僕の実家は、風通しがいい。
風通しがいいというよりは、どこかが開いている。
気密性とは程遠い。
夏になると、玄関は開いてるし、窓も開いてるし、
いろいろ開いている。
ちょっと出かける用事があっても、
「開いてるほうが、中に人がいると思って誰も来ない」
なんて母親は言う。
換気をするって感覚が、なかなか分からなかった。
だって、常に筒抜けなのだから。
風が抜けているのが普通で、こもるなんてことはありえない。
畳の部屋が多くて、時間帯によって、
太陽の光の差し込み方が変わってくるから、
それに合わせて場所を移して、僕は大体寝ていた。
そういうときにも、風は常に通っていた。
人もよく通る家で、よくいろんな人がいた。
盆や、祭りの時期になると、知らない子と遊んでるし、
知らないおじさんが酔っ払って家で寝ていたりした。
入ってくるのは、何も人間だけではない。
この時期になると、蚊も、蛾も、トンボも、
ヘビやカエルも、犬まで、何でも入ってくる。
そしてまた出ていく。
家族も多かったから、プライベートなんてないし、
いろいろとごちゃごちゃしていて、
それでもいい思い出が多い。
気密性は、確かにエアコンの効率を上げるし、
泥棒も、虫も入りにくいのかもしれないけれど、
どうも息苦しくなる。
自分が家を建てるなら、やはり隙間は開いていてほしい。
いろんな人が訪れ、そしてまた帰っていき、
そこを風が抜けていく。
いつになるのかわからないけど、家はそういうのがいいなと思う。
からだも、そんな風通しのいい、開かれたからだがいいなとも思う。
Yuta