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モニターEさんの感想(セッション1 | 30代 女性)

5人目のモニターはEさん、30代の女性の方です。

Eさんの問診票に書いていただいたことと、少しお話をしてわかったことを下にまとめてみます。

・亜急性甲状腺炎になり、ステロイド剤を服用している。
・左の肩甲骨の辺りに、コリがある。
・3年前に、右腰を仕事で痛めた。
・ストレスがかかると胃腸炎になりやすい。
・大学時代はジャズダンスに打ち込んでいた。
・カイロ、鍼灸、アレクサンダー・テクニーク、ピラティス、
 ジャイロ、クレニオセイクラルを受けたことがあり、
 心と身体の関係に興味がある。

整形外科的なところでは、左の肩甲骨周辺と、右腰に症状があり、内科的なところでは、甲状腺に最近症状が出てきたということでした。

身体の動きに関して、ジャズダンスを熱心にされていたり、その後、さまざまなボディワークを受けていらっしゃるので、すごく身体感覚に優れた方なんだろうなと感じました。

以下がEさんのセッション1の感想になります。

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今日はありがとうございました。以下感想です。

身体と心と目に見えないツボや気などのエネルギーの部分。それらのつながりと、総合的に健全で心地良くいられるにはどうしたらいいかに興味があり、ロルフィングもいつか受けたいと思っていました。

スタジオはすっきりシンプルながら、木の床と天井のおかげでやさしい感じがして、自分の身体と向き合うのに心地よい空間でした。

ロルフィングを受けること自体が目的だったので、身体の悩みは左肩甲骨の凝りと以前痛めた腰が気になるくらいでしたが、昔からの反り腰やO脚、うまく立てていない感じがすることなどもご相談してみました。

案の定、身体の状態を調べて頂くと、ものすごい歪み具合、ねじれ具合。変な感じがして当然です。愕然としましたが、逆に10回のセッションでどう変わるか楽しみにもなってきました。

施術は、身体に手を押し当ててるだけ?と思ってしまうくらい(笑)穏やかなもの。そしてゆっくり時間をとる。力で動かしたりするのではなく、身体が自分で変わるのを待つ、という考え方に目からウロコでした。穏やかなのに、手を離された後は薄い殼というか鎧を脱いだように身体が開放され、リラックスしていました。今まで自分の身体だと思っていたのは、この鎧だったことに気づきました。

「初回は全身のネジをちょっと弛める感じで」とおっしゃった通り、全身が程よく開放され、浅かった呼吸も変わりました。施術前はは鎖骨の下辺りまでしか空気が入っていない感覚でしたが、施術後は肋骨まで、そして背中にも入ってくるようになりました。

施術が終わって床に立った時、今までとのバランスの違いに驚きました。ガタガタいいかげんに積んだ積木が、施術後はきちんと揃えて積まれた感じ。特に頭と首の位置が変わりました。頭は重いので、今まで相当負担がかかっていただろうと思いました。

立っている時の違和感がなく、重力が身体の中心線一本にだけかかっている感覚で、とても楽です。

次回までたっぷりこの感覚を味わい、これからのセッションでも、ゆっくり身体と心の変化を楽しみたいと思います。「鎧」が外れたら心もかなり変わると思うので。

ありがとうございました。

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感想をぱっと読んでもそうですが、身体を総合的に、統合的に考えていらっしゃって、からだとこころの関係、見えるもの(物質)と見えないもの(エネルギー)の関係にも興味があるということで、ロルフィングに合っているかなと思います。

「わかりやすさ(説明のしやすさ)」や「効率(時間がかからない、ムダがない)」に、すごく重きを置きすぎているのが、今の世の中の流れかなと思います。

僕は「バランス」を見る職業をしているので、そういったものももちろん大切だと思うのですが、「うまくは語れないこと」や「時間がかかり、ムダに見えるもの」も、うまく掬い取りたいなと思っています。

そういう意味で、僕には「1回で、すぐに治る」ということよりも、「時間をかけながら、いろいろなものが解けて、つながっていく」というロルフィングの10シリーズが合っている(得意)のだと思います。


今まで自分の身体だと思っていたのは、この鎧だったことに気づきました。

すごく素敵な表現だなと思います。

人は「なんとも弱く、未熟な裸の状態」で生まれ、少しずつ成長しながら、大きくたくましくなっていきます。人には優秀な頭があるので、身体そのものが生物的に成長していくのに加え、知識を増やしたり、友だちの数を増やしたり、肩書きを並べるようになったり、自分の外側に「鎧」を作っていっているとも言えるかもしれません。

その鎧は「硬く、隙間(スキ)がない」方がよく、自分のしていることをよくよく観察してみると、その鎧をせっせとこしらえているように見えることもあります。

何か人が「間違い」を起こした時に、それをゆるしたり、受け流すのではなく、それをつっついたり、その傷を広げたりすることが、今の社会では日常になってきています。なぜそんなことをするのかを考えていくと、他人の間違いを指摘することで、相対的に自分の正当さを訴えているのだと思います。それは、自分の身体を覆う鎧が、大きく、硬く立派であることを、多くの人に褒めてもらいたいのだとも考えられます。(褒めてもらえるのは、あくまで鎧であって、その人そのものではないのですが。)

僕もロルフィングを学んでいる時に、これによく似た経験をしました。

ロルフィングをする前には、僕はトレーナーをしていたのですが、僕が考える優秀なトレーナーは、「知識(資格)」、「人脈」、「経験(実績)」をたくさん持っている人でした。なので、そういったものを、とにかくどんどん大きく積み上げれば積み上げるほど、自分が優秀になったと思っていたのです。

そうして大きくなった僕は、ロルフィングのトレーニングで、これを1個ずつ剥がしていくような経験をしました。ロルフィングのトレーニングでは、何か新しい知識、技術を「加える」というよりも、余分なものを「取り除く」というような感じでした。それを丁寧にすることで、タッチにエゴが入らず、透明なものになっていきます。

それは大きく強いと自惚れていた自分を、「裸にする」ような感じで、時に痛く、苦しいものでもありました。

ロルフィングの10シリーズでも、新しく何かを自分に加えたりすることはあまりなく、余分にくっついていて、自分を制限してしまっているものを取り除いていくことを、ロルファーがガイドをしながら自分でしていきます。

仮にそこで得られた経験に何か「新しさ」を感じたとしても、それは「学ぶということは、既に知ってしまっていることを、あらためて学び直すことである」という、ハイデガーという哲学者の言葉で表現されています。そうです、既に私たちはそれを知っていて、それを忘れているだけなのです。

鎧を自分の外へ外へ作るのではなく、自分の内側に深く静かに潜っていくということ。

そしてそれが「安心、安全」にできるように、ロルファーは余計なことをせず、適切にガイドをしていく必要があります。それにはロルファーにも「鎧がないこと、裸であること」が求められます。

タッチの種類はロルファーによって多種多様ですが、僕が素晴らしいと思うロルファーは、「透明な意図」を感じるタッチをしていました。加える力、タッチしてからの動きはいろいろあるのですが、深さは深く、扱いたいものの意図(筋膜なのか、骨なのか、エネルギーなのか)が、明確なものでした。

感想に書いてくれていますが、Eさんはすぐに身体が反応してくれたので、僕はただ手を当てて見守っているだけで大丈夫でした。それでセッション1で得たい反応は、自然に出てきてくれています。

時に鎧は自分を守ってくれるので、最低限の鎧は、今の時代は持っていなければいけません。けれども、必要がない時には、それは身体と「容易に分離することができる」というのが好ましいと思います。あまりにべったりと身体に張り付いて、身体に同化してしまっている人は多いと思います。

これがどんな風に解けていくのか。そしてそれでどんなことが起こってくるのか。次のセッションも楽しみにしたいと思います。




Yuta

( Posted at:2017年2月14日 )