帰りの途中。

どうやら雨が降っていたみたいで、

昼過ぎに外に出てそれに気づいた。

風はなくて、寒くはなかった。

六甲山は雲に覆われていた。

雨の上がった後の山は、まるで運動した後みたいに

湯気を出しているようになるから好きだ。

「山が呼吸している」

子どもの頃によくそう感じていた。

なんとなく歩きたくなったので、

とりあえず歩き出してみると、

いろいろな考えが浮かんでは消えた。

ふと横の道に目をやると、

下校途中の小学生の男の子が、

立ち止まってじっと地面を見つめていた。

「何を見ていたんだろう」

その後、歩きながらそんなことを考えていた。

思い返すと、僕も小学生の頃には、

下校途中にアリの巣を見たり、

水たまりを見たり、

立ち止まって何かを見つめることがよくあった。

そのことで僕は何かを学んだことはないと思うけど、

とても大切な時間だったんだと思う。

僕は今も歩いている。

どこに向かっているのかもわからないけど、

何かに駆り立てられるように歩いている。

でも、たまに立ち止まって何かをじっと見つめるという行為が、

とても大切なんじゃないかと思う。

それは一見、無意味で、無駄なことなのかもしれないけど、

子どもの僕には関係はなかった。

そんなことを考えて歩いていたら、

いつのまにか空の雲には穴が開いていて、

空は青が見えてきていた。




Yuta

( Posted at:2013年2月 4日 )

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