カウアイの自然と、優しい手が教えてくれたこと。

先月、ハワイのカウアイ島に行ってきました。

Emmettさんの、「4 Handed Workshop」に参加するためです。


本当にたくさんの学びがあって、僕の人生観も変わりましたし、

タッチのクオリティも格段に上がりました。


クライアントさんからは、「タッチが的確になった」と、

うれしいフィードバックをもらいました。


確かに、自分では「からだのニュートラルな状態」が、

かなりクリアになった実感があります。


目指すべき状態の見通しがよくなったおかげで、

手が勝手にワークを始めてくれて、その都度その都度、

必要なテクニックを自動的に選択していってくれている感じです。


「あたまで考えるのではなく、からだが反応してくれる」

そんな感覚です。


そんなワークショップの旅を、写真を見ながら振り返ってみます。




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ハワイは初めてだったのですが、前日に熱を出してしまい、

飛行機の中では高熱で意識を失いかけました。


ハワイで浮かれようと思っていたのですが、

寒気もあるし、食欲もないしで大変でした。


「(この世界の)どこかは、5時さ。(さあ、乾杯!)」


いい看板ですよね。




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少し体調も落ち着いてきて、ワイキキ近くの公園を散歩しました。


ちょうど夕暮れ時で、広い公園の端まで歩いていくと、

夕日が海に沈んでいくのが見えて、

それを眺めながら少しばかり瞑想しました。


どこを旅しても、必ず素敵な夕日に出会えます。

なんだかそのために旅をしている気さえします。


初日は、ワイキキに泊まりました。




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次の日はカウアイ島に移動して、Kenさんの家へ。


Kenさんはロルファーで、カウアイ島には20年住んでいるようです。


たくさんのフルーツ、野菜を無農薬で栽培していて、

出会った時も、手を泥だらけにしながら農作業をしていました。


採れたての人参をジューサーで絞って、ウコンをすって入れて、

生搾り人参ジュースを作ってくれました。


忘れられないおいしさでした。




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僕が泊まっていた部屋です。


壁には画が飾ってあり、

「Two Way Operator (Leminiscate)」という、

ロルフィングではとても大切なコンセプトを表現しています。


ロルファーにとっては、素晴らしく居心地のよい部屋でした。




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庭にはサウナもありました。


部屋の外から薪を燃やして、中のストーブに水をかけることで

スチームサウナにします。


汗が出てきて、からだが熱くなってきたら、

外に出て、裸足で芝生の上を歩き回って、からだを冷やします。


何回も何回も入りましたが、

入るたびに要らないものが出ていったような感じでした。


とても心地のよいサウナでした。




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3週間ほど雨を降らせていたカウアイの空なのですが、

クラス初日の朝には、少しだけ晴れ間を見せてくれました。


写真の奥に山が見えますが、そこにはうっすらと虹がかかっていて、

KenさんとクラスメイトのBradonさんと、コーヒーを飲みながら、

何も会話を交わさずに眺めていました。


クラスを始めるには、最高の朝でした。




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クラスは12人で、日本人は僕1人だけでした。


ワークショップは「4 Handed」がテーマになっていたので、

誰かとペアになって、2人でクライアントさんにワークをします。


ロルフィングでは、「レイヤー(層)」というコンセプトがあり、

皮膚、脂肪、神経、血管、筋肉、靭帯、腱、骨、内蔵などなど、

それぞれが位置しているレイヤーが違っています。


自分が普段ワークしているレイヤーは、慣れてくると固定されやすく、

誰かにフィードバックをもらわない限り、なかなか変化しません。


浅いレイヤーを触っている人は、いつまでも浅いままですし、

筋肉に意識がある人は、からだに起きる全ての問題を、

筋肉の問題だけに結びつけて考えてしまいがちです。


それが「4 Handed」でワークしていると、

相手のレイヤーを感じる必要性が生じます。


「相手は今、何を見ていて、何を感じていて、どこに行くのだろう。」


相手のからだに合わせようとしていきます。


そうして相手とのタッチのコミュニケーションを通し、

自分の普段いる(固定されてしまっている)レイヤーを

知覚することができます。


もしも経験が豊富で、多様なレイヤーにワークすることができて、

自分よりも深い意識でワークできる人がペアならば、

その人が普段見ている世界が、クライアントさんのからだの中に

可視化できるようになります。


上手な人と一緒に、楽器を演奏したり、スポーツをしたりすると、

「なんだかいつもよりうまくなった気」がするのに似ています。


相手のレイヤーに引き寄せられていくのです。


そして、2人の働きかけているレイヤーがかちっと重なると、

クライアントさんのからだが、内側から大きく変化していきます。


その変化は感動的で、「こんなに人のからだは変わるのか」と、

改めてからだの可能性を実感することになりました。


Jazzで即興セッションをしていて、相手と合ってくると、

「自分が今まで出したことのない音」や、

「自分が今まで経験したこともない弾き方」に出会うのも、

こんな感覚なのかなと思っています。


Emmettさんが、「4 Handed」にこだわっている理由が、

なんとなく見えたような気がしました。




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クラスはジャングルの中にあって、自然と共にあります。


自然は人間に合わせてくれることはなく、

雨が降り続いて、洪水になることもあれば、

息を呑むような美しい姿を見せてくれることもあり、

僕らはそれに合わせていくしかないのだなと感じました。


けど、自然とついに1つに合わさることができたときには、

「今まで見たことのない自分」、あるいは、

「すっかり書き換えられてしまった自分」に、

出会うのかもしれません。




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クラスの初日に少しだけ見えた山が、くっきりと見えます。




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ワークショップが終わった後には、

Emmettさんのセッションを受けることができました。


とても貴重な体験です。


Emmettさんの家は、歩いて1時間ほどかかるのですが、

珍しく晴れていたので、歩いて行くことにしました。




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Kenさんの家の前の道路。




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少し歩くと、サーフボードが表札の家がありました。




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カウアイの人たちの自然との生き方は、日本にはない感覚で、

とても印象的でした。


その違いをうまく言えないのですが、

そもそも、カウアイと日本の自然が違うからなのだと思います。


もしも自然が生きものだとしたら、その種類は違っていて、

それぞれに適した共存のかたちが生まれてきたのでしょう。


僕は、どちらのスタイルもいいなと思います。




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「マカレア(Crying Face)」


雨が降った次の日には、山に2つの細い滝が現れます。

(写真では、うっすらと見ることができます。)


それは涙を流しているように見えるので、

カウアイの言葉で「マカレア」と呼ばれているのです。


悲しい涙ではなさそうです。




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1時間ほど、カウアイの自然を楽しみながら歩くと、

Emmettさんの家に着きました。


マカレアも奥の方に見えます。




セッションの前にも、セッションをしているときにも、

いろいろなことを話すことができて、

僕自身について、うれしくなるようなことも言ってもらえて、

貴重な会話の時間になりました。


Emmettさんの指は、太く、ふかふかしていて、

スッと深いところをすぐに捉えます。


手の動きにはムダがなくて、的確な場所にワークしてくれて、

リリースまでの時間がとても速かったです。


それほど、安心してからだを委ねられたのでしょう。


ベッドから下りて、地面に立ったときには、

「すっきり」と上下に伸びるように立つことができました。


昨年末、関西のロルファーが集まって、

Ida Rolfさんがワークをしている映像を観る機会があったのですが、

Idaさんのタッチにかなり近い気がしました。


僕らロルファーは、Idaさんの見ていた世界を想像し、

それにどれくらい近づいていくことができて、

そして、そのときに自分が何を感じるのかを追い求めています。


Emmettさんからセッションを受けた感覚は、

今でも僕の中にしっかりと残っています。




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カウアイの最終日には、バスに乗って、

ダウンタウンまでやってきました。


Bradonさんがすすめてくれたコーヒー屋さんです。




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彼は、「Red Eye」というメニューをすすめてくれました。


ブラックコーヒーに、エスプレッソを加えたのがベースで、

そこに少量のチョコレートを入れてくれと頼むそうです。


おいしそうなのですが、めちゃくちゃ暑かったので、

僕はアイスラテをオーダーしました。


けど、おいしそうなので、少しだけ心残りしています。




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どうやら隠れメニューみたいです。






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今回のワークショップは6日間で、前後の滞在も含めると、

わずか10日間だけカウアイ島で過ごしました。


Emmettさんから、たくさんのことを学んだのはもちんですが、

泊めさせていただいたKenさんの生活スタイルも、

今後の僕の人生に、とても大きな影響を与えてくれました。


Kenさんのカウアイ島での暮らしは、

「からだが喜ぶもの」に囲まれていました。


フルーツや野菜を、自分の手で大切に育てて、

食べるときに、食べる分だけ収穫して、

それをおいしく食べます。


庭にはサウナがあり、友人たちが週末にやってきて、

そこが語らいの場になります。

汗が出ていくほどに、語りは深まり、

次第に言葉はほどけていき、やがて消えていきます。


雨が長くなると、Kenさんは空に向かって歌を歌います。

そのギターと彼の声は、スーッとからだの奥の方に

染みこんでいくようでした。


そうやってKenさんと一緒に暮らしてみて、

これからのfestaのことを、漠然と考えていました。




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ロルフィングを突き詰めていくことは、僕のライフワークです。


近いうちに、Guildのアドバンストレーニングに参加して、

もう少し、Idaさんの考えた「レシピ」を学びながら、

彼女の見ていた世界を感じてみたいと考えています。


でも、Rolfing House festaという「家」が、

ただロルフィングやヨガをするだけの場所ではなく、

「からだが喜ぶ、自然な空間」になっていってくれればいいなと、

僕は思っています。


これからも自分の手をしなやかに、豊かに育てながら、

居心地がよくて、ついつい長居をしてしまうような、

それでいて、いいロルフィング、ヨガを受けられる、

そんな場所になるようにがんばっていきます。




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最後にクラス写真を置いておきます。



Yuta

( Posted at:2014年3月11日 )

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