではなく、「人生を肯定的に捉えられるようになった」といったように、精神面で変化を感じる人も、仕事が変わったり、自分の周りにいる人の様子まで変わってくる人もいます。

しかし、そういった変化は、右肩上がりの一直線で起こってくるのはかなり稀で、長い停滞期があって、ぐっと変わるケースや、上がったり下がったりするケースや、人によって様々です。わかりやすく、ポジティブなことだけが起こりながら変化してくれたらいいのですが、人が大きく変わる時には、一度沈んだりすることもあることは、みなさんの今までの人生を振り返ってもらっても、イメージしやすいかと思います。

そういった変化が起きる時に、3つの段階を経ることを、野口整体の野口晴哉さんが本の中で説明されています。それを以下に引用させてもらいたいと思います。


「反応」には3つの段階がある。

1)弛緩反応
初めだるくなり、眠くなってくる。体中が妙に疲れたような感じになってくる。けれども快い、どこかで快感がある。それを第一反応(弛緩期)といい、この弛緩状態の時には、眠っても眠っても眠りたいし、実際にいくらでも眠れる。食欲もなくなってしまう。とにかく食べるのを忘れるくらいに眠くなるのがこの時期の特徴です。そして体全体がすっかり弛んで、風呂に入っているような感じがして、眠りたいような快い気持ちになる。

2)過敏反応
そのうちに体の皮膚の下を水が流れるような感じ、あるいは少し寒い感じがするようになる。体に水が流れるような感じがするようになったら過敏反応の時期に入ったとみてよい。そうなると熱が出てきたり、下痢をしたり、体中が汗ばんできたり、痛みが起こってくるというような、急性病に似た変動が起こり、稀には高熱の出る人も出てくる。このような反応期を第二反応期といって、体中が過敏状態になるという特徴がある。たとえば歯が痛いというような時には、弛緩反応が入ると歯の痛みが除れてしまう。ところが痛みが止まったのかと思っていると、今度は前よりももっと痛みはじめる。そしてだんだん過敏な痛みなって腫れてくるが、それを経過するとよだれがたくさん出ておちついてくる。これが次に述べる排泄反応であるが、一日のうちに通ることもあるが、数ヶ月にわたることもある。過敏反応期になると、痛みが起こってきたり、腫れたり、寒気がしたりというような急性病に似た過敏な変化が起こってくるのです。

3)排泄反応
第一反応(弛緩)と第二反応(過敏)を経過すると、次に第三反応という排泄期に入ります。排泄期というのは、体の老廃物や悪いものが体外に排泄される時期です。この時期になると、たとえば神経系統に故障のあった人は、皮膚にいろいろの変化が現れる。汗がむやみに多く出ることもあれば皮膚病のようになることもある。呼吸に故障があった場合も皮膚に変化が現れるが、ほとんどが、発汗という形で排泄反応期を経過する等々、ともかく排泄反応というものは、にぎやかなものだが、排泄が行われる度に快くなるから、反応であることが判る。

                「整体入門」、野口晴哉


僕の解釈ですが、この3段階の時間の流れが、ぎゅっと短いものが「反応」で、文章中にもありますが、それが数ヶ月に渡るような場合は「変化」と呼ぶのがわかりやすいかと思います。

これを、「寒いという刺激」により、身体が「風邪という反応」をしたという場合に当てはめてみます。

風邪の引き始めには、身体がだるかったり、妙に眠かったり、食欲がなくなったりします。「なんだか最近、疲れてるのかな」と感じたりするのが、上の「弛緩反応」になります。

それが続くと、今度は、服の隙間から、寒い風がすーっと入ってくるような寒気を感じたり、身体の一部(僕の場合は、腰ですが)が冷えたりするようになります。

その頃には、少し熱っぽく感じたり、喉や鼻に症状が出たり、関節が痛くなってきたりします。いよいよ「風邪を引いたな」という感じになってきます。

そして熱がどんどん上がってくると、虫歯があった人は、歯が痛くなってきたり、腰痛を持っている人は、腰が痛くなってきたり、身体の弱いところが熱によって反応し始めます。まさにこの辺りが「過敏反応」の真っただ中という感じです。

それもピークを過ぎると、どっと汗をかきます。先ほどまでの嵐のような反応がうそのように、からっと晴れて、空気が澄んでいるような身体になります。皮膚もツヤとハリを取り戻したりします。それが「排泄反応」です。

風邪がわかりやすいかなと思いますが、こうやって人の身体は、環境の変化などによる刺激に反応していると、野口さんは考えていて、他の「病気」などの場合にも、同じように「経過」していくと言っています。


アイダ・ロルフ、野口晴哉の見ていた世界

僕はこの3つの段階が、ロルフィングの10シリーズというプロセスの中でも、起きているのではないかなと考えています。

ちょうど10シリーズも、セッション1〜3が「表層のセッション」、4〜7が「深層のセッション」、最後の8〜10が「統合のセッション」と3段階に分かれていて、身体の「構造」の変化だけでなく、「機能」や「精神」、そして「エネルギー」までもが変化していくものです。

1回のセッションで劇的に痛みが取れるというような、ゴッドハンドによる「治療」を目指すのではなく、「プロセスを経過する(時間をかける)」ということを大切にする「教育」だと、ロルフィングをつくったアイダ・ロルフさんは言っています。

僕の個人的な考えですが、アイダ・ロルフさん(1896 - 1979)と、野口晴哉さん(1911 - 1976)には、何か共通するもの感じています。共に同じ時代を生きた人で、どちらも「治療」ではなく、身体を通した「教育」の重要性を説かれています。(野口晴哉さんの場合は、「体育」という言葉を使われています。)

この「反応の3つの段階」を見て、「10シリーズ」のことをより深く理解できました。

「表層のセッション」の時には、「眠くて眠くてしょうがなかったです。」という感想が多かったり、「長風呂に入った感じです。」というようなフィードバックが出てくることがあります。

「深層のセッション」に入ってくると、今回のBさんのように古傷が再び痛くなったり、その人の深いところにある「トラウマ(精神的、肉体的の両方)」が出てきたりして、セッションがスムーズにいかなくなったり、ロルファーとしての「胆力」が問われるようなセッションが続くようにもなってきます。

そして、「統合のセッション」の頃になると、深層のセッションで自分の深いところと向き合って、いろいろなものが出てきて、バラバラになりかけていたものが、なぜか自然にまとまってくるようになります。そして自分の身体、怪我、トラウマ、人生などを、「客観的」に語るようにもなることもあります。(自分を語るというのが、「排泄(または表現)」ということになります。)

今までの自分の経験で、野口晴哉さんの3段階を、きれいになぞるかのように10シリーズが進んだことがありました。その方は、セッション5の辺りで、それまでとても順調に進んでいたのに、突然「ギックリ腰」になりました。そしてその直前、「腰の辺りだけが、水が通っているように冷たかった」ともおっしゃっていました。そして、セッション8、9の辺りで、「顔にできもの」が出てきたのです。

今回のBさんですが、後日連絡があって、セッション3の後も腰が痛かったようです。

上に紹介したケースに、Bさんを「当てはめる」ということはしたくないのですが、身体の深いところが変化し始めてきているとも考えられます。次回のセッションでも、素直に身体に向きあ合わせていただいて、再び出てきた腰の痛みが自然に治まっていってくれればと思っています。(Bさんには、いくつか痛みに関してできることをお伝えしました。少しでもそれが助けけになればと願っています。)




Yuta

( Posted at:2017年3月 7日 )