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泣くこども、歌うこども。(情動から、感情へ。)

こどもが7ヶ月になりました。


「こどもは泣くのが仕事」とはよく言いますが、

そのこどもの泣き声は、日々変わってきています。




豊かになってくる泣き声


こどもは、お母さんに守ってもらわないと、

すくすくと安全には育っていけません。


「おなかが空いたからおっぱいが飲みたい」

「眠いけど寝れない」

「うんちが出そう」


そんなことを言葉では表現できないので、

泣き声を使って、それを伝えようとします。

最初はざっくりと大まかだった要求が、

少しずつ細かくなっていきます。

それに合わせ、泣き声も複雑になっていきます。


   ※ 研究では、最初単調だったこどもの泣き声が、

      成長とともに複雑になってきたときに、

      母親が全くその泣き声に反応しなくなると、

    (つまりは、子育てをやめると、)

      泣き声はまた単調に戻るそうです。


そして、泣き声にあるまとまったパターンが発生してくると、

文節、区切りも次第にはっきりしはじめて、

それが言葉になっていきます。


「はじまりは、歌だった」と、

「つながり」の進化生物学』の岡ノ谷一夫さんは、

本の中で書かれていますが、

泣き声が、鳴き声になり、こどもは歌い始め、

そして言葉を持ちはじめるようです。


最初はただただワーワー泣いていたのが、

次第に抑揚が出てきて、声色も多彩になってきて、

歌っているような感じになります。

今では、まとめて5分くらい歌ってくれることもあります。




悲しいから、泣く


こどもが泣くときには、

悲しいだけで泣いているわけではありませんが、

最近、悲しいから泣いているように見えることがあります。


お母さんにだっこされ、おっぱいを飲んで、

すやすやと眠りについたこどもを、そっとふとんに置こうとすると、

すぐにぱっと目が覚めて、泣いてしまうことがあります。

(背中に何か「スイッチ」でもあるのでしょうか。)


そんなときは、さっきまでお母さんの腕の中に包まれ、

満たされていたのに、そのお母さんがいなくなったと思い、

それで悲しくて泣いているように見えます。


その泣き声は、2−3歳のこどもの泣き声のようです。


2−3歳のこどもの泣き声は、どんな感情で泣いているのか、

ある程度予測することができます。


でも、生まれたばかりのこどもの泣き声は、

まだまだ音が未分化な状態なので、

どんな感情なのかよくわかりません。

(だからこそ、お母さんはとても苦労します。)


自分のこどもの中にも、感情らしきものが

芽生えはじめてきたのかもしれません。




泣くことを通し、感情がかたちづくられていく


生まれてすぐのこどもが泣いているときには、

それが伝染して、周りのこどもすべてが

泣きはじめるということはあまりありません。


実際に、自分のこどもが生まれたときに、

同じ頃に生まれたこどもたちを、新生児室で眺めていると、

1人のこどもがぎゃんぎゃん泣いていても、

他のこどもはけろっとしていたり、寝ていたりします。

(他人から影響を受けることがまだないからだと思います。)


でも、7ヶ月くらいになってくると、

他のこどもが泣いていると、自分も泣くようになります。


泣くから悲しくなり、悲しくなるからさらに泣いて、

泣き声はどんどん大きくなり、増幅していきます。


そして、泣き声という空気の振動の波が空間に拡がり、

悲しいという感情までもが、周りの他のこどもたちにも

伝わっていくのだと、僕は考えています。


「悲しい感情が芽生えてくる」と、

「泣き声が周りのこどもにも伝わる」ようになる。


つまり、最初ははっきりと区別できる「感情」はまだなく、

未分化な「情動」みたいなかたまりがあって、

それを泣くという行為を通して表現していくと、

少しずついろいろな感情が分化、発生してくる。


そして、「悲しい」のように感情の輪郭がはっきりとしてくると、

他の人にも「伝わる」ようになってくるんだと思います。


「感情は伝染する」と、経験的に感じてはいたのですが、

それが発生してくるプロセスを、少し垣間見れたような気がします。


「泣くのが仕事」とは、よく言ったもので、

本当にたくさんのことを教えてくれるこどもに感謝です。




Untitled

「こどもはおとなの父である」 ワーズワース




Yuta

( Posted at:2015年2月20日 )