ロルフィング

ロルフィングという
ボディワーク

Dr. Ida P. Rolf (1896 - 1979)

「ロルフィング®」が生まれたのは、1970年代のアメリカでした。元々は研究者をしていた「アイダ・ロルフ」さんという女性が、いろいろなボディワークを学び、自分のスタイルにまとめたものです。ロルフィングは、「ロルファー™(ロルフィングをする人)との10回のセッション」を通して、「からだの構造が、重力と調和し、バランスの取れた状態」を目指していきます。もしも、からだの構造に「歪み、ねじれ、偏り、崩れ」などがあると、重力は「痛みや不調、病気」を引き起こす「マイナスの影響」をからだに与えてしまいます。それが、ロルフィングを受けることによって、からだの構造のバランスが取れてくると、重力が構造をさらに安定させ、強化するという「プラスの恩恵」を受けることができます。そうすることで、動くことがいつもより心地よく感じられたり、長年の不調が改善されていったり、自分のからだの声に気づきやすくなっていきます。からだが「本来あるべき状態に還っていくプロセス」とも言えるかもしれません。

筋膜ネットワークとからだ

そんなからだの構造に大きな影響を与えているのが、「筋膜」と呼ばれる膜です。筋膜は、からだの中にある、筋肉、骨、内臓、そして血管、神経などを一つずつ包みながら、そしてその一つ一つをつなげて、一つのからだという「まとまり」を作っています。私たちのからだは、「ひとつながり」のしなやかに伸び縮みのする筋膜によって包まれ、そして支えられています。もしも筋膜がなかったら、筋肉は筋肉として力強さを発揮できず、骨は骨としてからだの芯の役目を果たすことができません。 「からだという自然」は、 筋膜によって、それぞれの部分がつながりながら、全体的なバランスを保っています。からだの中で、どこにもつながっていなくて、どこからの影響も受けていないものはありません。私たちの頭では理解できないほどの「緻密(複雑)で、有機的なつながり」が、この「からだ」にはあるのです。

筋膜は、「怪我や手術、事故などの大きな衝撃」によっても、「偏った悪い姿勢などの継続的な小さな刺激」によっても、その「しなやかさ(環境の変化に柔軟に変化できる働き)」を失っていきます。それによって、筋膜の伸びやすく動きの多いところと、縮んで動きの少ないところの差が生まれ、それが「からだ全体の動きの偏り」になります。左右の腕の上がりやすさの違いや、長い距離を歩いた時の両脚の疲れやすさの違いなどは、「からだの全てを包んでいる筋膜のバランスが崩れていること」にもよっても起こります。

ロルファーのタッチ

ロルファーは「多様で幅のあるタッチ」を使います。筋膜と言っても、先に書いたように、筋肉、骨、そして内蔵など、包んでいる「組織の種類」によっても、「触れた時の質感」や、「タッチへのレスポンス」は違います。また、手術によってしなやかさを失ったのか、継続した悪い姿勢によってなのかでも、それは変わってきます。「触れている筋膜の状態」に合わせて、それにフィットした「道具」を選んでいくように、「タッチ」を様々に変化させていきます。「指先」を使ってスーッと奥の方に深く入っていくものもあれば、「手のひら」を使って、ただやさしく触れるようなタッチもあります。

「ロルファーのタッチ」のもう一つの特徴は、「ノイズがなく、クリアである」ことです。「治してやろう」という「施術者のエゴ」が強すぎてしまうと、「タッチの圧の強弱」に関わらず、からだは「安心、安全」を感じにくくなってしまいます。からだが少しでも「警戒」を感じてしまうと、「からだが素直に、内側から変化する流れ」を止めてしまうのです。「ただ触れているだけなのに、なんでからだが変わっていくんですか?」と聞かれたり、「途中から『触れられている』という感覚がなくなったのがおもしろかったです」と言われることもあります。タッチはあくまでも、「からだの反応を引き出す」ためのものなので、それを邪魔しないように、「施術者のニュートラルさ」も大事な要素になってきます。

ロルファーの仕事

私たちの「からだという自然」には、「大きな力」が備わっています。それが「自然治癒力(自己調整能力)」です。でも、それがあるにも関わらず、長年肩こりが続いたり、何度も同じような怪我や病気を繰り返してしまうのはなぜでしょう。そのポイントが、「自分のからだの現在地を知る」ということです。からだの現在地とは、「自分のからだが、今現在どんな状態なのかを知覚する(感じて、気づく)」ことなのですが、なかなかこれが難しく、「専門家の適切なガイド」があると、とても心強いかと思います。毎回のセッションの前後には、「姿勢、歩き方などの観察」や、「足の先から頭まで、全身の関節の可動域のチェック」をしています。「右腰が痛いので、右の股関節周りが硬いのかなと思っていましたが、逆に左が動いてないんですね」であったり、「ひどい肩こりなのですが、意外と下半身や骨盤周辺もガチガチなので驚きました」など、「全体像を、ガイドと一緒に俯瞰して眺めてみる」のが大切です。

そうすることで、長引く症状などを引き起こしている、「あなたのからだ固有の背景(土壌)」が見えてきます。そうやって「全体像」が捉えられてきた時には、同時に「からだの変化」も見えはじめます。「知ること(感じること)」と「変わること」は、実はとてもよく似ていることなのです。「ガイドのサポート(全身のチェックなど)」によって、「ああ、そういうことだったんだ」と「自分のからだの現在地」に気づく頃には、からだの「自然治癒力」が、あなたのからだの不調を回復させたり、崩れていたバランスの調整をしはじめます。「自然治癒力は、いつでもあなたを健康な状態に導きたいのですが、あなた自身の現在地の認識がずれていると、適切にナビゲーションができなかったり、的外れなものになってしまう」ということです。「適切な現状把握によって、全体性の回復が起こる」とも言えます。

ロルファーとのセッション

ロルフィングでは、「セッション」という表現がよく使われます。「診断してもらう/治療してもらう」のとは、少し方向性が違います。ベッドに横になって、「あとは、この腰痛を治してください」と、自分のからだをすぐに「他人任せ」にしてしまうのではなく、「私の10年以上続く腰痛は、ただ腰が悪いだけじゃなかったんだ」と、ガイドと一緒に「自分で気づく(知る)」ことがすごく重要です。「治すのは、あなたのからだであって、ロルファー(他人)ではない」というのを、ぜひ覚えていてください。「今、からだはどんな感じがしますか?」と質問することがよくあるかと思いますが、その「フィードバック」を聞きながらセッションを進めていきます。「セッションでするべきこと」は、ロルファーが「答え(腰痛には、ここを施術すればいいなど)」を持っているのではなく、「あなたのからだが教えてくれるもの」なのです。一緒に「セッション」しながら、それを探していけたらいいなと思います。

festaのロルフィング

festaは、「話すこと/聞くこと」を大切にしています。それはセッション前後の、「言葉を通しての何気ない会話」はもちろん、セッション中の、みなさんのからだの声を聞いて、それにロルファーのタッチで応えていく、「言葉のいらない対話」も含んでいます。「こんなに自分のからだの声に向き合ったことがなかったです」という方がいました。そしてさらに、「自分のからだが日々がんばってくれていて、からだってとても不思議で、おもしろくて、すごいんだなと気づきました」と教えてくれました。「自分のからだってすごい」と、ロルフィングを受けることで、そんなことを感じてもらえるとうれしいなと思って、今日もfestaでセッションしています。

【ロルフィングを
おすすめしたい方】
  • 姿勢が悪いのは気づいているけど、どうしていいかわからない
  • 左右のバランスが気になっている
  • 長年のからだの痛み、不調を改善したい
  • 立つ、歩く、座るなどの日常生活のからだの動きを改善したい
  • スポーツのパフォーマンスを向上したい
  • 自分のからだをもっとよく知りたい、からだの感覚、気づきを深めたい
  • 現時点でどこかが悪いわけではないけど、一生付き合っていくからだのメンテナンスをしたい
  • 精神的な安定を求めている